2017年10月27日 23時12分
ミソえもん 帰ってきた暴虐無人男編 前編
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「ぬわっはっはっはっ、久方ぶりの学校じゃのう」
地面を震わせるような低い声が、発酵小学校の校庭に響きわたった。全校生徒が恐れる奴が帰ってきたのだ。
「そ、その声は暴虐無人男!」
珍しく余裕を持って校門をくぐった媚び太が、情けない悲鳴のような声をあげて尻餅をついた。
暴虐無人男。その名の通り、人を人とも思わぬ振る舞いをすることで知られる、発酵小学校開校以来の問題児である。
二メートルに迫る筋骨隆々なその体躯はとても小学生には見えない。ただでさえ小柄な媚び太の横に並ぶと、媚び太がまるで小人のように見える。
「うぬは確か、名前は思い出せぬがやけに媚びへつらうのが得意な小僧ではないか」
特徴を言っただけだが、ほぼ名前を言ったようなものである。
「へ、へへ、お久しぶりでございます。暴虐無人男の旦那!以前よりも断然頑強そうな肉体におなりで」
いちおうクラスメイトである暴虐無人男に小僧呼ばわりされても、媚び太はまるで表情を崩すことなく媚を売っている。彼にとって媚を売ることはもう、呼吸をするよりも身に染み付いたものなのだろう。
「ほう、わかるか小僧。一月におよぶ山籠りの成果、その身で試してみるか」
「いやいや、滅相もございません!暴虐無人男の旦那にかかれば、私なんぞ小指だけで一捻りでございましょう!」
野生の獣のような殺気を剥き出しにする暴虐無人男を、媚び太は慌てて止めにかかった。ひょろひょろな媚び太は軽く殺気を向けられただけでも腰が抜けてしまいそうだ。
「はっはっはっ!小指すら出すまでもなく勝負がついてしまったか!」
豪快に笑う暴虐無人男に、媚び太はただ乾いた笑い声を返すしかなかった。
「朝から騒がしいと思ったら、よもやお主が来ておるとはな」
凛とした声が暴虐無人男と媚び太の耳に届いた。
「おお、待っておったぞ静寂よ。お主を倒すために山籠りした成果、とくとその身に味わうがいい!」
一月ほど前、暴虐無人男の目に余る振る舞いを見るに見かねた静寂は、暴虐無人男をあっさりと打ちのめしていたのだ。
「貴殿も懲りぬな。いくら小手先の修行を積んだところで、私には勝てぬぞ」
「ぬかせ、小娘が!」
暴虐無人男の丸太のような腕が静寂めがけて振り下ろされた。
osamu
なにこの読ませる文章……続きを早く!
2017年10月27日 23時21分
みそ(鳩胸)
ちょうどいいさん
このままミソえもんは世紀末編に突入してしまうのか…!?
2017年10月27日 23時26分
みそ(鳩胸)
osamuさん
ありがとうございます!続きは明日になる予定です。
2017年10月27日 23時28分