2015年04月19日 18時52分
【第百五十一回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
声優.銀河万丈先生の読み語り(朗読会)「ごんべん」
その第百五十一回目。
●『ラーメンに海苔は必要か?』東海林さだお
最近のラーメンに良く入っている海苔、
本来パリっとした食感と磯の香りを楽しむはずのこの海苔、
ラーメンにのるとスープに浸かってしまって
ベローンとした食感になってしまう上に
ラーメン屋さん自身がこだわりぬいたせっかくのスープの味も
磯っぽく変えてしまう、
そんな海苔ってラーメンの具として必要なの?
という話に始まり、
かつてラーメンといえばナルト、ほうれん草、海苔がのっていたが
ナルト、ほうれん草ともに消えてしまった。
そこを生き抜いた海苔ってやっぱり必要なのかしら?
という思考検討。
自分も「海苔っているのかな?どういう食べ方すればいいのかな?」
といつも悩みますね。
スープに浸ってデロンとした食感は全然楽しめる感じではないけれど、
かつて美味しんぼで語られた、このラーメンの具の海苔を
ライスに載せて食べるっていう、
ああいう感じの食べ方ならありなのかな?とも。
●『飴のひととき』東海林さだお
最近飴舐めてますか?
のど飴やらビタミンCやらという別の効能のあるヤツじゃない、
昔駄菓子屋で売ってたような「ただ甘ーい」、そんな飴。
ひさしぶりにニッキ飴などを見つけて買ったけど、
飴って口の中に入れた後舌で転がし甘さを楽しむ以外に特にする事もなく
(ガムと違って噛む作業などもいらないし)、
また味も「ただ甘ーい」が変化なく続くので思考の妨げにならない、
だから読書とかそういうのにもむいてるんですよね、
というお話。
冬に風邪が流行った時期にのど飴舐めて以来、飴舐めてませんわ。
飴舐めてもすぐにガリガリ噛んでしまうのと
飴舐めすぎるとなんか歯が痛くなるんですよね(虫歯?)、
なので。
●『プリズンホテル』【2】秋5・6 浅田次郎
ヤクザのヒットマン小説でブレイクした小説家にして、
極道親分かつプリズンホテルオーナーの甥。
父親の2番目の妻(義母、1番目には逃げられた)の甘やかしのせいか、
歯ブラシを用意されなければ歯も磨かない、
着替えを用意されなければ風呂に入る前に脱いだ服をそのまま着てしまう、
そんな無精すぎる小説家が叔父に再びプリズンホテルへ誘われて、
秘書代わりに使っている愛人(本物のヒットマンの元妻でちょっと頭の足りない薄幸の美人)、
キヨを呼び出そうとしたが心臓の悪い母親が急病で入院し、
娘が代わりに電話に出る。
この娘(6歳)がまた自分の母親の立場から家の貧乏ぶりから
この小説家頼みでなんとか自分達が生活出来ている事まで全部理解していて、
子供なのに炊事洗濯から美味しいコーヒー入れるまでなんでもこなす、
ほんとに健気な子なんです。
という事で小説家は(子供嫌いだけど)この出来た娘を
母親の代わりに秘書としてプリズンホテルへ連れて行く事に。
※ 銀河万丈先生が演じる子供(特に女の子)の演技が
なんとも泣けてしまうんです。
この娘、自分が母親代わりに小説家の秘書を頑張ろうと色々準備して
小説家が気まぐれで買ってくれたジャンバーを大事そうに着込んで
ぬいぐるみと子供には大きすぎる母親のキャリーバックを引っ張って
必死で待ち合わせ場所である上野駅へ。
※ 当時はまだポケベルの時代です。
そこで小説家を見つけられず
(小説家が先に娘を見つけているが性格の悪い為少女をそのまま影から見てる)、
ついには迷子な気持ちで泣きそうになった所で小説家登場。
そして、叔父(ヤクザの親分)と一緒に新幹線に乗るが
叔父はついに小説家が愛人だったキヨと身を固める気になった、
その為に娘を代わりに旅行へ連れて行ってやるのかと大喜び
(独身の自分に孫が出来たという気持ちに)。
目に涙を溜めながら少女を抱きしめようとするが、
少女は小説家の”秘書”として努めようと努力していて
全然叔父を相手にしてくれない。
で、
少女「お弁当とビールを買ってきましょうか?」と
母親の見よう見まねで小説家に言って、
小説家「全員分(叔父、小説家、叔父のボディガード達の分)とりあえずビール買ってきて」と。
買ってきたのはいいが子供には重かったビール6本を座席にポーンと放り投げて
これまた気を使って叔父に蓋を開けて渡そうとすると
ビールが勢い良く吹き出し小説家がビールびたしに。
そこで小説家に
少女「そそうしてすいません、私をぶってください!」と
謝罪するキヨを見て、
叔父がやっと「キヨとの結婚云々」ではなく
この少女が「本当に秘書になりきろうとしている」、
そして小説家も少女を「秘書」として冷たく使っている、
という事に気づいて激怒する、という5話。
※ もう話の流れ云々ではなく、銀河万丈先生の少女、
まだ6歳で色々と不安のある中、
それでも母親と家族の生活の為に小説家先生の秘書として頑張ろうとする
その健気な姿がイメージされて涙がボロボロ出てきてしまいました。
所変わって山奥のさびれた旅館に妙齢(30くらい)の女性、
かつてアイドル歌手を目指したが歌はともかく特に目鼻立ちが良い訳でもなく
たった4曲歌を出した所でTVその他からはすっかり消えてしまい、
今では旅館その他での宴会のイベントからお酌から
時にはお偉いさんの夜の接待まで、
そんな自分の境遇とその発端となった、元敏腕マネージャーで現在は自分のヒモに近い
昼間から酒を飲んで寝てるようなダメマネージャー林ちゃん、
ずっとずっと思っていた、
「この男を**い、そして再び新聞の一面を賑わして終わりたい」と。
このさびれた旅館で今も座椅子で酔っ払って眠っている
この男を包丁で刺し殺してもうこんなダメ人生は終わりにしよう、
その前に温泉に入って身も心も清めてこよう、
と温泉へ。
温泉から聴こえる誰かの鼻歌。
歌っていたのはヤクザもの達が好んでリクエストするあの曲
(自分には何か分かりませんでしたが)、
自分の嫌いなその曲からして関わらないようにしようと
離れた風呂に入ると
その老女といっていい先客は、そばにお酒を置いて風呂場酒。
なぜか話す事になってしまい、
結果その老女がかつて自分が新人歌手としてデビューした頃の大歌手
(自分が歌を練習するのをみてもらった事がある)、
そんな大歌手も今や酒で声も枯れ、
息子が麻薬で捕まってそのニュースで再度TVをにぎわす始末、と。
そして、女性歌手のマネージャー林ちゃんが元は
トップ事務所の敏腕マネージャーで
この元大歌手が「この娘はイケるわ!」と推した為に
当時事務所の「金の卵」であった女性歌手ごと
事務所を飛び出してしまった、
しかし大手事務所の裏切り者に対する圧力はすさまじく、
この女性歌手の全てのチャンスが失われてしまった、
という経緯まで。
※ この山奥のさびれた旅館からどうやってプリズンホテルに
関わっていくのかは今回分からず6話終了。
●『てんびんばかり』宮部みゆき
江戸の頃。
貧乏長屋に父、母、娘、と同じ構成で暮らす2軒の家、
その娘お吉とミヨ。
家族ぐるみの付き合いで勝ち気なお吉に対して
引っ込み思案のミヨはいつもその後ろに付いて回っていた。
川の氾濫で長屋のみんなが屋根の上へ逃げる中、
逃げ遅れた老婆を助けに行こうとした
お吉の父親はそのまま濁流に飲まれ行方しれず(死亡)。
そして水害の後は疫病、お吉の母親、ミヨ、そしてミヨの父母、
みんなが病気で苦しむのをお吉が必死で看病するが
お吉の母親は亭主を亡くした悲しみも手伝ってか
全く回復せずに亡くなってしまう。
お吉の母は最後まで「神様はなんで私達だけ・・・」と。
そしてお吉はミヨの父母の家に引き取られ4人での暮らし。
お吉もミヨも一緒にいられるだけで幸せだった。
しかしまたも不幸に襲われる。
ミヨの父が大工仕事で高所から落ちて亡くなり、
母親もその後を追うように病気で亡くなってしまう。
残されたお吉とミヨ。
お吉もミヨも「神様はアタシ達を見てはくれないんだ」と。
そしてミヨは生き残った2人だけはずっとずっと一緒にいよう、
いつか2人でめし屋でもやろう、
きっと亡くなった両親たちも喜ぶから、と。
しかしミヨに大料亭の主の後添え(妻を亡くしての後妻)として
縁談の話が来ると、
初めての惚れたはれたにミヨは舞い上がってしまい、
お吉と交わした約束の事も忘れたのか
何も言わずに結婚して大料亭の妻に収まる。
その中でお吉とミヨの付き合いは完全に途切れてしまう。
そして数年、お吉の中にはミヨを羨むような裏切られたような
なんともいえない気持ちがずっとくすぶっている。
※ そしてミヨをやっかむようなそんな気持ちを持つ事自体を
お吉は嫌だと思いいつもいつもモヤモヤと悩んでしまう。
昼の仕事(うどん屋)で働いている中、
長屋の小僧が「ミヨが来て長屋の主(老人)と話している、
主にそれを伝えるように言われた」と。
ミヨと顔を合わせづらいお吉は「今手が離せないから」と
そのまま小僧を帰してしまう。
その夜長屋のお吉の家に主が訪ねてくる。
そしてミヨが相談に来た、その理由をお吉に告げる。
「ミヨに子供が出来た、しかしそれは大料亭の主の子ではない」、と。
お吉に「告げ口するな」と忠告し長屋の主は帰っていく。
そしてお吉は気づいてしまう、
「そうか、告げ口すればミヨはあたし以上に不幸な事になるんだ」と。
※ 江戸時代不義密通(不倫)は打ち首獄門(らしい)。
しかしそんな事を考える自分を嫌に思い、
逆に嫌に思えば思うほど「告げ口」する姿を夢にまで見てしまう。
もやもやと悩んだあげく「長屋を出てミヨから離れた所へ行こう」と
お吉はうどん屋で一緒に働き自分に好意を
寄せてくれていた男(いわゆる”いい人”)と身を固め、
別の町にうどん屋を出す事に。
そして長屋を出る日、長屋の主があいさつに来る。
そして、
「自分に不義理の子供が出来た事を知れば、
きっとお吉は悩んで長屋を出るだろう、
一緒に働いている”いい人”と共に」
とかつてミヨが相談に来た日に主に伝えていた事、
かつてあれだけ一緒にいよう、と約束しておきながら
降って湧いた縁談話に舞い上がってしまい、
お吉を置いて1人だけ幸せになってしまった。
お吉とミヨの天秤は傾いてしまった。
だからこの不幸「不義理の子供が出来た(これは事実らしい)」を知った時、
これを長屋の主を介してお吉に知らせ、
お吉がどう判断するか、
・ 告げ口されてもそれでいい
・ ミヨの事を悩み、”いい人”と身を固めて長屋を出る
※ ミヨは大料亭に行ってから自分の居場所がない事に気づいて素に戻り、
その後ずっとお吉を心配して小僧に頼んで様子を見てもらっていた。
だからうどん屋の”いい人”の存在も知っていた。
きっとそのどちらかだろう、
どちらにしても少しでも天秤の傾きを戻せれば、と。
そしてそれきりお吉と長屋の主の会話も終わり、
この物語も終わり、という・・・
※ この物語を聴いている途中、自分は
(いつもならそんな思考は湧かないのですが)
「この物語は面白いのか?面白くなるのか?」と
モヤモヤした思考に悩み、その気持を追い出そうとしました。
この物語で「告げ口」しようか、とモヤモヤと思ってしまい
悩むお吉と同様。
そういう気持ちにさせたのはこの物語(宮部みゆき作)だったのか、
銀河万丈先生の朗読の妙なのか。
本来の自分なら、ミヨの不幸とその真意を知ったお吉が
ミヨの為に動いて一件落着するさままでを描いて欲しい、
と思う所ですが
期せずして本物語の主人公お吉と同じモヤモヤ感を
抱いてしまうという終わり方。
狙って作ったのなら作者か読み手かその両方か、
すごいなあ・・・
なんともモヤモヤしてその気持ちを吹っ切って、
そして何も解決はしないままに終わらせる、という。
余韻として「感動」「感激」という気持ちとは別に
こういう「モヤモヤ感」を与えるのも、
作品としては「アリ」なのか、と。。。
本当に何年聴いても銀河万丈先生の読み語り、
その中での各役の演じ分けは
「匠」の域にあるなあ、と。
月に1度だけの楽しみ。
だからこそ、最近過剰供給されている声優さんの中で
もっとこの「芸」を継ごうと活動される人が増えるといいなあ( ´ー`)
と思うのですが・・・
ここ数年どんどん新人声優が現れそして消えていきますが、
さすがに最近のアニメの主人公その他、
(新人さんについては)誰が声を当ててるのか、
聴いても分からないし
名前も分からなくなってしまいました。
(それなりのベテラン声優達なら聴き分けられるのですが)
一瞬だけ輝いて消えてしまうなんてもったいない。
それなら、銀河万丈先生みたいに「朗読」その他の世界で
「芸」を磨いてみては?と思いますね。
便漏れ@ベン・モーレン
朗読は奥が深くて不思議な雰囲気でハマるとやみつきになりそう。
2015年04月23日 13時58分
itomasa7
「物語」の良さと「読み手」の良さが揃えばベストで、どっぷりハマりますねー
2015年04月23日 19時03分