今回、紹介させていただく本はこちら、西加奈子さんのサラバ！です。
西加奈子さんは説明するまでもない人気作家ですね。とてつもない感性の持ち主だと思います。

サラバ！は圷歩という男の自叙伝、という形式で綴られた小説です。
圷家は優しい父、自分本意な母、自己顕示欲が強く奇行を繰り返す姉、やたらと周りの目を気にして立ち回る歩、という四人家族です。
母と姉の争いを間近で見て育ったせいで歩は、周囲におもねるところがある、小賢しい性格に育ちます。
父の海外赴任先であるエジプトで歩は、ヤコブというエジプト人の少年と出会います。歩とヤコブの間には言葉の違いという隔たりがあったのですが、彼らは彼らにしかわからない言語で会話し、その絆を深めていきました。
彼との出会いで歩の日々は色づきました。
しかしそれも長くは続かず、歩は日本で暮らすことになってしまいます。

歩の語り口調がユニークで、すらすらと読めます。人生の絶頂も底辺も、どちらも同じように語られていて、ああそうなのかとすんなり頭に入ってきました。
上中下巻と出ている長い小説ですが、話に引き込む吸引力がすさまじく、先が気になってどんどん読んでしまいました。買うなら一気に上中下巻を買うべきです。