2017年12月13日 20時52分
みそ氏の四半世紀あまり
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みそ氏は小さな港町で産声をあげた。みそ氏が産まれたその途端に、これまでの嵐が嘘のように静まり、晴天の空に大きな虹がかかったと言われている。
みそ氏が虹を呼ぶ男と呼ばれていたゆえんであるらしいが、たぶん嘘八百だ。
特筆すべきこともなくすくすくと成長したみそ氏は、幼稚園にして初恋に落ちた。なかなかのおませさんである。
ちなみに恋に落ちた理由は、冷たい目で「邪魔よどいて」と言われたから、らしい。みそ氏のドM気質はこの頃からすでに始まっていたのかもしれない。
粘土で作った薄気味悪い人形をプレゼントしたり、熱いお茶を一気飲みして男気をアピールしたが、すべて徒労に終わったそうだ。子どもにしてもアプローチの方法がどこかおかしい。
小学生時代のみそ氏はランドセルを背負わずに堂々と登校するという、札付きの悪だった。というわけもなく、ただのうっかりさんである。
しばらくそのことをクラスメートに笑われ
たが、みんなを笑わせる私は人気者だな!とほくそ笑んだそうだ。前向きなのか、それともただのお馬鹿さんなのか。
おそらく今と変わらず、何も考えていないだけだろう。
思春期真っ盛りとなったみそ氏は、大きな悩みを抱えていた。女子と上手く話ができない。
会話のきっかけは何度かあったが生来の人見知りと、思春期特有の異性をやたらと意識してしまうことが重なった結果である。
仲の良い男子とは意気揚々と話すくせに、女子を前にすると途端に地蔵の如く話を聞き、見守るだけの姿勢になってしまう。
このことから、女子と話さないみそは実は男好きなんじゃないか、と密かな疑惑を抱かれていたらしい。
言うまでもなくみそ氏は、筋金入りのムッツリスケベである。当時も女体への尽きぬ興味は人一倍だった。
そんなみそ氏に転機が訪れた。発酵界隈からお誘いがきたのだ。
みそ氏の発酵指数は人間にしておくにはもったいないほどずば抜けており、発酵食品となればそれはもうエリート中のエリートになれると。
婚カツ中の女性並みにエリートという言葉に弱いみそ氏は一も二もなく承諾した。みそ氏は意味がよくわからなくとも、カッコいい響きの横文字をやたらと好む。
あれやこれやと難しい漢字が並ぶ書類にサインをすると、みそ氏は怪しげな施設へと連れていかれた。
不安を口にするみそ氏に「大丈夫、みんしていることですから」と桃色映像でよく聞く台詞が返された。みそ氏は感動のあまり不安も忘れたという。こいつ馬鹿なんじゃないだろうか。
あれよあれよという間に見たこともない装置に入れられ、気がつくとみそ氏は立派な味噌になっていた。
これが知られざる、いや、誰も知りたくもない味噌氏の偽らざる四半世紀あまりである。
みそ(鳩胸)
似た者同士かもしれませんね、私たち///
2017年12月13日 22時39分