itomasa7の日記

2016年03月21日 22時49分

【第百六十ニ回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想

順が前後しましたが3/20(日)の銀河万丈先生朗読会。


3/18(金)夕方頃、会社で上司達と話してて
「なんだか身体の調子がおかしいな?」とは思ってたんですが、
3/19(土)0:00過ぎには全身発熱足も痛くて身動きが取れない。

しかし、約4年欠かしてない
(お客様先カットオーバーで土日深夜作業してでもかけつけました、
そしてその後また後深夜作業しました、ぶっ続け30うん時間無睡眠)、

かつ長編連続読み物の終わり間近という事もあり、
絶対に3/20(日)の朗読会「ごんべん」には行きたい、
という事で、3/19(土)は一歩も動かず、
家族の看病頼りにずっと寝てました(苦しくて眠れないけど)。


ただ、
姉「38.7℃はインフルの可能性あるなー」の発言に
さすがにインフルだったら一般企業でも一週間自宅軟禁、
それを大声優の先生の所まで持ち込む訳にはいかんと、
3/20(日)朝どうなるかに賭けてたんですよね。


結果はなんとか熱は完全下がって、身体も普通通り、
ただし食事取ってないから身体だけダルい、という状態。

ほっとして向かったのはいいんですが、
(もしもに備えてマスクはしていたものの)
花粉の薬を欠かしてたのを忘れてました。


まあ、後でひどい事になるんですが・・・




短編はともかくあらすじものの説明書きは下手なんで、
今度こそほんとにサラッと書いてみます。




●『豆乳に介入してみる?』東海林さだお

スーパーに行くと豆乳売り場(コーナー)って必ずありますよね。
で、誰しもがそこをスルーっとスルーしちゃうんですよね。


「豆乳」、
でも一部の健康思考のおじさんだけが
「俺は豆乳が好きだぞ!」って豆乳コーナーで豆乳を買ったりするんです。

今の豆乳って大豆大豆してなくて、ココナツ豆乳やらなんやら
結構味付けは美味しいんですよ。


おじさん達は俺はなんでも豆乳で合わせるぞ。
朝食だって豆乳、
昼食だって豆乳、
夕食なんて焼酎の豆乳割りだ!


っていうお話だったはずだけど、
オチ部分をど忘れしてしまいました(焼酎割りがオチだったような)。




●『エ?生卵丼?』東海林さだお

親子丼、卵が親か鶏肉が親かは分からずとも
その親と子を一緒に食するから親子丼、
確かに相性バッチリで美味しいです。

でも、渋谷に「生の親子丼がある」ってTVでやってたのを
東海林先生は聴いたそうです。


で、食べに行くんじゃなくて聴いたレパートリーを
再現しちゃおうというのが東海林さだお先生のすごい所。

・ ささみ肉をさっと軽く茹でて水にさらして
  鶏の刺し身状態に

・ 卵の黄身を用意して

・ 揚げ玉を用意(そういうレシピらしい)

これをご飯に合わせて、めんつゆに近いタレで
ガッシャガッシャと混ぜて食べるという。


それが「ありえないほどの旨さだったヽ(´ー`)ノ」との事。


特に生卵かけご飯などはありますが、
これに合わせた半生鶏と、
なによりも「揚げ玉」が美味しい。


これは親子の間に「たぬき」(揚げ玉)が割って入って、
ただならぬ中に入った丼です。


だったかしら?

美味しそうだけど、自分で作るには一手間ふた手間かかりそうだなー
隣に座ってたカップルは「やってみる?」って言ってましたね、
いいなあ、そういうラブラブビーム。




●『プリズンホテル』【2】秋27・28 浅田次郎
(登場人物、詳細説明大変なので概要で)

警視庁マル暴対策部の慰労会と暴力団の若者のブタ箱入り祝いの送り出しの
重なったプリズンホテル。


なんやかんやの後、
酔った万年ヒラ巡査部長とその(上司に当たる?)部長刑事は
「集金強盗」で指名手配中の男を見つける。


しかし、この集金強盗はかつて渋谷署で逮捕された際も「なにか」を
渋谷署の手により隠蔽されたまま刑務所へ行き出所している、
といういわくつきの男。

その男をしょっぴくかどうか、で悩んでいる万年ヒラ巡査部長は
どうにも挙動のおかしいホテル支配人と目が合いピーンと来てしまう。

※ 支配人は集金強盗の「自称教授」から、

  自分が元苦学生で法の世界を目指していた時代に、
  インテリきどりの学生どもの暴動に巻き込まれて授業が受けられず、
  怒りにまかせて数十人の中に突っ込んでいって、その首謀者をぶちのめした。

  本来ならば単なる無罪か過剰防衛の所を
  その首謀者が「お偉いさんの息子」という肩書があった為に、
  自分の人生を潰されて、現在にいたっている。

  その自分の経歴と
  「自分が何故、1人住まいの学生ばかりを狙い集金強盗を行うか、
  今を生きる若者たちへ伝えたい言葉」
  を綴った文書を預かり、
  自分の逮捕後、各マスコミへ送って欲しい、と頼まれていた。


支配人はなんとか書類のあるフロントからバーラウンジへ河岸を変える事に成功する。


このバーは、
かつて「西の戦争」と呼ばれた極道の大戦争があり、
極道映画化され松方弘樹が演じたという凄腕のヒットマンの
本人自身が無期懲役から出生してバーテンダーを務めているという店だった。


支配人に対して「秘密を明かす」よう強要する部長刑事に対して、

万年ヒラ巡査部長が「ひさしぶりだな、出所してたのか」とバーテンダーに挨拶を交わし、
部長刑事の驚きように対して、
バーテンダー「ニシさん(?万年ヒラ巡査部長)の部下じゃなかったら
  今頃なますにおろしてるところだぞ!」と怒りの情をぶつける。


そして、支配人
「あの”教授”を捕まえるのなら捕まえてください。
どうせ明日にも自首する事を決めている身です。
ただし、私について何か調べるというのなら捜査令状を持ってきてください。
そうしなければ私は一切何もお話出来ません。」


そして支配人の預かり物の件は諦める万年ヒラ巡査部長と部長刑事。
しかし、とにかく「集金強盗」を見つけた以上野放しにはできない。

そして、、、
かつて万年ヒラ巡査部長が時代時代の節目の大きな争いの中で、
単に警察官としてではなく、人間として

このバーテンダーにしても
「このままでは殺されるだけだぞ、自首すれば無期懲役だ」と
自分の手柄を捨てて自首を薦めた件などを知り、

部長刑事が、
「どうしてあんたはそんなにいい人なんだ!
せめて定年退職前の最後の一仕事、
このヤマだけはあんたが持って行ってくれ」

という所で一幕。




続いて、
かつて若手アイドルとしてルックスはともかく抜群の歌唱力を持ち、
将来を待望されたが、マネージャーに操を奪われ、
その言いなりになって大手事務所から独立したが最後、
大手事務所からの圧力で仕事を失い、

温泉場を歌い歩き、時にはそこのお偉いさんに身体も預けるという
生活を繰り返していた元アイドル。

「最後にそのマネージャーを殺して新聞の一面を華々しく飾って捕まりたい」という
最後の夢をプリズンホテルの面々に止められ、
身の上話を若頭に聴かせていた場面。

「もういいわ、どうせあんたもアタシを抱くんでしょ、もう話もし飽きたわよ」と
言う所を、号泣する若頭に「そんな事言わず、思いの丈を最後まで語ってくだせえ」と
号泣され、
そして「あんたはどうしたいんだ?そのマネージャーを殺せればそれでいいのか、
  他にもっと夢があったんじゃないのか?」と問われる場面。

※ この若頭の涙ながらのダミ声がほんと銀河万丈先生の十八番(おはこ)、
  名人芸なんですわ。

  咳とかしないように気を使ってた自分、
  花粉の件などから鼻水がダラダラ出てくるんですが
  ちょっとした所作の音すら響いてしまうこの会場で、
  どうする事も出来ず、
  ただじっとあふれる涙をこらえるしか出来ませんでした。
  (鼻は良く見たらマスクの向こう側に後がくっきりついてました。)

  お芝居でいう「感情伝播」を本当に高いレベルでやってのけてるのが
  銀河万丈先生だと思うんだよなあ。

  ※ 「感情伝播」っていうのは一般的じゃありませんが、
    「笑ってる人がいるから釣られて笑う」
    「泣いてる人がいるから釣られて泣く」
    みたいに演者の気持ちに観劇側の感情が
    共鳴させられてしまうもので、
    まず演技に「熱」が必要、
    そして演技自体がうわつかないようたゆまぬ鍛錬/稽古が必要
    (その感情を自分自身のものとするように)、

    ※ 更に朗読(1人芸)で言えばその感情を場面から場面
      人から人の切り替わりすべてで切り替える必要がある、
      というまさに神業なんですわ




そして、殺されようとしていた酔っぱらいマネージャーの寝室(ホテルの一室)。
プリズンホテル従業員に部屋を移されていたマネージャーは気づかず寝ているが、
そこへ入ってきた”教授”に、
「あんたは何をしてきたんだい?」と尋ねられ、
いつもいつも思っていた”事”が頭をよぎる。

かつて大物演歌歌手「ものみすず」(たまたまプリズンホテルに同泊中)に、
「この娘は光るもんを持ってるよ、
ただし、この娘とあんた、どちらも磨かなければ輝かない、それを忘れない事だね」と
太鼓判を押されたにもかかわらず、
大事な事を忘れ「このアイドルさえいれば独立して稼げる」と
操を奪い言いなりにして、事務所を逃げて仕事を干され、
あげくヒモ同然の生活を続けていた自分に、、、

「自分は、自分だけは、あの娘に惚れてはいけない男だったんだ・・・」

とやっと心の内を明かす。




ここで今回は終わり。
いやあ、ほんと長いな、【1】は1年だったと思うけど、【2】は2年行くかしら?

毎回、銀河万丈先生の演じ分けが面白いし、お話も楽しいしで聞き飽きないけど
連続読み物切り替えのタイミングじゃないと新しい人を呼び込めないんだよね( ´ー`)

まあ、友達ほぼいないけどさ。





●『踊る手』藤沢周平
江戸時代。
しんたろうが長屋に戻ってくると人が集まっていた。

しんたろうが昔よく遊んでいたおきみの家の前に
見知らぬ姿の男が数人いる。

そして中から長屋の主人が出てきた。

「夜逃げだ」
「老婆独りを残して・・・」

おきみの父親(名前なんだったかな?)は、粋っぷりのいい男だったが
博打狂いで借金があったという、多分それで夜逃げしたんだろうと。

寝たきりの老婆を死なせる訳にもいかないから、
長屋のもので世話をしてくれ、
と言われ、しんたろうの母ともう1人が担当する事になるが、
老婆はそっぽを向いて寝たきりで
用意されためしに手をつけようともしない。

もう1人は「逃げ遅れの老婆にめしを用意してやってるのにどういう了見だ!」と
見捨てる事を決めたらしいが、
しんたろうの母はそうはいかないらしい。

もう2日経つ、このままじゃ死んじまう。


しんたろうとおきみは2つ違い、
かつてはお互いの家を行ったり来たりの中で
老婆にも色々食べさせてもらったりしていた。

しかししんたろうが10歳、おきみが8歳になると
男女という性別の違いもあり、
しんたろうが表長屋の方まで遊びに行くようになった事もあり、
すっかり疎遠になっていたという。

「こんな事になるんなら、もっとおきみと一緒にいてやれば良かった」
と思うしんたろう。


母が「昔良くしてもらったお前が飯をもっていってやれば、
  老婆も食べてくれるかも知れない」
としんたろうに飯を持たせる。


しかし老婆の家に入り、「ばあちゃん、飯だよ、ちゃんと食べないとダメだよ」
と言っても老婆は向こうの方を向いて黙ったきり。

しんたろうはそんな姿に「このままでは本当に老婆が死んでしまうかも知れない」
という恐怖から号泣してしまう。

※ ここで僕も号泣。

そして、老婆が「どうした、しんぼう。食べてもらえないとかあちゃんに怒られるのかい?」
と初めて返事を返し、
「じゃあ、背中を押して起こしておくれ」と
食事を取る事を決意する。

※ ここの老婆の返しでまた号泣。


そして借金取りのヤクザものがこの長屋を張ったりと色々あるんですが、
最後の最後に夜帰ってきたしんたろうの前で、
おきみの父が「しんたろう、色々ありがとうな!」と明るくあいさつし、
老婆を背負って「えっさ!ほいさ!」と明るく帰って(逃げて)行くのを見て
しんたろうもまた、何かほがらなか気分になってしまい、
自分の家へ向かって「えっさ!ほいさ!」とかけ出した。

というお話。
※ 後半はしょっちゃいましたが。




藤沢周平さんだとはあの時のモーローとした意識の中では気付かなかったな、
藤沢周平さんってもっと「腑に落ちない」だったり
「まあ、良かったんだろうけども・・・」とマイナスの余韻を残したり、
の作家さんのイメージだったけど、
本作は銀河先生も言っている通り
「誰も傷つかない、怖い事もない」お話でしたからね。
ばあちゃんに泣けたけど。




来月はまだ花粉のシーズンだけど、調子は万全で朗読会に挑みたいなあ( ´ー`)