2016年10月16日 18時08分
【第百六十九回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
銀河万丈先生「今日はお天気もよく行楽日和という事で、
人の入りが悪いですねえ」との事でしたが、
いつも来てない(顔や声に覚えがない)人が多かったんです。
で、その人達のマナーの悪さが酷くて、
最後銀河万丈先生が「いや、つまらない時間が長くて(みたいな意味の言葉)で申し訳ない」って
謝ってました。
朗読中に平気で指をポキポキ鳴らす連中(男性女性何人もいて驚きました)、
仁丹かフリスクか知らないけどずっと振り続けてる人、
冊子か何かをずっとペラペラやってる人、
みんな非常にノイジーで迷惑千万でしたわ。
映画館でもこういう人っているんですが、
自分だけの世界にでも入っちゃってるんですかね?
周りが全く見えてないのかしら?
マナーないわあ・・・
●『コンビニおでん 食いたい』東海林さだお
●『コンビニおでん 食いたいつづき』東海林さだお
東海林さだお先生はコンビニおでんを買って食べた事がなく、
いつもレジの横から香るおでんの匂いに、
「1度でいいからコンビニおでん食べてみたい、
でも買い方の作法が分からない、どうしよう」というお話。
おでん屋台なら食べたいもの3品ぐらいずつ頼んでは食べて、
また腹の具合をさぐりながら頼んでは食べて、
の繰り返しですが、
コンビニおでんは一気に店員さんに注文しなければならないので、
何が食べたいか(計画的に)考えてから行かないといけないのかなあ?
とか、
後ろの人が並んじゃったら
お客さん「(おでん食いたいなら屋台でも行って食えばいいじゃねーか!)」
とか思われないだろうか?
とか、
近所の人に会っちゃったら「今日の晩飯はおでんですか?」とか
聞かれちゃったりするんだろうか?
と悩む所から、
いざ、(近所の人に会わない為に)遠方のサンクスへ行って
お店の混み具合までチェックして
「いざ!」と店員さんにおでんをお願いしたら、
なんと自分で取るタイプのおでん販売で、
大きい方の器を取ったはいいけど、
コンビニおでんのタネ(具)って小さいから
思った以上にスペースが空いちゃって
店員さん「(だったら小さい方の器で良かったでしょ)」と
思われないかな?
とか、
タネはお値段があるからいいけど、つゆはどこまで取っていいんだろう?
容器のスペース開いてるから3杯、4杯とすくっていったけど、
「そろそろルール違反になっちゃうのかな?」
とか、
悩んだりした、というお話でした。
たしかに自分も、コンビニおでん買うのって深夜近くとか
ほぼお客さんが並ばない時間にしてますね。
そうじゃない場合はレジ混ませちゃうからなんとなく諦めちゃいます。
ただ、お家で作るおでんより、
コンビニおでんの方が美味しいんですよねえ、うちの場合は。
※ うちで普段使ってるあの赤い箱のおでんダシがどうにも美味しくない。。。
※ あと、東海林さだお先生は、
「おうちのおでんはふつうグツグツ煮立ってたりするのに、
どうしてコンビニおでんはまったく煮立つ感じがないんだろうなあ、
風情がないなあ」とも言ってました( ´ー`)
まあ、沸騰してたら煮詰まって味が変化しちゃうし、
店員さんがみはらなきゃいけないなど大変ですからねえ。
●『どっちだ?』あさのあつこ
あさのあつこさんと言えば、
最近アニメ「バッテリー」(原作あさのあつこ)にて、
「まったく野球しない野球アニメ」という
クソ褒め言葉をいただいてました。
※ 僕もあまりに野球場面がないので、
すぐに切っちゃいました。
(声優の内山昂輝くんと畠中祐(はたなかたすく)くんの声は好きだったんですが)
周りいわく単なるBL腐女子向けだ、との事。
アニメ「No.6」とかは好きでしたが、
あれも男同士でキスしたり、
あさのあつこ=BL小説家、というイメージが多いそうです。
そんな作家さんを珍しく銀河万丈先生がチョイスした訳ですが、
始まりからあさのあつこさんが岡山(地元だったかな?)に行った時、
すごい夜霧が出た日があった、
子供の頃山の木陰や岩の窪みに秘密基地を作って遊んでたけど、
あれって本当は結構危険な事だったんですよね、
などなどの日常話(コラム、でいいんでしたっけ?)を
延々話すくだりから始まって
※ ここははっきりいって「物語」じゃない文章の書き方なので、
銀河万丈先生としても「演じ」が大変そうでした。
作家「あさのあつこ」という全く分からないキャラを
想像して演じる必要がある訳で・・・
その夜霧の日の深夜近くに、
タクシーで60kmぐらい離れたホテルまで帰る際、
街中(ほぼ霧は出ていない)ではすごく饒舌にお話していた運転手さんが、
夜霧の噴出元の川のそばになったらいきなり無口になり、
そのおどろおどろしい雰囲気(夜霧の街と運転手さん)から
「どこか違う世界にでも連れて行かれちゃうのだろうか?」など妄想したけど、
現実はそんな事はありません。
と、いったんお話を切って、
「でも、”物語”の世界は違います」と、
ここから実際の作.あさのあつこの「どっちだ?」の物語の始まり始まり。
ある男がすごい夜霧の出ている深夜、
タクシーに乗ってホテルへ帰る所。
タクシーの運転手は愛想が悪く、何を言っても
「はぁ」とか「ええ、まあ」とかしか言わない。
で、夜霧の噴出元の川のそばあたりでいきなり
運転手「お客さん、霧って好きでしたか?」
という訳の分からない質問をされ、
答えあぐねた上で
「何を考えてるんだ、この運転手は?」
と、後ろから前の席のタクシー運転手証を覗き見ると、
聞き覚えのある名前。
しかし、「彼」であるはずはなかった。
彼とは子供の頃仲良しで、
一緒に山の岩場を掘って「秘密基地を作ろう!」と約束したが、
待ち合わせの日、男は高熱を出してしまい約束を守れませんでした。
それから数日後、母から
「○○くん(運転手)は1人で岩場を掘っていて生き埋めになって
亡くなってしまった。なんで1人でそんな所にいたんだろう」
という話を聞かされた、という。
そして祖母が言っていた。
「濃霧の日はこの世とあの世の境があいまいになって、
死人が『自分が死んでいる事』を忘れてこの世に出てきてしまう」と。
この運転手がまさに昔の友達で、死人がこの世に出てきてしまった、
と考えて恐れる男。
そして、いきなりタクシーは止まる。
男は「ごめん、○○ちゃん!あの日、あの日自分が行けなくて!
許してくれ!」
と叫ぶが、タクシー運転手もまた
運転手「ごめん、××ちゃん!あの日親戚が来て約束を忘れてしまったせいで
あんな事になって!許してくれ!」
と謝り始め、
「果たして”死人”はどっちなのか?(どっちが死んでいる事を忘れているのか)」
というオチで終わるお話でした。
※ この物語に合わせてのピアノ演奏もかなりおどろおどろしくて
ドキドキしました。
これは10月よりあと2ヶ月前(8月)に、
怪談話として聞きたかったかなあ、
と思いました( ´ー`)
あさのあつこ、普通の物語も書けるんじゃん。
●『闇討ち』藤沢周平
江戸時代、魚を焼く煙でくもりきった居酒屋に
目つきの悪い老人が3人。
3人は隠居した武士。
昔は、名門剣術道場の三羽烏と呼ばれた面々。
そのうち1人(げんのすけ)は、
ある失敗から家の俸禄(ほうろく、お給料、お家の大きさなど)を減らされていて、
それを息子夫婦に継いでしまった。
そんな時ある筋から「闇討ち」(暗殺)を引き受けてくれればその俸禄を元に戻す、
という話を受けたという話を2人にします。
2人は
・ まさか我々にも手伝えというのか?
・ 闇討ちなどバレたらお家おとりつぶし、打ち首もあるぞ
・ 闇討ちが成功しても、今度はその秘密を知った
依頼主(首謀者)に命を狙われるぞ
などとげんのすけを止めようとしますが、
げんのすけは
「今でも剣の修行はかかしていない、自信はある、
また、依頼主に騙されたとしてもなんとかなる」
と、どうしてもこの仕事を受けようとします。
※ 依頼主や闇討ちする相手、決行する日どりなどは教えてくれませんでした。
ただ2人に、「もしもの事があったら、後始末を頼む」と。
※ げんのすけはこの居酒屋の大根のお漬物
(?なんて名前のお料理だったかしら?)が大好物でした
(伏線的な要素です( ´ー`))。
果たして闇討ち決行の日、
闇討ち相手はある老中でその付添(つきそい)は
単なる提灯(ちょうちん)持ちが2人、
と聞いていたげんのすけでしたが、
この提灯持ちが思わぬ手練(てだれ)で、
1人は斬ったもののもう1人に逆に脚を斬られ、
老中を討つ事はできずに逃げ出すハメになりました。
老中達も斬られた提灯持ちをかばいつつ
ほうほうの体(てい)で逃げていきました。
そして、数刻の後(のち)黒ずくめの男が1人、
切り合いの場に残った血の跡からげんのすけの後を追い、
深手を追ったげんのすけに斬りかかります。
黒ずくめの男の脚に一太刀浴びせたものの、
次の一手でげんのすけは斬られ、
息の根を止められてしまいます。
そしてげんのすけの49日、
老中達は闇討ちしようとした男がげんのすけである事は
つきとめますが、
そのげんのすけ自身が何者かによって斬られている事など、
首謀者その他事件は謎につつまれていました。
※ この時点ではげんのすけのお家(いえ)に対して、
まだなんの沙汰(さた、処分)も出ていません。
2人の友人も独自に調べますが、
げんのすけを討ったのは老中の手の者ではない、
※ げんのすけが討たれた現場に落ちていた提灯が
老中達のものではない特殊なものである事、
また、闇討ちの相手ならば息の根を止めずに取り押さえて、
首謀者を吐かせようとするだろう
との事。
この藩は、財政面に難があり、
・ 農業に更に力を入れようとする勢力(今回闇討ちをかけられた老中派)
・ 別の商業に力を入れようとする勢力(別の老中派)
の2つに分かれて諍い(いさかい)あっており、
死人が既に何人も出ていました。
老中はその別の老中こそが「今回の首謀者に違いない!」と
言い張りますが、証拠が何一つ見つかりません。
そして2人は、いつもの居酒屋で、
げんのすけから頼まれた「後始末」について話し合います。
「きっとげんのすけは首謀者に図られ殺されたのだろう、
ならば出来るのはその復讐のみ」、と。
そして、
「げんのすけが斬られたとして、
相手になんの手傷も負わせていないとは考えられない」と。
※ ここで大根の漬物を頼みますが、
2人は「あまり美味しくないな、げんのすけがいないと」と
思っています。
そして、100日が経ち、
2人はそれぞれ
・ あの日、刀傷を負って治療を受けたもの、その治療を行った者の存在を探し、
※ 医者ではなく、医術の心得もある山伏(やまぶし)であった事から
調査が難航していました。
その山伏が、ある中老(老中の下の格?)の家の前で、
庭をはいているその男を見つけ、
「怪我の具合はどうですか?」と話したら
かなり困った顔をされた事
・ 農業推進派の老中の派閥で、
自分の派閥のみでなく
商業推進派の老中の派閥からも賄賂を受け取り
スパイを行って私腹を肥やしているものがいる事、
農業推進派の老中も薄々それに感づいており、
なんらかの沙汰を与えようとしていた事
を調べ上げます。
そう、首謀者は農業推進派の老中自身の部下のもの(中老、ちゅうろう)でした。
そして、2人は「自分達の(子供たちが継いだ)家」が
お取り潰しになる事も覚悟して、
この中老とその配下の男(げんのすけを斬った男)を張ります。
そしてそれぞれが仇(かたき)を討ち、
※ 1人の捨て台詞「○○どの(中老)、闇討ちとはこういたすのでござる!」が
かっこいい!
後日、農業推進派の老中に呼び出されます。
「2人ともクビは洗ってきたか?覚悟は出来ているか?」と
今回の1件(中老の闇討ち)の件を突っ込む老中に、
しかし2人は一歩も引きません。
※ 何も証拠は残していませんでした。
そして、老中も
「今回の件は、自分の派の失態である事、
それらの関係から下手人(げしゅにん)は不明、として
げんのすけの家にも沙汰はなしとする。
その為、本来ならば中老を討った2人には報奨でも与えたい所だが、
それは我慢して欲しい」と。
そして2人はまたいつもの居酒屋へ向かいます。
「いつも3人そろって歩いていた、
それが2人になるとやはり寂しいものだな」と心に思い、
その上で、
「今日は何を食う?」
「もう、大根の漬物は嫌だぞ!」
「わしも嫌だ!」
と、仇討ちを無事に果たした事は誇らしいながらも、
何十年と3人で共にやってきたのに、
仲間を失うのは哀しいものだ、
という余韻を残して物語は終わります。
藤沢周平さんと言えば、なんとなく男女のしっとりしたような
例.「女が救われる、救われないような」など
物語が多いと思っていましたが、
こういう侠気(きょうき)というか
硬派な物語も書けるんですね( ´ー`)
こういうのは好きだな、「友情」や「必殺剣が唸ったり」と
少年マンガっぽさもあって。