みそ(鳩胸)の日記

2017年09月21日 22時00分

発酵探偵ミソーン file5

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越後屋は不動産業を中心に飲食店などの店舗経営にまで幅広く手を広げ、環境問題にも取り組むクリーンな大企業。表向きにはそう知られている。
ところがどっこい。性格がいい美人になかなかお目にかかれないように、クリーンなだけの大企業なんてのもなかなかお目にかかれない。
越後屋は裏で反社会的な組織と密接な繋がりがあり、かなり悪どい儲けかたをしていた。奴らに泣かされた人は相当な数になることだろう。まったく、憎まれっ子世にはばかるとはこのことかね。

先代の幼なじみであり奥さんとなった、マリアさんはそうとは知らずに越後屋と関わりを持っちまった。
このときはまだ、先代も越後屋について深く知らずに止められなかった。先代はずっと悔やみ続けていたな。
マリアさんはあの偉大なる味噌職人ジョン=コージー博士の一人娘で、父が完成させられなかった万能味噌『美味噌』の研究に励んでいた。

コージー博士の晩年は何かに取り憑かれたかのように、美味噌の開発に日夜没頭していたという。
「これが完成すれば皆が美味しいものを食べて、幸せになれるはずだ」
さかんにそう言っていたらしい。子どものように純粋なことだが、コージー博士は美味噌に人々の幸せなんていう大層な願いを込めていた。味噌は人の幸せのためにのみある、を座右の銘にしていたコージー博士らしいことだ。
そして死の間際に「必ず美味噌を完成させてくれ」と娘であるマリアさんに託した。父の遺志をマリアさんは受け継ぎ、美味噌の開発に人生を捧げたという。

美味噌はこれまでの味噌とは根本的に違う性質をもち「えもいわれぬ芳醇な香りを発し、これをつけたものはあらゆるものに勝る美味になる」らしかった。
コージー博士とマリアさん、二人の天才的な頭脳により長い年月を経て理論は完成した。あとは理論を実践し、美味噌を完成させるだけだったがひとつ大きな問題があった。
研究費用が底を尽きようとしていたのだ。

すでにマリアさんの夫であった先代は、腕はいいが稼ぎの悪いしがない探偵。頼れる親類もいないしどうしたものか、と思っていたところにやつらがあらわれた。ハイエナ並みに鼻がきくやつらだぜ。
越後屋はコージー博士の偉業を称えて、その遺志を継いで研究に励むあなたに是非とも協力させてほしい、と耳障りのいい言葉を並べ立てスポンサーとなった。

先代は美味すぎる話を疑ったが「これで父の夢を叶えられる」と涙ながらに喜ぶマリアさんを見ると、なにも言えなかったらしい。
密かに越後屋を探り始めた先代だったが時すでに遅し。コージー博士とマリアさんの夢の結晶である、美味噌が完成したのだ。

黒豆

美味噌!

2017年09月21日 22時10分

みそ(鳩胸)

ついに出た、美味噌!

2017年09月21日 22時19分