2016年08月21日 17時23分
【第百六十七回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
パソコンの調子がおかしくchkdsk中なのもあって簡単に。
島根県出張の朗読会、
森鴎外作品(文語調)の朗読で失敗してしまったという銀河先生。
●『納豆を味噌で』東海林さだお
タイトルから「ひき割り納豆の味噌汁って普通にあるよなあ?」
と思ってましたが、
東海林先生いわく、納豆を味噌(のみ)で混ぜる、
富士山が噴火したりしてしまうかも知れない級の画期的納豆の食べ方、
との事。
先に言ってから試してみる、と。
納豆をまぜまぜして、そこに出汁も何もいれず水で溶きもしない
味噌を混ぜてみる。
で、ご飯に乗せて食べる。
うん、美味しい。
味噌がそれほど主張せず、でも味噌の香りは出てくる感じ。
では、白味噌ではどうだろう?
これはダメ、白味噌が全然主張しなすぎて
味噌が分からない、との事。
そこに醤油を垂らすと、「これは旨い」
アレ?でも醤油じゃなくて味噌を使う、のはずが
趣旨が変わってきてしまう。
それに別に味噌だから旨い、というほどのモンでもなかったかも。
という事で富士山の噴火はなしです。
というお話。
僕はおにぎりなんかならもっと合いそうな気がしましたけどね。
●『花火弁当』東海林さだお
春はお花見にビール、
秋は紅葉にバーベキュー、
冬はもちろん雪に鍋、
では夏は?
そう花火。
しかし天空高く飛ぶ花火を見ながら飲み食いするのは難しいよなあ、
という事で
外苑前球場の花火大会を予約し、
鶏肉と卵のそぼろ弁当(グリンピース8個)を持ち込んだ東海林先生。
チケットが随分高いと思ったら、
花火前にglobeと誰かのコンサートがついてくるとか。
? これって平成の何年頃の話でしょう?
しかしそんなものに興味のない東海林先生は、
花火定刻19時半ちょうどに入ってビールをもらい、
さて「花火弁当と洒落込もう」、
と思ったはいいが
1発花火がドーン、と打ち上がって花開くように爆発して
100mぐらいに広がったと思ったら小さい花火がその横にドーン、
これで15秒ぐらい
で、10秒ぐらい間が空いて
また花火がドーン、
の繰り返しらしく、
この10秒の間、
5秒でビールを飲んで、
残りの5秒でそぼろ弁当、、、
ああああああ、花火の音につられて上を見ちゃうから
そぼろがボロボロ、グリンピースがコロコロ、
落ちていってしまいます。
花火にお弁当は向かないね、というお話。
銀河先生は今一時的に代々木に引っ越しされたらしく、
今年の外苑前球場の花火大会は、
代々木のおうちから遠く眺めたそうです。
遠さもあって、ちょっと小さく打ち上がる花火が少しさびしかったとか。
●『林の底』宮沢賢治
宮沢賢治っていろんな朗読の読み手だったり、
漫画家(朗読の有名漫画の人とか)だったりが
挑戦するのを何度も聴いて読んでとしてきましたが、
あまりにファンタジー文学過ぎて(宮沢賢治が夢見がちすぎて?)、
※ 色々なものを表現する擬音(カプカプとか)など
その内容のどっぷり浸かる事も、
そこに感動なりなんなりを感じる事も、
今まで一度も出来なかったんですよね。
で、銀河先生の挑戦。
夜の森、ふくろうが自慢気に語ります。
(自分はなんの鳥なのかは説明されず)
全ての鳥はある日空から落ちてきた、真っ白な姿で。
「こりゃあ、とんびの墨塗り(だったかな?)の話に違いない」と
自分はチャチャを入れますが、
ふくろうが話す気をなくしそうなので、
どっぷり聞き入る事にします。
真っ白な多くの鳥達。
どの鳥がどの鳥か分からなくて呼ぶにも困る有様。
そこで足の長い(?)とんびが墨壺を使って、
鳥に色をつける商売を始めたとの事。
これが大好評でいろんな鳥をいろんな色に仕上げていったとか。
で、大金をせしめて、仕事もすっかりやる気をなくしたとんびに
カラスが「なあ、今日は俺の番だろう?ちゃんと塗ってくれよ」と
お願いします。
※ この時点で、とんびは自分を自分でとても綺麗な色に塗っていたとか。
で、無理やりカラスを墨壺につっこみ、
押さえつけて体中を墨だらけの真っ黒けに。
これに怒ったカラスが、同じように怒っていた他の鳥をけしかけ、
とんびを逆に墨壺に突っ込んで押さえつけたと。
なんとか命からがら墨壺から出たとんびですが、
その色はもうかつての綺麗な色ではなくなっていたという。。。
宮沢賢治=文学、文学=宮沢賢治的にもてはやされますが、
銀河先生のおもしろおかしい読みをもってしてもやはり
感じ所(気持ちを動かされる所)がよく分かりませんでした。
※ 次の長編大作にはやはり「プリズンホテル(冬)」を
持ってこようと思ってる、との事でしたが、
今が真夏なので、
しばらくは短編を続ける、との事。
「次も宮沢賢治かも」との事でしたが、
次は何か感じ入るものがあればいいなあ( ´ー`)
●『驟(はし)り雨』藤沢周平
※ この字が「はしり」って読む事も、変換する事も出来ませんでした。
どういう意味なんだろう?
江戸時代、ある盗人(ぬすっと)「加吉(かきち)」が
目星をつけた家の向かいの八幡様の社(やしろ、いわゆる神社?)で
夜半過ぎ、ひっそりと雨が止むのを待っています。
本職は研ぎ職人として各家を回る男ですが、
そうやってめぼしをつけた家に盗みに入る時は
恐ろしく冷酷な男になるとか。
(まだ幸いにも一度も家人などと出会った事はありませんが)
で、そろそろ行こうか、と立ち上がった時、
社に入ってくる男女が。
慌てて横へ隠れる加吉。
どこかの店(たな)の若旦那と女中が、
色恋遊びをして帰るのが遅れてしまったとかで痴話喧嘩。
しかしそうしているうちに女中の方が
「お腹に赤ちゃんが出来たかも知れない」と言い出し、
若旦那の声が震えてくる。
そして、「先に帰れよ」と女中を追い出すと、
「冗談じゃない、誰があんな女と…」と
ぶつくさ言いながら若旦那も帰っていく。
で、邪魔が入ったがそろそろ行こうか、とまた立ち上がった時、
今度はただならぬ雰囲気の男2人が話しながら社の方へ。
2度目、慌てて横へ隠れる加吉。
で聞き耳を立てていると、
今回の賭場での上がりのうち、
子分の分前を兄貴分がチョロまかして
入れあげてる女に貢いだとかで
子分が兄貴分に難癖をつけている。
そして「親分に言ってもいいんですぜ」と
子分が言ったタイミングで人影は
ドス(と思われるもの)を取り出し、
男たちはもみ合い、
そのうちどちらかの男が馬乗りになってドスを一突き。
そして刺した方の1人は一目散に逃げていく。
どちらかは分からないが道の真ん中に
死体なんかあったら
盗人(ぬすっと)に入ってる最中に
岡っ引きが来ちまって大変な事になる、
と加吉が死体を片付けようとすると、
なんと男は生きていて、
ヨロヨロしながらも歩き去っていく。
今日は何度も邪魔が入ったが、もういいだろう、
とまた立ち上がった時、
今度は母親とおぼしき女とその子供が
「おっかさん、ここで休んでいこう」と社の中へ。
3度目、慌てて横へ隠れる加吉。
話を聞いていると母親(二十歳代)は病気持ちらしく、
娘に背中を擦(さす)られている。
そして「家賃の滞納で大家さんに追い出されるから」と
愛人の元へ逃げた亭主に金を借りに行ったが
無碍(むげ)にされて戻っていく途中との事。
※ これまでの2組に対して加吉は悪態をつきますが、
今度の母娘には「なんてひでえやつがいたもんだ」と
逆に亭主の方をののしります(小声で)。
思えば加吉には妻がいて、そのお腹には子供もいました。
研ぎ職人の親方の元、そろそろのれん分けをしてもらって
弟子をやとって店(みせ)をやろうと、
妻と話して笑ったりもしていました。
しかしそんなある日、妻は流行病(はやりやまい)で
お腹の子供ごと亡くなってしまいます。
それから加吉の生活はすさみ、飲んだ事のなかった酒に手を出し、
仕事もさぼったり。
親方から何度も説教を受けますがもうどうにもなりませんでした。
仕事をやめて、流しの研ぎ師をやったり、休んだり。
そんなある日、お祝いごとがあるのか
家中紅白で飾り立ててとても騒がしい家がありました。
加吉「うるせえなあ、ちくしょう、何がそんなに楽しいってんだ!」
加吉は八つ当たりだとはわかっていてもその気持が止まりません。
そして夜半、加吉はその家に初めて盗人(ぬすっと)に入り、
金を盗って逃げたのでした。
話は戻って、母親を思う娘に対して、
母親「お腹が減っただろう、減ったら減ったって
ちゃんと言っていいんだよ」と。
娘「うん、お腹すいた」
母親「帰ったら○○さん(お隣さん)にお米を分けてもらって、
ご飯にしようね」
と、雨も止みかけたので立ち上がり行こうとするが
娘に支えられながらも倒れてしまう。
社の影から慌てて加吉が飛び出し、
「怪しいもんじゃないんでさあ、雨宿りしていたら
ついついお2人の話を聞いちまって…」と。
それでもこんな夜半に社の影から男が飛び出した事、
その男がホッカムリをしている事に
母親はいぶかしみ、
支えてくれようとする加吉を断り帰ろうとしますが、
また倒れてしまいます。
そして、後ろを振り向く娘。
加吉は母親の前にかがみ、
加吉「本当に怪しいもんじゃありません、
○○(どこだっけ?)で働いている加吉という研師でさあ」
と母娘の家の方向を聞くと、「ご近所さんじゃありませんか」
「何か相談に乗れるかも知れません」
と母親をおぶって、娘の手をとって歩き出す加吉。
そんな加吉の胸の奥に、
(ありえないはずなのに)
こうして妻をおぶって娘の手を引いた事があったような、
という光景が浮かんできて・・・
という終わり。
感動させる流れ、なんでしょうが、
ちょっと気持ちが入らなかったかな、自分。
涙腺までは引っ張られませんでした。
まあ、加吉のやさぐれようとその原因、
そして母娘を助ける事で真人間に戻る(かも知れない)、
という流れはよかったのですが、
盗みに入るのを3度邪魔されて、
の流れに(+そこに流れるピアノの曲に)
コメディ的な要素を感じてしまったせいかも知れません。
以上、長文失礼しましたm(_ _)m