2018年01月20日 11時45分
本紹介 彼方の友へ
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今回紹介させていただく本はこちら、伊吹有喜さんの彼方の友へです。
この人が書く本はすべて面白くて大好きなのですが、その中でも特に夢中になって読んだ本です。
戦中の東京を舞台に、乙女の友という雑誌作りに励む人々を描いた小説です。
乙女の友は名前のとおり乙女のための雑誌で、その読者を親しみを込めて友と呼んでいます。友のためのうつくしい絵や詩、小説などが載せられた華やかな雑誌です。
主人公である佐倉波津子は乙女の友の大ファンでしたが、あることをきっかけに乙女の友の編集部で働くことになります。
誌面の向こうにいた憧れの主筆や絵師。彼らとともに働けることを喜びながらも、仕事を任されないことに波津子は苦悩します。
自分は必要とされていないのでは。
そんな思いを抱えつつも、波津子はひたむきに自分ができることを積み重ねていくのでした。
どんなに厳しい状況であろうとも、待ってくれている友のために最上のものを届ける。その思いを胸に雑誌を作る人々の誠実さに感動しました。
すごく最後が気になるけど、読み終わりたくない。もっと読んでいたい。
強くそう思いましたが、最後はもう涙が止まらなくなるくらいに素敵な終わりかたでした。
まだ大判しか出ていませんが、間違いなく面白いのでぜひとも読んでほしい一冊です。