2015年10月24日 19時34分
【新しい舞台のカタチ”シアトリカル・ライブ”第一弾 みつあみの神様】感想 ※ネタバレあり
演出/脚本に藤沢文翁の名があるので、
新感覚朗読劇SOUND THEATREの流れかと思ったけど、
雰囲気は結構違いました。
【群読読み手】
・諏訪部順一
・花澤香菜
・小林祐介(誰だろ?)
【その他】
・歌/演奏の人
・サンドアートの人
・役のセリフなし無声映像(プロダクションI.Gらしい)
【主な内容】
風船(諏訪部順一)、
破けたビニール手袋(花澤香菜)、
枕(小林祐介)、
達のどこかわからぬ場所での会話から始まります。
風船の無くした記憶を思い出そうとしながら、
手袋が砂浜にて(どうやらこの場所自体砂浜らしい)
産まれたての子亀を調査隊から助けようと1匹だけ中に隠して、
今度は中から子亀が出られなくなってしまって
手袋が食い破られた話など、物語の中心はぼやかしつつ
1.砂浜での風船、手袋、枕の会話。
2.サンドアート+歌/演奏で表現される「この世界」。
3.無声映像(ある場面がループして流され「核心」には触れない)
+その中での洗濯バサミ、ポスト、クッション、その他色々な「モノ」の会話。
の繰り返しで、だんだんと「現状」を示していきます。
無声映像の中で、
・ コンクリートで一面を囲まれた広い砂漠地帯。
・ その真ん中にポツンと建つ家。
・ そこで暮らすみつあみの少女。
・ 定期的にやってきて少女の身体を検査し、
食事その他を渡していく「調査隊」。
※ 調査隊は、原発事故の跡地などで目にするような
宇宙飛行士のような重装備の連中です。
・ それとは別に少女の家にたびたび(こちらは軽装で)
手紙を届けに来るが
結局ポスト(諏訪部順一)に何も入れずに帰ってしまう少年。
・ 少女の歯ブラシと並んだ2本のくたびれた歯ブラシ
(後の映像からかつては父、母と3人で暮らしていた模様)。
・ 少女にはこの空間の外で何が起きているのか、
またこの環境についても何も情報が伝えられていない、
という事実。
・ 少女に家には傘(小林祐介)とクッション(花澤香菜)がいて、
この状況について話しています。
などが表現されます。
※ この時点では
朗読内容と無声映像などから、
原発事故その他があった地域を隔離し、
放射能を浴びた少女をまた隔離しているのかな?
(父、母も放射能により亡くなってしまった?)
と想像しました。
そうやって少しずつ少しずつ「人」ではなく、
「モノ」達の視点で風船は(そして枕や手袋も)
この世界の記憶を取り戻していきます。
枕はその中に入れられた手紙について思い出します。
「持ち主はきっと手紙の送り主の夢を見たかったのだろう」と。
そして、もし風船がどこかへ飛んで行くならきっと手紙の
送り主に出会えたであろう持ち主の元へ
この手紙を持って行ってほしい、とお願いします。
※ この辺まで結構お話が全然バラバラな感じでつながりません。
少年はある日、ポストではなく少女の家の戸を叩き
直接少女に手紙を渡します。
(多分、「友達になってください」とでも書かれていたのでしょう。)
少女と一緒におうちで過ごし、
たわいもない(と思われる)会話をして帰っていきます、
このコンクリートで囲まれた世界の外へ。
そしてある日少年はその生業(なりわい)としている?、
ゴミ拾いをしている中でポンコツTVを拾います。
ポンコツTVを持って少女の元へ行き、
少女も少年も知らない、「世界」の情報を知ろうとしますが、
急遽調査隊がやってきた為、
少年は隠れその情報を知る事は出来ませんでした。
代わりにその後ポンコツTVが動く限り、
2人で歌番組を見て「歌」を聴きました。
ある日少年はゴミ拾いの最中倒れてしまいます。
※ やはり放射能?
そして、調査隊に施設へ運ばれます。
この流れの中、風船が記憶を取り戻します。
少年がしばらく来なかった事に不安を覚え、
コンクリートの壁に近づく少女、
警報が鳴った為、そこを離れます。
その時、コンクリートの壁の向こうから大量の風船が飛んできます。
それに驚く少女。
しかし、そこに現れた調査隊によって、
風船は撃ち落とされてしまいます。
とぼとぼと少女は家に帰ると、1つだけ、
赤い風船が少女の家のそばに浮遊しているのを見つけ、
それを家に持ち帰ります。
そしてクッションと傘が風船に問いかけます。
・「君はなんなんだ?」
・「外の世界」はどうなってるんだ?
そして風船(諏訪部順一)は「外の世界」について
話し始めます。
風船はこの隔離エリアから人が外へ出た時に開かれる
「パーティー」の時に上げられるものだと。
そして、その「パーティー」の後隔離エリアの住人は・・・
施設で少年が目を覚まします。
少年の世話をしてくれた少女は片手がありませんでした。
(誰が説明したのか)
この世界の人間は「汚染」
(大気、放射能、どちらかは分からず)により、
身体のどこかを欠損している、との事でした。
そして、隔離エリアの住人を解体して、
その身体を補うのだと・・・
※ 部屋を出て施設中をさまよった少年は、
見知らぬ少女がバラバラにされる姿を目撃して
しまいます。
隔離エリアの住人は「外の世界」の人間の
欠損した身体(内臓や手足など)を補う為に
「飼われていた」のだと。
世話をしてくれた少女の助けで施設を逃げ出した少年は、
隔離エリアのみつあみ少女の元へ行き全てを伝えた上で
「逃げよう!」と連れ出します。
この時、傘とクッションと風船の会話では、
壊れかけたぬいぐるみ(花澤香菜)が
「でもそれっておかしい事なのかい?
僕はもうボロボロだけど、
中の綿(わた)はまだ使えるし、
布を使って新しいぬいぐるみを作ってもいい。
こうやって他の人の役に立てるって事は
素晴らしい事なんじゃないかな?」と。
※ これがこの物語の重過ぎる「テーマ」なんですかね。。。
最後まで響きました。
コンクリートの壁にはしごをかけ、少年が登り
少女も登りかけますが、少女は自分の住んでいた
家を振り返ります。
”何もなかったけど、幸せだった家”
少女ははしごから飛び降りてしまいます。
~間~
そして少女は家へ戻っていつもの生活
(洗濯をしてお料理をして)を続けます。
・・・迎えの来る日まで・・・
それを見た風船は
「それが君の選択なんだね」と飛び去り、
今の砂浜にたどり着きました。
そして「現在」、しぼみかけてしまった風船は意識を失います。
それに枕だったか?が空気を入れ直し、
手紙(きっと少年のモノだったのかと)を
結んで空に放り投げます。
という、元々のタイトルから想像していたのとは全然違う
結構ホラーチックな「近未来」、
かつその選択を「家畜」のように受け入れた少女、
という「うーん・・・」と心に重い物語でした。
※ 途中出会う世話をしてくれた片手の少女からすれば
「みつあみの少女」こそが自分に自由な手をくれる
「神」という事なのかな?
でも、人間が人間を家畜にする時代、というのは
近未来SFでは良く題材にされますが、
「モラル」がある限り許されないんじゃないかな、と・・・
ただ、お芝居としての構成方法は面白かったです。
「なんでモノに喋らせて、人間(役)に物語を語らせないのか?」
「歌/演奏、サンドアート、無声映像(の場面場面の切り抜き)で
世界の心象を表現するのだろう?」
というこれら全て、
安易に人が物語を語ってしまうと、
「案外つまらない話だった」「良くある話だった」
で終わってしまう所、「モノ」の視点でのみ世界を語る事により、
「オチの見えない展開」としての”謎”を
ほぼ終盤まで引っ張ってくれたので、
観ているこちらとしては非常に面白かったです。
※ ちなみに最前列で花澤さん、諏訪部さん、小林さん、
どこを向いてもニヤッとしてしまうような良席でした( ´ー`)
何か新しい名前から入る出し物って大抵名前負けするのですが、
”シアトリカル・ライブ”、
これは結構題材次第では面白いものが作れるかも知れませんね。
柊
ほぼネタバレではありましたが確かにこれは面白そうですの。近場でやってたら観に行きたいくらいに。
2015年10月24日 20時00分
itomasa7
会場がよみうりホールっていうかなり古い小箱なんで、あまり情報出なかったみたいですね。諏訪部&花澤コンビだけでもほんとうなら2000人規模以上狙えたでしょうに。まあ、おかげで小さく楽しく新しい朗読のカタチが観れたので自分は満足でした( ´ー`) BD&DVD出ますよ。多分animateあたりのメルマガに載るかと
2015年10月24日 23時53分