2016年10月15日 19時27分
【映画 ハドソン川の奇跡】感想※ネタバレ
元々、ウッチーこと声優:内山昂輝くんのラジオ「ワンルーム」で、
映画紹介されていたので
だいたいの構成的なものは知っていたこの映画。
で、鑑賞帰りに知らない兄さんが
「まあ、クリントイースト的っちゃクリントイースト的だよな」とか言ってて、
※ クリントイーストウッド監督の映画をあまり観ない自分からすると
「ああ、そういう風にくくられちゃうとなんか、
せっかくの作品の感想が残念な感じになっちゃうなあ」
と思ってしまいました。
本作に対する自分の評価は、
「名作」まではいかないけど十分泣かせる「良作」という所でしょうか( ´ー`)
【あらすじ】簡単に
・ 史実。2009年1月だかに飛行機が出発早々のエンジントラブルで
ハドソン川へ不時着(着水)する道を選び、
それに成功した機長の英断とその卓越した技術に、
当時「英雄」と評されたその物語の裏に実はこんなドラマが・・・
※ この裏の話が本当にあったのか、創作なのかは知らないですが。
・ 映画上映開始そうそう空港から飛び立ったばかりの飛行機が
「バードアタック(?鳥が飛行機のエンジンに飛び込んでしまって起きるエンジン故障)」
により、
飛行機両翼のエンジンともに故障し、
空港へ戻ろうとしてビル群へ墜落する、
という夢から覚める機長。
・ 実際は、機長が
「両翼のエンジン故障の状況から、
近隣2つのどちらの空港への着陸も間に合わない」との判断を下し、
ハドソン川へ不時着(着水)する事を選び、それに成功。
丁度近くに居合わせたフェリーその他の救援も迅速で、
乗客乗員合わせて155名は一部けが人を除き全員無事、
という奇跡を起こしていました。
そして機長はマスコミおよび乗客達から
一躍「英雄」「奇跡の人」と呼ばれていました。
・ そしてこの事故に対する事故調査委員会が結成されます。
損害保険会社への対策的に原因究明するこの事故調査委員会は、
「なぜ飛行機が墜落したのか(あくまでも不時着、と言わない)」
「実際調査の結果では片翼のエンジンはまだ生きており、
2つの空港どちらへの着陸も可能だったはず」
とコンピュータおよび人的シミュレーションで結論が出た、
なのに何故機長は「ハドソン川」を選択した、
と締め上げる形で敵対します。
※ 「エンジンは両翼とも確かに故障していた、確認すれば分かるはず」
という機長に対して、
「左エンジンは不時着時破損し行方不明の為確認不能」、
と機長の意見をつっぱねる事故調査委員会。
・ そして映画は一躍時の人となった機長とその家族、
かつ事故調査委員会からはその行動を暴挙として疑われるその日々と、
事故(バードアタック)発生からハドソン川不時着までの
207秒のコックピットおよび飛行機客室での出来事、
その近隣にいたフェリーボートや
警察官達の救出劇などを淡々と描いていきます。
※ これはウッチーから聞いていたのですが、
ちょっと「ドラマ性」がない、
リアルさ重視での描き方に
この映画の評判を聞いていなければ
ちょっと中だるみ的に飽きてしまっていたかも知れません。
※ 実際両隣のおっさん連中は手にもったジュースをペコペコ、
鼻息フゥフゥ、指をポキポキと飽き始めているのがみえみえでした。
・ 機長自身も毎日自分に問いかけます、
本当に自分の選択(ハドソン川への不時着)が一番正しかったのか、
左翼のエンジンは本当に故障していたのか?、
コンピュータその他のシミュレーションの方が正しかったのではないのか?
など。
・ そして機長が実際に飛行機を不時着させて、
最後まで機内に残り全乗客の脱出を確認し、
と機長としての責務を機長としての責任感を持ってまっとうした場面(再現シーン)の後、
酒での飲まなければやっていられない、とバーへ来た機長に
TVの向こうのレポーターが叫びかけます。
「まさに”タイミング”、それが全てでした。
たまたま近隣にフェリーが数隻いたタイミング、
警察達の救出活動のタイミング、
そしてサリー(機長の名前)がエンジントラブルからハドソン川への不時着を行ったタイミング、
これらのタイミングがあってこその155名全員無事、
という奇跡なのです!」と。
※ この映画の原題は「サリー(機長の名前)」だったそうです。
ウッチーいわく、原題のままの方がかっこいいと思うんだけど、
日本に持ってくる際は、「○○の奇跡」とか安易な名前に変えちゃうんですよね、
との事。
「タイミング」、この言葉で機長はある事に気づきます。
・ そして、事故調査委員会の結果報告の場にて、
コンピュータシミュレーションおよび
人的シミュレーションを実際に見せて欲しい、
と事故調査委員会側に申し出ます。
・ 結果報告の場、百人規模の人が集まる中で
・ コンピュータが
・ そして実際のパイロットが
シミュレーターを使って、事故発生の瞬間から
2つの空港への着陸に成功するまでを見せつけます。
「この結果になる事は分かりきっていたはず、
何故わざわざ皆の前でこんなシミュレーションを見せたがったのか?」と
尋ねる事故調査委員会に対して、
機長「これはシミュレーションとしては完璧で、
またそれぞれのシミュレーションを行った
パイロット達の操縦技術も素晴らしい。
きっとこの状況についての説明を受けて
何度も何度も操作練習を繰り返した事でしょう。」と指摘します。
これに対して、事故調査委員会は
「17回、操作練習を繰り返した」旨を説明します。
・ そして機長は言います。
「だからこそこのシミュレーションはおかしい。
今回の実際の事故は過去に例のないもの(両翼のエンジンの同時故障)であり、
管制室とのやりとりも含め、
『このように2つの空港へ着陸しなさい』という
指示もすぐにはありませんでした。
何もかもが初めてなんです、
マニュアルに従った対応から始め、
実際に対応を決めるまでの
人的判断にかかった時間の考慮が
全く行われていません!
このシミュレーションのように事故発生と同時に
空港への避難行動は取れる訳がないのです!」
と言います。
・ その機長の指摘を認め、「35秒間、判断までに迷ったものとする」として
事故調査委員会は再び
人的シミュレーションを実施します。
※ 実際、バードアタックから不時着までが207秒の為、
35秒でも十分な時間である、と機長も判断しました。
結果は、
どちらの空港への着陸も成功せず、
ビル街への墜落、という結果でした。
・ そして、実際のボイスレコーダーにより、
あの日あの事故の際の機長、副機長と管制室のやりとり、
その中で管制室側は「2つの空港への着陸を指示」し、
機長は「そのどちらとも不可能だ、ハドソン川へ不時着する」と
判断するまでの時間を再確認します。
・ これら2つの証拠から、
機長の判断自体が「英断」であった事は間違いない、
と認めざるをえない事故調査委員会、
そしてそこに「左翼エンジンが発見され、
その故障具合から確かに両翼ともエンジンは動いていなかった」
という事が証明されます。
と、機長の判断に間違いがなかった事が認められた場面で、
映画としては終了し、
後は、本物の機長(サリー)とあの日の乗客それぞれが
「席番号ではなく、そこに乗っていた人間です!」と
集合して旧交を温め合い、
「サリーの英断がなければ、今私達は生きていない」という事を示し、
機長(サリー)の奥さんが、今でも送られてくるクリスマスカードなどに
涙している、というお話をして終わり、という感じでした。
この辺、涙腺にうるっと来ましたね、事実だけあって。
で、最初の兄さんの話、
「クリントイーストウッドって、『本当に自分のとった行動は正しかったのか』的な
お話を良く作るよね」との事でした。
そうなの?