恋する寝台特急物語

20XX年。東京のある家。二人の夫婦が暮らしていた。土曜日。妻は食事の片づけをし、夫は新聞を読んでいた。すると、夫が突然声を上げた。
「なんてことだ…」
「どうかしたと?」
「来月のダイヤ改正で寝台特急が全廃…」
「そがんね!寂しかねぇ」
「なぁ、ついでだからさ、長崎行かないか?有休取るよ」
「ああ、よかねぇ。お墓参りに行こう」
岡本博也35歳。妻のとわこ35歳。二人の出会いは17年前に遡る。
夏休みに入った博也は長崎に居た。観光名所を巡りつつ、東京に帰る時だった。当時、高校生にしては時給のいいバイトをしていた。
列車に乗り込み、駅弁を平らげた。すると、とわこがやってきた。
博也は「どうぞ宜しく」と声をかけたが、返事が無かった。とわこは寝台に座り、無言で時間を過ごした。
博也は眠り薬代わりに、ビールを開けた。その時、しくしくと泣き出すとわこがいた。
「どうしたの?」
彼氏に振られたったいね」初めて口を開いた。
「何処まで行くんだ?俺は東京に帰るんだけどさ」
「私も東京まで行くと。憂さ晴らしに」
「あ、俺岡本博也っていうんだ。名前は?」
「私は瀬戸とわこ。18歳」
「良かったー。てっきり20超えてたかと思った」
「私がオバサンってことね?失礼な!」
「違う違う!大人っぽいなぁって」
「貴方はいくつね?」
「俺も18。就職活動に嫌気が差してきて逃げてきた。だけど現実に戻んなきゃなって思ってね」
「そがんね。で、18でビールば飲んでよかと?」
「いいんだ。俺の中では何ならウィスキーもあるよ」
「へー。面白か人ね。ちょこっとウィスキーばもらおうかな」
「いいよ。封切ってないから」
「もらうね」と言って、顔をしかめた。
「んー、やっぱウィスキーより焼酎がよか」と言って、地元の焼酎のワンカップを取り出した。
「なんだ、君も飲むんじゃん!」えへへととわこが笑った。
「こいは(これは)貴方にあげる」
「じゃいただきます」封を切り、少し飲む。
「うまいなぁ…やっぱ寝台特急で飲む酒はうまい!」
二人は酒を飲みながら博多まで語った。学校の事、進路の事、プライベートまで語り合った。

いとくず

良いですね

2019年08月15日 07時00分

米倉恵蔵@エロセクハラミータンスキーな部長

いとくずさん 今後のストーリー展開をどうするかだね…

2019年08月15日 07時43分