みそ(鳩胸)の日記

2017年08月22日 19時09分

誰が求めた発酵書評 その1

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小声でささやくといっても、ささやき女将ではありませんよ。
身長2メートルを越す筋肉ムキムキなオカマ、ゴンママ。ゴンママは、夜はスナックひばりのママで憩いの場を提供し、昼は趣味である筋トレに励むためジムに通っています。ゴンママはカラスの羽ばたきのようなウインクをしたり、風圧を感じさせる投げキッスをしたりと非常にパワフルなオカマです。

スナックひばりにはどう見ても未成年にしか見えない美少女バーテンダーがいて、小粋なカクテルを出してくれます。
ジムに通う常連たちも、金髪ソフトモヒカンでマシンガントークの歯科医や、やたらとセクシーな謎の美女などと個性的です。
タイトル絵にも描かれている黒猫のチロも気紛れで愛らしい。

個性的なジムの常連たちが抱えたそれぞれの問題を、ひばりで小粋なカクテルを出して受け止める。マッチョなオカマが。そういう内容です。
これだけ聞くとかなりぶっ飛んだ内容に思えて敬遠してしまいそうですが、そうするのはもったいない。実際、私もそのあらすじだけでちょっと敬遠していました。

しかし実際に読んでみると明るくカラッとした、いやらしさの欠片もない下ネタを言うゴンママの勢いに引き込まれて、すらすらと読んでしまいました。
その一方でジムの常連が抱えた悩みは切なく深刻だったりして、涙なくして読めないものもありました。それをゴンママはさらりと受け止めて、小粋なカクテルとあまりうるさくない言葉で応える。
それで常連の悩みが完全に解決されるわけではないのですが、前向きになり少しづつ変わってゆきます。
嫌味なくそれが書かれていて、読んでいてすっきりする作品です。