2017年10月22日 21時00分
(祝) 戦闘力700記念 ミソえもん 前編
タグ: ミソえもん
「きゃあ、モテすぎくんよ!」
「モテすぎくん、これ受け取って!」
「モテすぎくん、こっち向いて!」
「モテすぎくん、抱いて!」
発酵小学校の昇降口が黄色い声で溢れかえっていた。媚び太はその光景にまたかとため息をついた。
「おっと、みんな落ち着いてよ。これじゃあ靴も履けないよ」
ハンサムな声にハンサムな顔。
このいつもの大騒ぎは発酵小学校のアイドル、モテすぎくんが姿をあらわしたからだ。モテすぎくんのモテっぷりときたら、そこらのアイドル顔負けである。
見ての通り、下校待ちや登校待ちは毎日のこと。下駄箱やロッカーにはいつも、ラブレターとプレゼントが入りきらないくらいに詰め込まれている。
「そうだな、じゃあ今日は君。一緒に帰ろうか」
さらには毎日違う女の子と下校し、秘密の放課後を過ごしているときた。
そんなモテすぎに対して、大半の男子生徒は妬み嫉みを抱いていた。もちろん媚び太だってそうだ。いや、筆頭と言ってもいいだろう。
(僕だって女の子と秘密の放課後を過ごしたいぞ、ちくしょう!)
もちろん内心に押し止めて決して表には出さない。媚び太はだいたい人に媚を売る言動しかしない。
「なにやら昇降口が騒がしいと思ったら、やはりモテすぎ殿であったか」
「あっ、静寂(しじま)ちゃん」
静寂は数少ないモテすぎ信者ではない女子生徒だった。名前のとおり、小学生とはとても思えない落ち着きと貫禄を備えている。
「まったく、ああも騒ぎ立てるとは、はしたない。外見など所詮は魂の器に過ぎぬと言うのに」
「さすが静寂ちゃん、言うことが違うねえ」
「人を評価するときにはもっと内面を見るべきなのだ」
そうは言うが静寂もたいそう整った顔立ちをした、凛々しい美少女であった。媚び太は可もなく不可もなくと、どうでもいい外見である。
「そうともさ、内面の美しさこそが評価すべき点なのさ!」
「媚び太殿は内面も…いや、やめておこう」
我が意を得たりとばかりに鼻息を荒くした媚び太に、静寂の呟きは都合よくスルーされた。
「あいつらにガツンと言ってあげてよ、静寂ちゃん!これじゃあ靴も履けないよ」
モテすぎと同じ台詞だったが、媚び太が言うと負け惜しみのように聞こえてしまうのは普段の行いのせいだろう。
「口惜しいことだが私の言うことなど彼や、彼を崇め奉る者どもには馬の耳に念仏もいいところだ。媚び太殿も知っておるであろう」
風紀を重んじる静寂は何度もモテすぎとその信者たちに健全な学生生活を送るように説いてきたが、聞き入れられたためしはなかった。
「私たちはただ、嵐が過ぎ去るのを待つばかり」
静寂は廊下で座禅を組み瞑想を始めた。こうなるとなにを言っても無駄である。
媚び太はただ、女の肩に腕を回し、悠々と昇降口を後にするモテすぎの背を嫉妬のこもった目で見送るしかなかった。
一汁一菜子
ミソえもんが出てこないから気になる!
2017年10月22日 21時04分
みそ(鳩胸)
一汁一菜子さん
後半に続く!
2017年10月22日 22時04分
みそ(鳩胸)
ちょうどいいさん
私も、過ごしたいです
2017年10月22日 22時04分