2016年07月17日 17時04分
【第百六十六回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
長編読み物「プリズンホテル【2】秋」がついに最終回の本日、
1年半から2年近く続いたこの読み語りがついに終わりを迎えるとの事で
「お祝い」を持って現地へ。
※ プリズンホテル【1】の方は単行本で1、2冊規模だと思うのですが、
この【2】はその倍近く内容がありました。
全章を読みきる銀河万丈先生も大変ですが、
毎回通う観客側も都合のやりくりなど結構大変だったかと思います。
自分も一回、仕事で休日深夜作業が決まった時だけは、
「皆勤賞もここまでかー(T_T)」と1度はお断りを入れたりと
バタバタしてしまいました。
(結局深夜作業と深夜作業の合間に、うつらうつらしながらも
なんとか参加できましたが( ´ー`))。
また、今日も思いましたけど、観客の層が
・ 高齢(銀河万丈先生直接の関係者など?)
・ 若年層(声優関連の学生さん?)
・ 自分を含めた中年層(どこで聞きつけて通い始めたのか)
など結構幅があるんですよね。
いつもゲームの話をしてる若者達とか
学生ならもう3年は経つので卒業してるだろうし、
一体何をしてる人たちなのか気になってきました・・・
●『生姜は暗いのか』東海林さだお
「豆腐にお醤油(大豆に大豆)、これぞベストな組み合わせ!」
と言ったそばから「やっぱり」と、
醤油をかける前にすりおろした生姜を載せて
そこへ醤油をかける、
「うまい!うますぎる!これ以上ない旨さ!」と大絶賛の生姜、
お豆腐の他にも刺し身や馬刺しや生姜焼き、
色々なお料理に絶対的に欠かせない生姜ですが、
土の中に埋まり続け、いびつな姿のこの生姜、
どうにも見た目がイケてない。
オリーブと生姜を比べた場合、
さんさんと太陽の陽を浴びてテカテカと輝くオリーブに対して、
ずっと土の中にひっそり隠れた生姜とはまさに陰と陽。
そんな生姜ですが、日本料理にはピリッとやっぱり欠かせないんだなあ、
というお話。
銀河先生いわく、
「紅しょうがなんて結構華やかだったりしますし、
どうにも同意できないなあ( ´ー`)」との事。
●『醤油だれか、ゴマだれか』東海林さだお
中華料理屋で「冷やし中華1つ!」と威勢よく注文し
後は待つばかり、
と思った所へ
店主「醤油だれとゴマだれ、どちらにしましょ?」との突然の質問。
冷やし中華といえば定番の醤油だれしか考えていなかった
東海林先生は、この質問に一瞬戸惑ってしまった上、
「これですぐに切り返せなければ、この人はグズだな、と思われてしまう!?」
と悩みつつ、悩んだ分だけ答えが出ずに結局20秒近く間があっての
「・・・醤油だれで!」との回答。
店主のオヤジにどう思われようとかまわないけど、
これが若い女性店員さんに「グズ」と思われようものなら
ショックが強くて二度とお店に通えないかも知れない。
「そうだリベンジだ!」と別の日に、
今度は「ゴマだれで!」と決めてお店に入ってみると
ゴマだれの冷やし中華を食べてるOL2人の
「ここのゴマだれって醤油だれとあんまり味が変わらないのよねー」との会話が耳に。
またまた迷ってしまう東海林先生でした、と( ´ー`)
僕は2つから選べるなら多分いつも「ゴマだれ」派ですね。
なんでか分からないですが、ゴマだれってお腹に優しい気がするので。
●『プリズンホテル』【2】秋35(最終回) 浅田次郎
それぞれの結末に至っていなかった面々の結末で秋編も終了です。
・ ヤクザの大宴会で「ムショ入り」という門出を祝われた翌日、
やっぱりブルってしまった若者に対しての
警部の「初犯ならどうせ1年から1年半、気負うな若者」との励ましの言葉。
・ 世間を騒がせた集金強盗の「教授」を捕まえた、
という事にされた万年ヒラで定年間近のナベ長。
静かに「教授」と刑事達のツアーバスに乗り込もうとすると、
後ろから部長刑事その他の面々から
「ナベ長が”あの集金強盗を逮捕したぞ!”」との大声援が。
「そんなんじゃない、やめろやめろ!」とこれに呆れてしまうナベ長。
・ 自分の世間への想いの手紙は支配人達に(書簡として)託して
「思い残す事なし」とナベ長に連れられバスに乗ろうとする「教授」。
そこへ後ろからその門出と帰りを待つ、という意志を
仁義きりで示すプリズンホテルオーナー木戸なかぞうと配下のヤクザスタッフの面々、
自分のようなものに対する思わぬ厚遇に思わず涙する「教授」。
・ 極道もの小説家とのプリズンホテルからの帰り道、
滝のそばで小説家の絵を描く少女。
書き終わった絵の後ろに強く握りしめたクレヨンで
「チヨ(だったかな?)のパパ」と書き記す。
そして、スケッチブックの1ページ前には顔のない男の絵が。
「ちょうえきから戻ってまたちょうえき、顔も覚えてないしもう帰ってくるかも分からない」
という本当の父親(プリズンホテル1【夏】に出てきたヒットマン)。
小説家に「・・・パパって呼んでもいいですか?」とか細い声で語る
娘に対して、
小説家「・・・いいさ、ただし、”パパ”じゃなくて”お父さん”、でな」と
この旅で分かり合った2人。
そして娘は過去の父親と決別する為に
顔のない男の絵を破り捨てる。
小説家は、娘の描いた絵のあまりの上手さに
「お前には才能がある!芸大に入って絵かきになれ!そうだ、ルーブルへ絵を観に行こう、
きっと役に立つ」
娘「・・・そんなお金ない・・・」
小説家「金ならいくらでも出してやる、むしろそれしか出来ないんだ、俺は・・・」
・ 早朝にバイクで「教授」からの書簡を郵便局へ届けたフロントマン見習いで
支配人の馬鹿息子(ヤンキー)、
若頭から預かったバイクの名車W1で山中を走り回り、
プリズンホテルと商店街とそして高校とが見下ろせる場所に立ち、
「オヤジがミシュランにも負けないホテルにするって言ってたな、
それなら俺も大学でも行って英語の1つも身につけなきゃな!
1年留年してっけど」
と決意する。
そうやって各自(前回で元アイドル達についてはオチがついていた模様)のオチを
語り終わり、物語が終わったように見せての「あとがき」。
浅田次郎先生の「自分も本当はとんでもない小説家で、
編集を殴りつけ、バックドロップしては、という有様。
プリズンホテルの【1】がウケて、舞台だTVだと来ての
【2】に着手した訳ですが、普通に考えたら
続編が初編に勝てる訳がない。
ですが、自分なりにはなかなかいいお話になったんじゃないかな?
なんて思ったり」との事。
銀河先生いわく「この後【冬】【春】と続く訳ですが・・・」との事なので、
今回全ての登場人物が完全にオチたように見えてまだ続く?
? 極道もの小説家が愛人とその娘を家族と認めた事から、
もう物語自体も終わりを見せたものとばかり思っていましたが。
ただし、次の長編はあまり長すぎず、このプリズンホテル【1】【2】の
余韻を一度洗いさるような作品がいいかなあ( ´ー`)
●『泣かない女』藤沢周平
江戸時代、
細工物屋の職人みちぞうは女房がいながら出戻りのお蝶と関係を持ってしまう。
細工物屋の棟梁は、他の細工物屋から腕のいい職人(名前忘れました)をやとっていて、
お蝶と結婚させ、跡を継がせようとしていた。
それが嫌でみちぞうに迫ったお蝶と、「女房とは別れまさあ」というみちぞう。
みちぞうの女房は足が悪く、飲み屋で働いていた所、
毎日店主や客に叱られていて
ある日みちぞうが店を訪れると、その裏で泣いていた。
そこにみちぞうが近づくと、野良猫のように威嚇をして見せた。
みなしごで誰も味方がいない、という人生を送っていたこの女に
「俺だけは味方になってやろう」と思って夫婦になったが、
周りの好機の視線に耐え切れず、
最近では一緒に外を歩く事すらしなくなった、と。
そして女房に別れを切り出すみちぞう。
女房は「こういう日が来ると思ってた・・・女が出来たのね・・・」と
行くあてもないままに荷物を揃えてすぐに家を出て行く。
少しして降りだす雨。
女房の行方、そして雨に濡れる姿が心配になったみちぞうは、
女房と出会った頃「この女は俺が守ってやらなきゃあ」と思った気持ちを取り戻し、
悪い足でどこかへ歩いて行ってしまった女房を探し、
そして「やりなおす」事を決意する、
というお話。
流れ的には一度「クズ」になりかけた男が「優しさ」を取り戻す、
といういいお話なのですが、
ちょうど外が寒かった上、冷房がガンガンにたかれていて、
鼻水がどんどん出てくる。
そんな事予想してなかったので、ハンカチ/ちりがみともに持ってなくて
アロハ(というかかりゆしウェア)で鼻をすすり続けていて、
ちょっと物語に集中できなかったのが残念(´・ω・`)
次はお盆過ぎ、
暑いんだろうなあ( ´ー`)