みそ(業務用)の日記

2022年05月29日 18時53分

夢の話

懐かしい夢を見た。
小学校高学年の頃、私は自意識過剰だったのかなんなのか、異性を前にするとしゃちほこばって口を聞けなくなるほどシャイだった。
当然友人は男だけで、女子と話したことなんてろくにない。当番とかで事務的な言葉を交わすことですらしどろもどろになる始末。そこまでいくともはや病気だ。
そんな困った病気を抱えた私に、ちょっと太めな女子が声をかけてきた。仮にこの子を佐藤さんとしよう。「何かいらないものあったらちょうだい」と言う。机に座って友人と話していた私はノートかプリントだかの端っこを破り、なぜかそれを渡した。
何を思ってそんなものを渡したのか、自分でもさっぱりわからない。意図がわからないにしても、もう少しましな物を選ぶべきだろう。消しゴムとか鉛筆とか。
それはともかくとして、佐藤さんは引きつった笑みで礼を言ってそれを受け取り、丸顔の女子に渡した。仮にこの子をかなちゃんとしよう。なんなのかよくわからなかったが、その日はそれで終わった。
後日、佐藤さんに廊下に呼び出されると、そこにはかなちゃんが立っていた。そして「好きです」と突然の告白。
私はそれに何と返したのかよく覚えていないが、とにかく困ったことだけは覚えている。女子と話せない病気の私は、もちろんかなちゃんと言葉を交わしたことなんてない。そもそも異性と付き合うとか好きとか、そんな概念がまだ私にはなかったように思える。
それも無理はない。男兄弟の中で純粋培養された私にそんな概念は育たない。女子というのはなんというか、遠くにいて華やかな、話すことも触れることも許されない未知のなにかだった。
ともかく私が困っていることは伝わったのか、その日はそれで開放された。たぶんあーとかうーとか、意味のないことを言ってもじもじしていたのだろう。ごぼうじゃあるまいし、もう少しシャキっとしろ。
後日の帰り道、家が大好きな私はうきうきと歩いていた。背後から走る音がして、なんだろと振り向くと佐藤さんに声をかけられた。
「ねえ、かなちゃんはあんたのことほんとに好きだからね」
と念を押して、私の反応も待たずに走って行ってしまう。まあ待たれたところでポカンと口を開け放していただけだと思うが。
そして当然のようになんの進展もなく中学校に上がり、私はようやくあの真相を知れた。
「かなちゃんさ、小学校のころ罰ゲームで告白したんだって」
「え、そんなことしてたんだ」
「うん、なんか冴えない子に」
クラスの女子がそんな話をしているのをたまたま耳にした。偶然だったのかどうかは、今にして思うと少し疑わしいが。
ともかくそれはたぶん私のことかと思い、納得した。怒りとか恥ずかしさとかそんなものはまったくわいてこなくて、ああなるほどなと腑に落ちた。
そりゃそうだよなとうなずき、なかなか手のかかることをした割には、反応が薄すぎて申し訳ないことをしたなと思った。

t…‥u

イイ!!を押したけど内容はナイワーな感じですね 罰ゲームて何の罰だよって言う 誰も得しない
子供ってたまにこういう残酷なこと平気でしますよね

2022年05月29日 22時42分

みそ(業務用)

t…‥uさん よくわからないからなかったことにするという荒業を使う私でなければ、深く傷ついていたことでしょう。
しかし女子に対して恥ずかしいから、何を話したらいいかわからないからとコミュニケーションを閉ざしていた私もよくはないなと思います。

2022年05月29日 22時52分