2017年10月31日 20時56分
ミソえもん ハロウィン編
タグ: ミソえもん
「モテすぎくーん!」
「お菓子あげないからイタズラしてー!」
「あっ、ズルイ!私にもイタズラしてー!」
ハロウィンと言えども、モテすぎは女生徒たちに囲まれていた。それもハロウィン仕様の魔女っ子や小悪魔といった、ちょっと露出が激しめな女生徒たちに。
「ははは、なんだい君たち。どんなイタズラをされたいのか、言ってごらん」
モテすぎの言葉にきゃーきゃーと黄色い悲鳴があがった。
「けっ、なにがハロウィンだよ。日本人には関係ないだろ、西洋かぶれたちめ。イタズラってなんだよ、うらやましい」
わかりやすい嫉妬を口にして、やさぐれる媚び太。いろいろと気になるお年頃な媚び太は未知のイタズラに、あんなこといいなできたらいいなと思いを馳せる。
「まったく、媚び太殿の言うとおりだ。西洋行事にいちいち浮かれるなど、日本人としての誇りはどこにいったのか」
「そうそう、もっと言ってやりなよ。静寂ちゃ…ん?」
振り向いた媚び太の目に信じがたい、いや、信じたくないものが飛び込んできた。
「静寂ちゃん、その頭に乗せているものは、なに?」
「見ての通り、カボチャだが」
カボチャをくり貫いて作るハロウィン定番の飾りを、静寂はなぜか頭の上に乗せていた。思わずジト目になる媚び太。
「違う、違うぞ媚び太殿!その目はあらぬ誤解をしておる!」
「誤解ー?」
糸のように細くなる媚び太の目。その目はお前ハロウィン好きで楽しんでるだろう、という軽蔑に満ちていた。
「これはだな、あくまでも体感を鍛える修行の一貫であり、決してハロウィンに迎合などしておらず、頭に乗せることでむしろハロウィンへの反発心をあらわしているのだ。決して、このジャックオーランタンかわいい、見せびらかしたい!などとは思っていないぞ!」
そうだねー、と気のない返事をして媚び太は学校を後にした。
「ということなんだよ、ミソえもん」
「なるほど、つまり自分が入れない世界で騒いで楽しむやつらが羨ましい、ということだな」
聞くものの気持ちを落ち着かせるバリトンボイスで、媚び太はぐさりと図星を突かれた。
「違うよ、ミソえもん!そうじゃなくて、僕が言いたいのは日本人としての誇りをだね」
「本音は?」
「ハロウィンの熱気に乗じて楽しんで、あわよくば女の子にイタズラしたいです。イタズラがしたいです!」
バスケがしたいです、と同じくらいの熱意で媚び太は叫んだ。
「君のそういう素直なところは好きだぞ」
「それならたまには何か道具でも出してよ、ミソえもん!」
やれやれまたそれか、と呆れたように息をつくミソえもん。渋くキリッとした顔立ちの彼はどんな仕草でも絵になり、様になる。
ミソえもんがハロウィンの真っ只中に飛び込んだら、イタズラなんぞちょちょいのちょいであろう。
「いいかい、媚び太くん。そんな便利で不思議な道具なんてものは、この世のどこにもないんだよ」
「自分が味噌の妖精とかいう摩訶不思議な存在のくせによく言うよ」
「あははっ、確かにそうだね!私はまったく君の役に立たない不思議だ」
あっけらかんと笑うミソえもんに背を向け、媚び太はわかりやすく拗ねた。
「まあ、待ちたまへよ、媚び太くん」
ミソえもんの優しく労るような声に、媚び太はとうとうこの時がきたかと思った。やはりあの味噌樽から秘密道具が出てくるのか。
「ハロウィンとは関係ないが、今日の晩御飯はカボチャの味噌グラタンだぞ!」
「めっちゃハロウィン意識してるじゃないか!しかも今日のお茶うけはカボチャの種を煎ったものだったし、無駄がない熟練の主婦かよ!」
愚痴を言うときと、突っ込みを入れるときの媚び太は生き生きとしているな、と感心するミソえもんだった。
みそ(鳩胸)
ずまさん
ありがとうございます!
これからもミソえもんワールドを広げていこうと思います。
2017年10月31日 21時30分
みそ(鳩胸)
ちょうどいいさん
目立つのは苦手なので難しいですね。
2017年10月31日 21時30分