2017年10月09日 16時00分
お約束の花子 教科書見せて編
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「よーし、じゃあ授業を始めるぞ」
「あのう、先生。僕まだ教科書届いてないんですけど」
健が申し訳なさそうに手を上げて言った。これはもしや、とお約束展開を期待して花子の目がきらりと光る。
「ああ、そうか。じゃあとな」
「はい、先生!隣の席の私が見せてあげます!下心なんてありません!ただの親切心です!」
食い気味の花子に先生は思わず苦笑いである。
「お、おう、そうか。じゃあ山本、頼んだぞ」
真顔で親指を立ててグッジョブサインを送る花子。それを見て、なぜか健まで先生にグッジョブサインを送った。
先生はとりあえずそれを見なかったことにして、黒板に数式を書き出した。いちいち花子に構っていては授業が進まないことを、先生はもう嫌というほどわかっていた。
やれやれ粋じゃないね。だから彼女もできないのよ。と失礼なことを思いつつ、花子は健と席をくっつけた。
「ありがとう、山本さん。今日1日見せてもらうことになるけど、よろしくです」
爽やかな笑みと謎のシトラス系の香りを間近にして、花子の心臓は激しくエイトビートを刻んだ。もうドッキンドキドキ、ドキンちゃんである。
「う、うん」
机と机の間に教科書を置く花子の指先まで真っ赤だった。
みそ(鳩胸)
ありがとうございます!
2017年10月09日 16時18分