itomasa7の日記

2015年11月15日 18時38分

【第百五十八回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想

先月の回で「喉ぜんそく」なる病気に
かかってしまっていた銀河万丈先生。

今月は治ってればいいなあ、と思っていたのですが
まだちょっと喉の調子は悪そうでした。

しかし、いつも以上に声を張っての朗読だったので
いい声がいっぱい聴けていつもより良い朗読だったかも知れません。


●『釜飯ごっこ』 東海林さだお

本当のお釜で炊く釜飯、
炊いてすぐって熱された釜の中の水流のせいか、
具材が全部ご飯の上に載った状態なんですよね。

瓶ビールは瓶からコップに注いで飲むのが作法、
釜飯は「よく混ぜてお楽しみください」と混ぜるのが作法、

とは知りつつも、
例えば五目釜飯なら混ぜる前の釜飯上に載った
エビやたけのこやその他もろもろの具材をそのままつまんで
ビールでキュッとやってみたい。

その上でチョイチョイと味付きのご飯を食べてみたいと思った東海林先生。

「俺は釜飯を混ぜないで食べるぞー、ジョジョー!」
とでも言うように釜飯屋へ意気揚々と向かった先生でしたが、、、


釜飯屋店員の女性が決め台詞「よく混ぜてお楽しみください」を出してきた際は、

「それは命令か!指示なのか!守らなければならないルールなのか!」と
混ぜない気マンマンでしたが、

いざ食べようとすると東海林先生のテーブルを自分の定位置から眺める女性店員、
そしてその女性店員がちょいポチャの先生好みとあって、、、

結局ちょっと上辺だけ混ぜて具のエビを取って食べ、
また見つめられては混ぜて具を取り、
と全然「混ぜない釜飯」が堪能出来なかった、というお話。




混ぜないで食べてももちろん美味しいとは思うんですが、
「具のないご飯部分」が大量に残ってしまうと
おにぎりと一緒でなんか損した気分になりますけどね、自分は( ´ー`)

ああ、釜飯食べたいなあ。
丸美屋のレトルトソースの奴でもいいんで。。。




●『マヨネーズは偉大なり』 東海林さだお

マヨラーなる人種がいる、
どんな食べ物にもマヨネーズをかけて食べてしまう恐ろしい味覚障害の人種だ。

※ 真のマヨラーはマヨネーズ自体をチュッチュしちゃうんですけどね…


かの北大路魯山人は「にほんの料理は素材の味を活かすべき」と言ったそうです。

しかしマヨネーズってどんなものにかけても、基本べっとりと他の味を包み込んで
「マヨネーズ風味」にしちゃうから「日本文化的にもけしからん!」との事
(これは東海林さだお先生の弁です、北大路魯山人の頃はマヨネーズなかったと思います)。


しかし、あるマヨラー青年(マヨ青(まよせい))と話をしたら

・ イカその他の干物なんかにマヨネーズと七味をつけて食べるの、
  いつ誰が始めたかは知らないけど、
  いざ合うと分かったら爆発的に広まりましたよね
  (今はイカ干物の袋にマヨネーズが入ってるくらい)

・ 漁師が釣った刺し身にマヨネーズ醤油をつけて食べるのは有名な話ですよね
  (マグロの端切れ?がマヨネーズの油でトロのような風味になるとか)

などと言い負かされてしまい、
「だったら一度試してやろうじゃないか!しかも誰も試してない料理にだ!」
と、意気込んでスーパーで色々料理を買ってきてマヨネーズに合わせてみたそうです。

・ 納豆
  醤油のきつさがマヨネーズで抑えられ、案外合う

・ スープっぽいもの(何だったか忘れちゃいました)
  まろやかさが出て案外旨い

その他色々(忘れちゃいました)試したそうですが、

結論として「マヨネーズは元々の強い味を殺さずまろやかに包み込むので
  基本どんな料理にも合う、色々な料理はガンガン迷わずマヨるべきである」
との事( ´ー`)




どうなんでしょう?干物、パン系など適用範囲の広いマヨネーズですが、
やっぱり「マヨネーズ風味」にしちゃう気もしますけどね。

唐揚げとかだったら、半分つけて半分つけない、みたいな食べ方が
自分的にはいいかなあ、と。。。

※ 先日食べた某新聞社社食のマヨ照り焼きチキン丼が
  あまりにベットリしてマズかったのもあって・・・




●『プリズンホテル』【2】秋19・20 浅田次郎

隣り合わせの大ホール同士で

・ 警視庁マル暴対策課
  メチャメチャ貧乏ツアー(込み込み1万5千円)で、
  フランス料理コック苦心の作
  オイルフォンデュ(チーズフォンデュのオイル版、いわゆる串揚げを自分で作るやつ)で
  なんとか料理の見た目と豪華さを保った組

・ 極道一の武闘派組織おおそね一家
  ある右翼派青年の鉄砲玉行為を祝い、その出頭前に行われる、
  プリズンホテルオーナー自体からもお金の出てる
  刺し身の舟盛りどころか刺し身艦隊が出来そうな豪華な料理群

2つの大宴会が行われるところ。


おおそね一家側で右翼青年の某出版社へのカチコミ行為を
褒める演説をするおおそね組長、

反対の部屋で現状を把握している警視庁マル暴側幹事の巡査長は
「(警視庁ならではのアレンジ)数え歌」を歌い始め、
なんとか隣の部屋の声が聴こえないように頑張っていましたが・・・


「8つ、ヤクザの娘を抱く時はー!」でおおそね組長をイラッとさせ、

そして皇室を褒める右翼発言中に
「9つ、皇家の娘を抱く時はー!」に
ついにおおそね組長がぶち切れて隣りのホールにかちこみます。


そしてマル暴警官達も「おおそね(組長)!どういう事だ!」と
やっと自分達の状況を把握し

※ マル暴警官達はツアーバスからずっと飲んだくれていて
  みんなベロンベロン状態でしたが、
  ここでやっと「武闘派ヤクザの宴会と隣合わせ」という
  状況に気づき酔いが完全に覚めます。

  そういえば、教師弁護士医師警察官と師業官業ものほど
  旅行などでタチが悪い連中はいないらしいです。
  (見た事ないから分からないけど)


ヤクザとマル暴の大げんか、
かたやオイルサーディンの油鍋、
かたや豪華舟盛りの投げ合いが始まってしまいました。




そこへ一発の銃声!!!


アイドルを目指したはいいが、当時からのマネージャーの
「独立してもっと儲けよう!」という話に騙され、

業界からは干され、
そのままマネージャーをヒモにしてTVからは姿を消し宿場街を渡り歩き、
そこの著名人達に抱かれ歩くという不遇の人生を送ってきた元アイドルが

「(数話前で)ヒモマネージャーを刺し殺して華々しく散ろう」と包丁を持ったら、
「人を殺(や)るならこっちの方がいい」と
プリズンホテルの従業員から渡されたチャカ(拳銃)を持って立っていました。


元アイドル「酔っぱらい(ヒモマネージャー)は大っ嫌い!
  ○○(ヒモマネージャー)はどこ!○○を出しなさい!」
と激昂しています。


一気にヤクザVSマル暴から、たった1人の乱入者に空気を替えられてしまった
2つの大ホール、ヤクザも警官もみんな伏せてしまいました。

そして元アイドル、1発撃つごとに銃に慣れ銃口が跳ね上がらなくなってくる、

そろそろ誰かに当たるんじゃないかと
ヤクザ、マル暴それぞれが戦々恐々としているところに
ホテルオーナーの中曽根(?)組長が
甥の秘書代わりをしていた幼稚園児の女の子の持っていた
ミッ●ーマウスらしきぬいぐるみを抱えて入ってきます。


中曽根(?)組長「理由は知らないが撃つなら撃て、
  この騒ぎにお客さん達も迷惑している。
  最後に銃弾を受けてからもう何十年になるか、
  ひさしぶりに飴っころを味わいたいぜ」

と元アイドルの銃口を避けようともせずに近づいていきます。


そして、最後の銃声。


元アイドルの放った弾丸はぬいぐるみに当たり、
首がもげてしまいました。

そして座り込んでしまう元アイドル。


そこへいち早く支配人が近寄ります。
銃をそっと受け取ると

「この人もお客様です。
  大変お疲れのようですので一度お部屋にお戻りいただきお休みいただきます」
と毅然とした態度で元アイドルを連れて行く。


ポカーンとするヤクザとマル暴一同、
(知己の中、という事もあり)それまでヤクザと警官で手を握り合っていた者まで。


そして、中曽根(?)組長の
「もうお互い分かっちまったんだから、無礼講だ!」の
一言から、ヤクザとマル暴それぞれが共有していた話をネタに宴会が始まりました。

※ 元アイドルの銃の事は「これは夢だ!宴会の余興だ!」で済ませてしまいました。

そして、うだつのあがらない幹事の巡査部長と
長い付き合いの中曽根(?)組長が、
「積もる話もある、部屋を変えて飲もう」と誘って終わりの今回。




とうとう、繋がらなかったそれぞれのピース(ヤクザ、おおそね一家、元アイドル)が
ぶつかり合う回でしたが、まだ終らないようですね。

【1】夏は、任侠小説家の物語そのままのヒットマンが誰だったかを殺って、
そのまま逮捕されていって終わり、という形でしたが、
今回はどう終わるんだろうなー。

・ 不幸に不幸を重ねて、集金強盗になった自称『教授』
・ 才能はあったのにヒモマネージャーに全てを台無しにされた元アイドル
・ 息子がドラッグで捕まった芸能界の大御所歌い手
・ マル暴
・ おおそね一家
それぞれがどうオチるのか、
(多分来月が最後だよなあ??)楽しみです。

※ 「プリズンホテル」って何期までやってるんでしょうね。
  銀河万丈先生が1人数役から10役を超えて演じ分ける
  登場人物達はそれぞれすごく魅力的なんですが、
  1期につき1年がかりなので、
  次もプリズンホテルだとちょっとどうかなあ・・・

  また違う長編をやって欲しいなあ( ´ー`)




●『かどわかし』 宮部みゆき

(江戸時代)
夕暮れ時、長屋の井戸そばでめざしを焼いていた中年
(妻には先立たれ娘をやっと嫁にやったばかり)のそばに
12歳の少年が「おいらをかどわかしておくれよ!」と
訳の分からないお願いをしてきます。

中年は畳職人で、少年の家である「あんこう料理屋」
(かなり儲けている、3000両はくだらない資産価値)で
畳の張替えを行ったばかりでした。

その時の「(娘に迷惑をかけない為に)小金(こがね)を稼がにゃあ」という
畳職人の世間話を少年は聞いていて、

少年「小金(こがね)を稼ぐ為にぜひおいらをかどわかし(誘拐し)、
  100両もらってくれ。50両はあげるから」との事。

※ 当時は誘拐して金をせしめる、という犯罪が少なく
  (多分金の受け渡しが難しい為)、
  かどわかし=誘拐した少年/少女などは人売りに売ってしまう、
  という犯罪の多かった頃だそうです。


畳職人「そんな事は無理なんだ」と少年をさとし、
畳職人は少年を「あんこう料理屋」へ送ります。

※ 少年は自分の父親が、(影で)金貸しなどをやって
  人自体をその借金のカタにしていたのを見て、
  この誘拐を思いついたとの事でした。
  (江戸時代、幕府の了解を得ない金貸しは犯罪でした。)

  そして、そもそも金を欲した理由は
  自分が生まれた頃から(母親よりも)自分を世話してくれていた、
  乳母の元で暮らしたい、でも乳母の家は貧乏だから金がいる、
  との事でした。


そして少年を「迷子になっていた」という事にして
あんこう料理屋へ返したはいいが、
畳職人は色々と疑われ、女将の元へ呼ばれます。

女将は畳職人に「あれ(少年)が家を出ようとしたのはこれで2度目です、
  本当の理由はなんだったのですか?」と。

畳職人は、実の母親よりもずっと尽くしてくれた
「乳母」の元で暮らしたい、それが少年の願いであった事を告げます。


そして、女将は

※ 当時、料理屋などでは女将がほぼ実権を握っていて、
  旦那の方はほぼ何もしない、というのが普通だったそうです。

かつて少年の兄を産んだ、自分も料理屋の娘で
親に全然世話をしてもらえなかったのもあり、

この子は自分だけで世話をする、と頑張ったのですが、
それが仇(あだ)となったのか、兄は半年足らずで亡くなってしまった、

だから今回少年が生まれた時はその全てを乳母に任せたのだ、
という話をします。


畳職人「多分、少年は話せる相手がいなくてつらいんだ、
  誰か男で仲良くできる者にそれを頼んだ方がいい」

とアドバイスして、小金(1両たらず)をお礼として渡され帰ります。


それから半月、少年の事は気になったが何もできる事のなかった畳職人の元に
いきなり岡っ引き、町役人が現れ、しょっぴかれてしまいます。


少年が昨夜より帰らない事、そして本日投書(なげぶみ)にて
「1千両出さなければ少年は返さない」と投げ込まれた、との事です。

少年が畳職人にした「おいらをかどわかしてくれ」との話から、
まず畳職人が疑われたのでした。


畳職人は少年とした話を女将にもしていません。

しかし、少年が仲良くなった人とならきっと
この話の重大さを考えずに話すだろう、と考え、

畳職人「店の者で少年と仲良くなった男を疑ってくれ!
  早くしないと少年の命が危ない!」と岡っ引き、町役人に話します。

かくして少年は町外れの小屋で縄でグルグル巻きになっていた所を助けられ、
店で少年と仲良くしていた板前が自分が疑われているとも知らず、
店と外を行き来していた所を捕まえられます。

※ 少年自身から聞いた身代金話を
  仲間と共謀して行った、との事でした。


しかし物語はこれだけでは終わりませんでした。

板前に「金貸し」をしていた主人(※認可のない金貸しは犯罪です)が捕まり、
店はお取り壊しになってしまいました。

そして、風のうわさに元女将(母親)と少年は新たな居をかまえ、
母親は店の再建を目指して頑張っている、という話を聞きます。


畳職人は少年に会いに行きたいと思いつつ、
自分が主人の(闇の)金貸しをバラしたせいで
少年の家がお取り壊しになった事もあり、
会いに行く事は出来ませんでした。

ただ、少年がかつて一緒に暮らしたがった「乳母」が
得意とした折り紙を折り続けました。

この鶴で、千羽に届くかと・・・




宮部みゆきさんの『堪忍箱』の最後のお話だそうです。

基本宮部みゆきさんの時代ものは結構ドロドロとした怖いものなのですが、
冒頭からの少年と畳職人のおかしな(?)会話の数々に
(銀河万丈先生のおどけた少年と畳職人のおやじの演じ分けがうまかったからですが)

「これは全然怖くない、むしろ可笑しさ(おかしさ)で持っていく話なのかな?」
と思って聴いてましたので、少年がさらわれてしまった時は驚きました。

しかし、少年を愛するあまりに自分の手を使わなかった女将と
少年の話にその身の上を案じた畳職人の心情がなんだか泣ける話だなあ、
と宮部みゆきさんの『堪忍箱』のドロドロ話の中では
初めて泣けたかも知れません。




来月は年に1度の「天切り松の闇がたり」、ああ楽しみだなあ( ´ー`)


ほんと、本物の読み手が語る読み語りは楽しいものですよ、
みんなも一度は行った方がイイと思いますね。
(学校の国語の音読と一緒にしちゃあイカン、ですよ)