みそ(業務用)の日記

2019年01月23日 22時06分

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娘は様々な仕事を母から言いつけられた。井戸の水汲み、家の掃除、畑の草取り、畝作り。どれも疲れるし失敗をすれば母から棒で打たれる。だけどたまに上手くやれたところで、できて当たり前だと誉めてくれない。
父は滅多に家に寄り付かず、たまにふらりと現れても金の無心をするだけで手伝いなんかしてくれない。一晩だけ泊まり、翌朝には金を持ってふらりと出ていってしまう。
優男の父がくる晩、母は女になった。小娘のようにはしゃいで料理を作り、普段はしない化粧までしてお客様のように父をもてなした。
父より一回り年上であることに負い目を感じている母は、若い夫を手離してなるものかと必死だった。もう少し歳を取れば落ち着くはずだからと、自分に言い聞かせていた。歪な関係だとわかっていても、それにすがらずにはいられなかった。
父が来ると早々に自室に追いやられ、夫婦の寝室には決して近づかないように言いつけられるのが娘の不満だった。娘は父に興味があったし、何よりも優しく抱き締めてほしかった。母からは与えられない愛情を注いでほしかった。
けれど父が娘に向ける目はそこらにいる野良犬でも見るように無関心で、そこに特別な興味や親愛は見られなかった。
母からも父からも愛情を与えられないせいか娘は何をしても満たされず、自分になんの価値も見出だせないでいた。娘には少女がもつ溌剌さや奔放さはまるでなく、ただ暗い影ばかりが日に日に色濃くなっていった。

みそ(業務用)

できるだけ雰囲気を出そうとしてみました。

2019年01月23日 23時03分

みそ(業務用)

長いのはよく考えてから書かないと行き詰まってしまうので、短い方が書いていて気楽です。
渡辺浩弐さん読んだことがないので今度探してみます。

2019年01月24日 19時44分