みそ(鳩胸)の日記

2017年09月12日 22時00分

発酵探偵ミソーン file1

タグ: 発酵探偵

俺の名はミソーン。顔だけは一流な、しがない場末の探偵さ。人からは発酵探偵なんて呼ばれている。得意分野は浮気調査。他人の不幸が飯の種ってわけだ。
そして今日もまた、浮気調査のご依頼が舞い込んできた。まったく、こんなにお客さんが来るなんて、近頃の倫理観は素晴らしいね。

依頼主の名前はホン=ミリーン。24歳の地味で大人しそうなレディだ。けれどこういうタイプに限って夜は意外と…おっと、今それは関係ないな。書店員だと言われて妙に納得しちまった。
調査対象は彼女の夫であるカツオ=ダーシ、29歳。半年前にオープンした熟成焼肉店『たらふく亭』の店員だという。写真を見せてもらったが、これがまたなかなか派手なヤツで、いかにも女遊びが好きそうな見た目をしていやがる。

ホンとカツオは結婚してまだ3ヶ月で、こじんまりとしたアパートを借りて暮らしている。3ヶ月ならまだまだ甘々な新婚生活を営んでいそうなもんだが、ところがどっこい。
最近カツオの帰りが遅くなり、時には朝帰りもするらしい。仕事が忙しいんだ、というありふれた言い訳を信じるほどホンもうぶではない。
カツオがシャワーを浴びている間に、こっそりと奴のスマホを見たらあら大変。職場の女将とのあやしげなやりとりが満載だったらしい。女将はもう50に近い年齢だというから、本当に関係があるとしたらカツオのストライクゾーンはかなりの広さだ。

「つまりカツオは女将の熟成された色気に惹かれて、肉欲の炎にその身を焦がしちまったのかもしれないわけだ」
ホンが帰ったあとの探偵事務所。俺の愛猫にして相棒である、黒猫のあずきに上手いことを言うもそっぽを向かれちまった。
「なに詩的に言ってるのよ。単なる浮気で、私たちはその現場を写真に撮って押さえないといけない。つまりはいつもどおりじゃないの」
こいつは猫のくせによく喋るし、なかなかのリアリストだ。猫ってもんはだいたい夢の中にいるもんじゃないのか。
「そうだけども、日常にちょっとはロマンがあってもいいじゃねえか」
「浮気のなにがロマンだ。そんなものより、早く私のご飯をいいものにしてよ。もう3個で500円の猫缶は食べ飽きたわ」
ワンランクアップしろと威嚇してくる。なんとも食い意地のはったお猫様だ。
「へいへい、それじゃあ美味しいご飯のために働きましょうか。あずきは女将の方をあたってみてくれ」
あずきは喋りさえしなければ、気品のある優雅な黒猫に見える。優雅な黒猫が寄ってきて悪い気がする人はまずいない。それにどこにいてもあまり怪しまれない。猫は気紛れにお散歩するもんだ。猫ほど調査に向いている生き物はまずいないだろう。
「それはいいけど、ミソーンはどうするの?」
「俺は男の方をあたってみる。奴が勤務するたらふく亭に調査に行かねえとな」
たらふく亭はお肉はもちろん、えもいわれぬ芳醇な香りがしてどんな食べ物ともあう、という味噌ダレが評判の店だ。
えもいわれぬ芳醇な香り、ひょっとしたらアレが使われているのかもしれない。いずれは調査しなければ、と思っていた店だからこれは渡りに船だ。いや、一石二鳥か。まあどちらでもいい。
「ずるい、そう言って熟成肉をたらふく食べてくるつもりでしょう!たらふく亭だけに!」
「まさか、調査だよ、調査。客として近づくのが一番手っ取り早いだろ」
「もう、お土産忘れないでよね!」
あずきは尻尾を大きくふりふりと振りながら、不貞腐れたように猫用の出入口から出ていった。焼肉店に猫が食べられるお土産なんて売っているのかねえ。

みみた

今後の展開に期待してます!

2017年09月12日 22時02分

みそ(鳩胸)

みみたさん
見通しはあんまり立っていません!

2017年09月12日 22時08分

黒豆

面白いです ミソーンさんの活躍が気になります!
たらふく亭行きたい!応援してます(*´ω`*)

2017年09月12日 22時15分

みそ(鳩胸)

黒豆さん
ありがとうございます!
ハラミがオススメらしいです。次は土曜日あたりかのう。

2017年09月12日 22時24分

一汁一菜子

明日焼肉屋にいくからそわそわしちゃう。

2017年09月12日 22時52分

みそ(鳩胸)

一汁一菜子さん
ひょっとしたらその焼き肉屋さんに…。

2017年09月12日 23時00分