2017年12月20日 21時25分
雪のように 中編
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「私を抱くと、みんな離れていく。止まり木から飛び立つ鳥みたいに」
そう言って君は何かを諦めたような笑みを浮かべた。それは失うことに慣れた人だけがする笑みだった。
二度目があったことはないと言うと、疲れ切ったように息をついた。僕はそんな君にかける言葉が見つからなかった。
何を言っても嘘臭くなってしまい、雪のように降り積もった悲しみに埋もれた君のこころには、届かない気がした。
だから僕は手を伸ばして、君の手にそっと触れた。ただ、ここにいるよと伝えたかった。
君はくすぐったそうに微笑み、あたたかいと言って僕の手をふわりと包み込んだ。
「君の冷たい手にはぴったりだね。繋いでも暑くはならない。むしろ適温だ」
真面目ぶって僕が言うと、君はくすくすと笑った。
「あなたが言うと、本気なのか冗談なのかわからないわ」
「よく言われる」
今度は声をあげて笑った。君が笑ってくれるとそれだけで、僕はすべてを手にしたような気持ちになった。
初雪が降った日、君は僕を見ると無垢な子どものように泣き出した。また飛び立たれたのだなと思うと同時に、胸の奥深くを突き上げられるような感覚がした。
鮮やかな蝶の標本を前にしたような感覚。それを自分のものにしたいという、強い衝動。加虐心に近いそれを押さえつけて、君の話を聞いた。
君が選ぶ男にしては珍しく、手堅い仕事をしていた彼。年明けにはお互いの両親に挨拶することになっていた。それほどまでに親密な相手だった。
今度こそは大丈夫だと信じて、彼にすべてをゆだねた。そんな気持ちで行為に及んだのは初めてだったと、君は切なそうに言った。
互いのすべてをさらけ出した後に訪れる気だるく甘い眠りから覚めると、彼のいた痕跡は君の部屋のどこにもなかった。狭いコップに二本並んでいた歯ブラシさえも、たった一本になっていた。
当然電話をかけるも、無機質なアナウンスはただ、彼の不在を強調しただけだった。家を訪ねようにも、君は彼の最寄り駅すら知らなかった。
大海老天丼まそ
。゚(゚´Д`゚)゚。せつねぇ!!!
2017年12月20日 21時51分
みそ(鳩胸)
果たしてハッピーエンドはあるのか!?
2017年12月20日 22時02分