朝はパン パンパパン

仕事を終えて帰宅すると、マンションの入り口でばったりおっさんと鉢合わせした。手には南国風の木や鳥が描かれた華やかな手提げ袋を持っている。
「ああ、これかい。エコバッグ。かわいいデザインで気に入っているんだ」
鮮やかな色使いのエコバッグと、おっさんのビシッとしたスーツ姿がなぜだか妙にマッチして見えた。
「お洒落ですね。買い物してきたんですか」
「うん、無性にカレーが食べたくなってね。その材料や」
カレーと聞いて盛大に腹が鳴った。
「よかったら食べてくかい、カレー」
腹を押さえる俺を、おっさんがカレーの神様みたいな笑顔で誘った。