2017年08月29日 22時02分
発酵食品の記録 7
発酵技師の緒方さんが発酵ラボの面々にも秘密裏に行い始めたプロジェクトお大豆ん。
それはゆるキャラブームに乗っかり損ねた、お大豆んなるゆるキャラを復活させよう、というかなり無茶なものでした。
商業主義を真っ向から否定し、根底から覆しそうな可能性を秘めつつも、やはりそのまま埋もれていきそうなお大豆んを緒方さんはどうデビューさせようというのか。
今回、我々はとある確かな情報筋からお大豆んの設定資料を入手することに成功しました。
以下がその詳細です。
姓名 櫻井 お大豆ん
年齢 大豆にしては若い
身長 大豆ひとつぶん
体重 大豆ひとつぶん
一人称 小生
好きなもの 仁義
嫌いなもの 不義理
好きな言葉 心意気
嫌いな言葉 カタカナ語全般
家族構成 父 運送業 母 パート 妹 大学生
お大豆んは長男として生を受けた。幼い頃から周囲と明らかに違う自分に戸惑ったが、持ち前の心意気により確固たる自分を確立する。
己が一介の大豆であることを受け入れて、求道者のごとく実直に前へ前へと歩もうと、わずか6歳の頃に固く誓った。大豆のように、固く誓った。
「小生は一介の大豆に過ぎませぬ」が口癖で、口癖からも滲み出るその誠実さを評価されて、周囲から受け入れられた。
このことから彼は多少、姿形が異なれど根底にあるものは誰もが同じで、己が誠実でさえあれば心は通じあえるのだと学んだ。これこそがまさに仁義である、と深く心に刻み込んだ。
この体験により彼は、人と通じあえることに喜びを見いだし、さらに多くの人とも通じあえるであろうゆるキャラを目指したのだった。持ち前の心意気と仁義だけを、その胸に抱えて。
緒方さん、ぜんぜん、ゆるくないです。
大豆よりもがっちがちです。
早速迷走を始めた緒方さん。果たしてお大豆んが日の目を見る日はくるのだろうか…。