2017年09月03日 21時15分
お尻かじられ虫 後編
タグ: 尻話
かじられ君の研究は日々進められた。弾力性や柔軟性のテスト、人のお尻との細かい相違点などなど、様々な小難しいものだった。
やがてかじられ君と尻子を並べて寝かせて、どちらのお尻がかじられるのかを実験する段階へと移った。不思議なことに眠りについていないと、お尻をかじる虫はお尻をかじらないのだ。
睡眠薬のせいで薄れゆく意識のなかで、二人はお互いの無事をお尻の神様に強く願った。
結果はすべてのお尻をかじる虫がかじられ君へと向かい、尻子の桃のようなお尻はきれいなままであった。
一方でかじられ君は無惨に薄くなり果てていた。あれほど張りと弾力があり、これぞお尻といわんばかりの綺麗な形をしていたのに、空気が抜けて萎んだ風船のようになっていた。
かじられ君の変わり果てた姿を見た尻子は思わず、グラビアアイドルにしては薄いその胸に彼を抱きしめた。
「ごめんね、私たちのお尻のために、あなたの立派なお尻を犠牲にしてしまって。本当にごめんなさい」
「よいのです、尻子さん。私の尻ひとつで皆様のお尻を守るための礎となれるのなら、本望です。私の分まで、あなたはこれからも尻道を極めていってください」
今にも泣き出しそうな尻子をなだめるような、お尻のように柔らかな声だった。
「そんなのってないよ!二人で尻道を極めようって約束したじゃない!そんなのって…ないよ……」
尻子の大きな目にたまっていたあたたかな涙が、かじられ君の萎んだ身体を濡らした。かじられ君はお尻よりもやわらかく、あたたかなものが世界にはあるのだと知った。
すると、奇跡がおこった。
風船のように萎んでいたかじられ君の身体が、空気を入れられていくようにむくむくと大きくなり、やがて以前よりも張り艶のある見事な美尻へと復活したのだ。
「おや、これはどうしたことか。マリリン・モンローもびっくりな美尻ではございませんか」
鏡に写し出された自らの美尻に見とれるかじられ君を、尻子は泣き笑いながら強く強く抱きしめた。
この奇跡を目撃した尻守の面々も思わず涙を流し、互いの尻をさすりあった。
こうしてその有用性を認められたお尻かじられ虫は増産された。
お尻かじられ虫の尻には、お尻をかじる虫だけに効果がある殺虫剤が仕込まれており、まんまと引っ掛かったお尻をかじる虫たちは一切の姿を消した。
現在、グラビアアイドル尻子と最初のお尻かじられ虫、かじられ君は「桃尻ーズ」というコンビを組み大活躍している。今やテレビで桃尻ーズを見ない日はない。
「皆様のお尻の身代わりになるために生まれてきた私が、こんなに幸せでよいのでしょうか。多くの同胞が犠牲になったと言うのに、私だけが…」
かじられ君はぼろぼろになった尻を晒した多くの同胞を思い、尻すぼみにつぶやいた。
「なに言ってるの。かじられ君は生き残ったんだからひたすらお尻を鍛練して、これからも世の中にお尻の魅力を伝えていかなきゃならないわ。もっとお尻のように柔らかく物事を考えていいんだよ。ほら、行こうよ」
かじられ君のお尻をバチンと叩いて立ち上がると、尻子はしり込みするかじられ君の手を握って歩き始めた。ひたすら前向きな尻子にかじられ君は救われたような気持ちになり、ありがとうとささやいた。
今日も二人は自慢のお尻をぷりぷりとふって、世の中にお尻の魅力を伝え続けている。
みみた
血迷ったか……(冷静
2017年09月03日 21時21分
みそ(鳩胸)
みみたさん
もう一生分のお尻という字を使ったかもしれません。
2017年09月03日 21時28分