みそ(うすしお)の日記

2017年12月07日 21時04分

裸生門 三

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紺色のシャツにベージュのチノパンというすごぶる無難な服に着替えると、正男はようやく人心地ついた。老婆が仕立てたという服は、着心地ばつぐんで気に入ってすらいた。
ちなみに下着はトリコロールのブリーフという、人様にはとても見せられないものだった。しかしながらこれもまた、下半身のあれやこれやにぴったりと密着し、正男をすっかり虜にしていた。
「お婆さん、素晴らしい服ですね。これほど着心地の良い服は生まれて初めてです。それにこのブリーフの密着感、たまらん!」
「それはようございました。さて、それでワタクシのお願いですが」
「えっ、ブラピを差し上げたでしょう。あれでお願いは完了したのではないのですか?」
上機嫌だった正男は老婆の言葉にキョトンとした。
「馬鹿おっしゃい。あれではブリーフ一枚の料金にもなりませんよ」
「なんと!確かにブラピはまとめ買いでいくらのネクタイでした。だが、私とともに歩み、汗と涙とその他もろもろの体液が染み込んだブラピには、お金に換算できない価値がある!」
「なるほど、確かにあなたにとってはそれほど価値があるネクタイなのでしょう。ですがワタクシにとって、ブラピはただの薄汚れたネクタイです」
「ぐうの音もでない!」
あっさりと言いくるめられた正男はがっくりと膝をついた。もう少し言い返してもよさそうなものだが、正男は小さい頃から聞き分けのいい子どもと評判だった。
「さて、それではワタクシのお願いを聞いてもらいましょう」
悪い魔女のようにニタリと笑う老婆に、正男はごくりと唾を飲み込んだ。

みそ(うすしお)

こんなのを一気読みしてくださるとは、ありがとうございます。土日に続きをあげる予定です。
もろもろの体液はあまり想像したくないですね。

2017年12月07日 21時23分