新幹線恋物語3

(お疲れ様です。今度の金曜日空いてますか?)
(はい。空いてますよ?)
(良かったら飲みに行きませんか?)
(いいですよ!楽しみにしています)
などとやり取りした。出張から帰って1週間後の事だった。進一からラインを送った。でも気になる事がある。歳と彼氏持ちかを知らない。家は最寄りの駅でわかる。それが気になった。でも飲みに行った時に聞こう。進一はオフィスを後にして営業へ向かった。
金曜日の19時。難波駅
「北村さん」
「岡崎さん。お疲れ様です」
「お腹空いちゃいました…行きましょうか?」
「そうですね」二人は近くの居酒屋へ入る。ビールとつまみを頼み、それを食べた。最初は仕事の話で盛り上がっていたが、酒が進むに連れて、プライベートな話となった。肝心の歳と、彼氏の有無を聞かねばならない。
「岡崎さん失礼ですけど、お歳はいくつで?」
「あ、恵って呼んで下さいよぉ。30でーす!」陽気に答える。
「俺の事も進一って呼んで下さい。俺も30なんです。彼女は居ないんだな」
「良かったぁ。彼女いるかと思ってた。私は彼氏なしでーす!」それを聞いたとき、進一はよっしゃ!と心の中で叫んだ。日本酒がやって来て、恵が徳利を持ち、お酌をしてくれた。
「こりゃどうも!ご返盃」恵のお猪口に酒を注ぐ。
「進一さんと飲むの楽しいな。2回も同じ新幹線の席で偶然会っちゃうんだもの。」
「俺も嬉しいよ。出会いに乾杯!」
「やーだー!古臭い!乾杯!」
二人は終電近く迄飲み続けた。外に出ると、寒さで酔いが少し覚めた。
「今日はこの辺でお開きにしようか?」
「そうね。また時間ができたら飲みましょう?」
「それじゃ、また」
「着いたら連絡するね」恵はそう言い残し、二人は別れた。