2015年11月30日 23時45分
【WAKUプロデュースvol.20 ただいままたね~home 2015~】感想
TARAKOさん(ちびまる子ちゃんの中の人で有名な)率いる?
WAKUプロデュース公演のvol.20。
作/演出もTARAKOさん。
自分はこの1つ前のvol.19から観劇しているんだけど、
「朗読劇だったっけ?」と思ったら普通に演劇でした( ´ー`)
小劇場演劇と比べて(著名人/有名人演劇という事で)、
逆に演技としては拙さを感じる部分もあったけれど、
とにかく笑いをとって、
そして泣かせるツボを巧みに押さえる、良脚本でしたね。
※ 主な著名人/有名人は
TARAKOさんと
ゲンさん役の木原実さん(TBSニュースだかのお天気アナの人)。
まあ、それを見事に表現する演者陣の演技も
「好演」と言えたと思います(かなり泣かせられたので)。
一度笑わせて、場面が転換したと思ったらもう涙腺が
ぐいぐい引っ張られるほどに泣かせる場面になっている、
という感じで多分2時間中3、40分は自分も涙顔でした
(おっさん恥ずかしス( ´ー`))。
※ Wキャストというか、一部キャスト陣が
星組公演、月組公演で変わる、という事で今回は星組公演。
12月はほんとは仕事がとんでもなく入るはずで、
1公演だけ予約すると行けない可能性があったので
月組公演も別途取ってます( ´ー`)。
ガラッと色が変わるといいなあ、月組公演。
【物語はと言うと】
※ あんまり物語自体は動かないお芝居なので簡単に。
亭主の浮気が原因で実家(老いた父親のみいる)に戻ってる年上女房(TARAKO)。
そのおとなりさんで親戚(?)で、
サラ金から借金を背負ってるゲンさん(壮年といっていい歳頃)とその彼女さん。
そして、物語冒頭ゲンさんの家にいて、年上女房TARAKOの家の
愛犬ジョンの散歩に出た少女。
それぞれの登場から物語がどう繋がるか、というと・・・
・ 今日は誰かのお葬式でゲンさんがそわそわしている。
そして誰にも「誰の」お葬式かは明かさない。
・ 亭主は年上女房に「(実家から)帰ってきてよ」とお願いするが
年上女房は断固として聞かない。
・ そしてゲンさん宅に彼女さん(30代ぐらい?)と年上女房がいた所に現れる亭主、
しかし様子がおかしい。
・ 更にはお葬式に結局行けなかった、というゲンさんが
玄関前で様子のおかしかったおじいさん(ヤス)を連れてくる。
・ ゲンさんは2年前まで家出の少女(女子高生)を匿っていた。
少女はゲンさんの事が好きだったが、
ゲンさんは「淫行はまずい」と少女には手を出さず。
しかし、少女の父親に告訴されて、告訴取り下げの代わりに
少女は泣く泣く実家へ帰る。
そもそもは、少女の家の女房が男を作って出て行った後、
父親が少女を学校にも行かせず、ご飯も食べさせず、という
DV(ドメスティックバイオレンスでいいんでしたっけ?)の状況になってしまい、
少女が飲食店で食い逃げをしようとした所をゲンさんが助けたのが始まりだった。
・ しかし、少女は実の父親が起こした告訴取り下げの条件に
「ゲンさんと会わない事」
を言い含められていた為、家に戻って以降ゲンさんと会う事は出来なかった。
・ 少女は大病を患ってしまった。
少女の事でゲンさんを脅し(?)、少女の入院費その他を巻き上げる父親。
ゲンさんは少女の入院費その他を背負ってサラ金に手を出す。
・ しかし、敢え無く少女は前日亡くなってしまった。
・ 少女が逝く時に、
「どんな姿でもいいからもう一度元気な顔を見せてくれ」と
少女の手を握り祈ったゲンさん。
・ そして少女は、年上女房の亭主に乗り移る形で現世へ。
・ 折しもこの日は、年上女房の愛犬、
そして少女が大好きだった犬のジョンの命日でもあった。
ジョンの事をずっと祈っていた家族に対して、
ジョンもまた、ヤクザの金を奪って逃げていたヤスという男に
乗り移る形で現世へ。
それが玄関前で様子のおかしかったおじいさんだった。
・ 少女(亭主の中にいる)は最初に出会った年上女房とゲンさんの彼女に
自分の素性を明かしてみるが、
全く信用してもらえず、仕方なく「全て冗談!」という事にしてしまう。
そしてジョン(ヤスの中にいる)にも「信じてもらえないから黙ってる事」と約束する。
・ そこへゲンさんに借金の返済期限として借金返済、
あるいは保証人になっている年上女房の家へ差し押さえに、
とやってきたヤクザ者2名が絡んで・・・
というお話。
泣かせネタとして
・ もちろんゲンさんと共に暮らし、
告訴されて家へ戻され、
病気になった後は今の彼女に内緒で
ゲンさんがお見舞い+その病院代を工面し続けた少女の最後の物語。
そして、少女とは逆にゲンさんに愛され(手を出され)た彼女さん、との関わり方。
少女(亭主に乗り移っている)がゲンさんに「キスして!」と求めますが、
ゲンさんは「流石にそんななりじゃなあ・・・」とハグまでに留めます。
それに対して、彼女さんは
「ジョンが1年経って戻ってきたんだから、
何度だって戻ってくればいいのよ、
そして今度はアタシに乗り移りなさい。
そしたらキスだってなんだって出来るんだから」と。
・ (地縛霊のように)家の周りにずっとただよっていたが、
家族の声にどんなに返事をしても
かまってもらえなかった、というジョンの霊。
・ ヤクザの頭の悪い方(子分)。
スカジャンにバッシューというヤンキーのような出で立ち。
愛犬を去年のX'masに亡くしていて、
かつて他の犬をかまうと愛犬が怒ったから、
と他の犬を遠くから見ている男。
・ ヤクザの頭の良い方(兄貴分)。
インテリヤクザといったスーツの出で立ち。
5歳の娘がいるが、実は娘は病気で意識不明の状態、
というかなりショッキングな状況。
結局、ゲンさん一家と少女の亡霊、ジョンの亡霊、
の騒ぎから借金は回収出来ず。
ただし、組の金とヤクを盗んで逃げたヤス(ジョンが乗り移っている)を
捕まえ、面目を保つ。
そしてX'masの夜、ゲンさんの家で借金を10年間待つ、と約束した帰り、
意識不明の娘の元へ向かう所へ病院から電話がかかり、
「娘の意識が戻った」と。
・ そして、「アニキは俺がいないとダメだから」とどこまでも付き従う子分。
この連中の絡まり、それぞれの物語の展開で笑わせ、そして泣かせます。
「お芝居上手」とは言えないまでも
「物語上手」「泣かせ上手」とは言える出来かと思いました。
(まわりもハンカチで顔をぬぐう人が何人もいました。)
TARAKOさん、1990年台からずっと脚本/演出をやってるだけあって、
さすがに演劇のツボを抑えてるなあ( ´ー`)
「はんなりラヂオ」というTARAKOさん達が関わる
朗読劇はもっと好きですけどね。