紆余曲折を経てようやく試合の準備が整いました。両者尻を付き合わせ、戦いの火蓋が切って落とされるのを今か今かと待ちわびています。解説の所長さん、この試合どういう試合展開になると思いますか。
「財前選手が攻めで緒方選手が受けになるのではないでしょうか」
なるほど。…んっ？あの、受けではなくて守りではないのでしょうか。
「なに言ってるの、攻めの反対は受けでしょう。守ってどうするの。受け入れなきゃ！熱い一本筋を！」
所長さんの言動が怪しくなってきたので試合開始です！
「はっけよーい、尻った！」
行司さんの掛け声とともに財前選手が勢いよく尻を突き出した！割り箸五本は砕くこのケツ圧！疾風怒濤の勢いで財前選手の尻が緒方選手の尻を滅多打ちだー！
「尻った尻ったー！」
しかし緒方選手びくともしない！わずかに尻がぷるぷる波打つだけで涼しい顔をして腕を組んでいる！あれだけの尻を受けてもムーミン谷のように純白です！
「尻った尻ったー！尻ったああぁぁー！」
なんだこのひと！？いささか興奮気味なようなので行司さんにはご退場願いましょう！
「うぉおしりいいいいぃぃー！」
お騒がせいたしました。春になると変な輩が出てくると言いますからね。あの方もその類いでしょう。
「うららかな春の日差しのなか、尻を寄せ合うふたり。ああ、なんて風流なの…」
解説の所長さんにもそろそろおやすみいただきましょうか。
「失礼ね、あたしはまだまだやれるわよ。なんなら確かめて、みる…？」
よからぬ雰囲気が漂ってまいりました。私、貞操の危機を感じております。さあ、それはともかく土俵では緒方選手が尻を叩いて財前選手を挑発しております。
「どうした、財前。そんななまっちょろいケツ圧ではハエすら追い払えないぞ」
「な、なんてどっしりした尻だ…。まるで大地に根付いているかのようだ！そう、象のように…！」
「ふっ、今度はこちらの番だ。耐えてみせろよ、オガッ！」
出たー！緒方選手の必尻技、こすりつけ！自分の尻を相手の尻にこすりつける反則すれすれのこの技！
「噂によると緒方選手は試合の前日から尻を拭かず、もちろん風呂にも入っていない。この意味、わかるわね？」
最悪です！最悪なコンディションの尻です！緒方選手にはスポーツマンヒップがないのか！？
この情報を聞いた財前選手、なんとか尻をふん張っていますが目には涙が浮かんでいる！これはもうすでに、心は地についている！緒方選手のハエが止まりそうな尻のひと突きたまらずダウン！試合終了です！
財前選手すぐさまシャワー室に駆け込んでいます。それを見送る緒方選手の成し遂げた男の笑み。この男、勝てればなんでもいいのか！？
遺憾ながら第六回オシリンピック、尻相撲Tバック型の優勝者は緒が…ん？失礼いたしました。財前選手だー！
「意義あり！なぜだ！？やつの尻が先に地についたのに、納得がいかん！」
ルールブックには、尻は清潔な状態で行うこと、と書かれています。緒方選手は明確にこれに違反しました。よって優勝は財前選手です。
「ふっ…試合に勝って勝負に負けたということか」
いや、ルール違反だからどっちも負けです。負け負けですよ。
「そうか、負け負けならば仕方がない。Tバックを脱いで緒方の引退セレモニーを」
それではオシリンピックでした！またいつかお会いいたしましょう！