2024年10月18日 23時02分
甥が膝の上で寝た
「明日、子守りをしてくれないか」
兄は前日の夜に、連絡をしてきた。
実兄も義姉もそれぞれ自営業であり、たまたま双方が在宅しないことになってしまった、ということ。
同じ町内に住って一年余り。
初めてのことだった。
「いいよ、気にしないで」
二つ返事で諒解した。
当日の仕事を終えて、真っ直ぐに兄の家に向かった。
ギリギリまで在宅していた兄とバトンタッチし、彼は夜勤の現場へと出掛けて行った。
兄が用意してくれていた夕食を済ませて、8歳の姪、6歳の甥と3人並んでTVを見た。
UFOとエイリアンの特集だった。
私は、怖がる姪と手を繋いだ。
一方で甥は、私の膝の上に陣取ると、ものの5分で寝息を立て始めた。
19時30分だった。
私は動けなかった。
私は腹を立てた。
ただ近い血が流れているというだけの相手に、そんなに無防備な姿を晒してはいけない。
知能の発達し切らない子供は、野生動物に近いとも言う。
お前は気付かなくてはいけないのだ。
お前が身体を預けた相手は、お前を愛してはいないし、愛がわからない。
他者との暮らしに倦み、孤独に慣れたどうしようもない大人で、決して安心できるような相手ではない、と。
私はただ、彼のツヤツヤの天使の輪を撫でることしかできなかった。
「〇〇ちゃん、大丈夫?」
8歳の姪が、心配げに訪ねてきた。
「うるさい! お前も同じことを私にしたくせに!」
私は言えず、ただ彼女の頭を撫でた。