鈴木かえる@Mieの日記

2017年12月27日 04時25分

ハードボイルド。

「ねえ、ちょっと助けてくれる?」
いつものバーで疲れを癒やす旅鳥のように独り心を癒やしていたオレに声をかけてきたオンナ。
「あいにくそんな暇はねーよ。」
いつものレッドアイサンライズを呑みながら一瞥することもなく、無下にもなく断る。
めんどくせぇ、助けろっていったって勘定がたりなかったとか、そもそもオトコに払わせようって魂胆なんだろう。くらだらないね。

「そんなこといわないでさー、助けてよ。」
「どうせ勘定をオトコに払わせようって魂胆だろ。他をあたりな」
対話するまでもなく、決裂に持ち込みたいオレ。

「ちがうってばー、あそこのオトコたちのナンパがうざくて。ちょっと助けてくれない?」
「何だ、自慢か?そういうのはうんざりだ」
「ほんとだってばー。さっき席外して戻ろうとしてらあいつら私の飲み物に何か入れてたのを見たのよ。ちょっと怖くて。」
・・・ふん、オンナもオンナならオトコもオトコだな。だが、いけすかない真似をするオトコ共もだ。正攻法でダメなら搦手ってか。
「はん。だったらオレに声をかけるまでもなく、さっさと帰ればいいじゃねーか。」
「それはそうなんだけど・・・しつこくて。ここを出ていっても追いかけてきそうで・・・。」
言いよどむ、オンナ。ちらりとその彼女の横顔をみる。クスリいれてでもモノにしたいオンナってだけある。
「わかったよ、わかった。で、どうしてほしいんだ。たまたま出あった兄か弟の友達って設定でもほしいのか?」
「あ、話分かる人で良かったー。私もそう考えてたところなの。奇遇~」

奇遇じゃねーよ。
「で、どうすれ・・・・・」
オレの言葉は彼女の唇でさえぎられ、その直後に半熟の黄身のようなまろやかな舌がオレの唇を舐める。
仕方ない、乗ってやるか。
彼女の後頭部に空いた手を伸ばし、こちらも応戦する。目には目を、舌には舌を、ってやつだ。

とろけるような熱いベーゼを交わしながらもオレの頭は冷静、、、だったはずだ。
<以下続かない>