トニーのやつ、ようやくやってきはしたけれど、一時間以上の遅刻だった。
トニーはいつも遅れるんだ。自分の結婚式にも遅れたぐらいだからな。でも、トニーは何もいわなかったが、彼なりに考えてはいたんだな。車が高速に入ると一気にスピードを上げた。そのうち、後ろにサイレンの音が聞こえてきた。
そうこうするうち、パトカーを後ろにくっつけたまま、トニーは空港に飛び込んで、子分の一人に大急ぎで俺の荷物の手続きを済ませろと命令した。子分は車から飛び降りると、おれの荷物を持って行列の先頭に走りこんだ。係員になにか言われると、強面に言い返し、その形相を見た相手はたちまち引き下がった。