2015年10月18日 18時10分
【第百五十七回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
銀河万丈先生、のど喘息というものにかかってしまわれたそうで、
薬(ステロイド系)を吸引すると発声に影響し、
と無理をおしての今回登板らしいです。
(「お聞き苦しい所ありましたらご勘弁を」なんて言ってましたが、
楽しみにしているファンはあれど、まずはご自分の体調を鑑みて、
無理そうなら当日緊急でもいいから「キャンセル」してもらって養生して
もらいたいですね、芸能の世界において重要な読み手/語り手なので( ´ー`))
序盤発声はしっかりしてたので
「大した病気ではないのかな?」と思ったのですが、
スタッフが楽屋(?)の先生の準備状況を確認しにいった後
仲間内で話していた内容からすると結構ひどそう・・・
年齢も年齢なので、体調には十分お気をつけてほしい・・・
●『小さな和菓子屋の店先で』 東海林さだお
今回は本当に「短編」という感じでした。
小さい和菓子屋の軒先に定年退職したであろう
老人がお赤飯180円(2人前)を買いに立つ、
きっと怖い女房の「命令」によるものだろう。
そういう風景があって欲しい、という東海林先生の妄想から
(お店自体は東海林先生宅近くに実在、老人のみ妄想)、
いざイメージの中の人物がどういう思考をするのか、
自ら(東海林先生)が和菓子屋へ
お赤飯150円(1人前、2人前買うと奥方が怒るのか?)を
買いに行く、という、本当にショートストーリー。
自分は、和菓子っていうとおまんじゅうやお団子のたぐいを、
10代後半の時「砂糖/糖質は体にいい!」と
故.鈴木その子氏が本に書いていたので、
何年も1回に600円ぐらい(まんじゅう3、4個)、
買いまくって食いまくっていた覚えがあります。
(当時は新陳代謝のおかげか太る事はありませんでしたが)
しかし、それから20年近く、7-11で売ってる
デザートの和菓子を除けば、ほぼ買う事も食う機会もないですね。
(好きなんですが、(近所に和菓子屋がないので)
デパートまで行って買ってお家まで持って帰ってお茶を入れて、
という段取りがめんどくさそうで)
●『トッピング、メチャ乗せカレー』 東海林さだお
CoCo壱のチラシを眺めていた東海林先生、
とんかつカレー、メンチカツカレー、コロッケカレーその他
27種類ものカレーがある事に驚いていた所、
更に驚く事が。
これら全て「トッピング」という形式である為、
載せようと思えばなんでも何種類/何個でも載せられちゃう。
でもちょっと待てよ?
お店で「とんかつカレーにメンチカツとコロッケと
オムエッグとエビフライとそれからそれから~」と
オーダーしたら間違いなく、
店員「お客様、そんなに皿に載せきれません」
って言われちゃうかな、って。
そこでカレーはレトルト、その他のお惣菜類は全部
スーパーで買い集めて実際載せられるだけ
「トッピング」して食べてみた!
というお話。
(今回は2編とも超短編だな。)
トッピングのフライ類その他がカレーソースに合う事は
言ってましたが、
沢山トッピングカレー自体の味の結論は
言ってなかったような( ´ー`)
(僕だったらトッピング3品で胸焼けですかね…)
話の途中でも出てきたんですが
・ ビーフカレーは牛肉系トッピングに合わせる
・ ポークカレーは豚肉系トッピング(とんかつなど)に合わせる
・ チキンカレーはチキン系トッピングに合わせる
・ マトンは・・・
という風に、
「トッピング」とカレーの種類をあわせる事が多いですが、
そもそもカレー自体「ビーフポークチキンマトンカレー」というように
ミックスした味を作っちゃったらどうなんでしょう?
というお話が出て、
「ラーメンは普通にそうしてるよな、これは案外アリなんじゃあ…」と
思ってしまいました。
やってるお店ないのかな?
●『プリズンホテル』【2】秋17・18 浅田次郎
極道幹部の「お見送り(ムショ行き祝い)」(だったかな?)の為の
暴力団組織の6万円の超ゴージャスコースと
警視庁マル暴対策課の1万円コミコミセットの超プア料理コース、
その2つの団体様の宴会が隣り合わせの大広間となってしまった為、
極道超ゴージャスコース(舟盛りを超えた漁船盛り、
そして板長のマグロ解体ショー付き)と、
警視庁の超プアながら良く考えたコース
(フランス料理シェフ考案のオイルフォンデュ、
山菜その他を好きなだけ自分で串揚げにして食べる)、
そのそれぞれの値段ながらの出来に満足しかけた支配人と、
逆にピリピリしまくる板長、シェフ、そしてサービス対応の面々。
もし、お互いが鉢合わせしてしまったら・・・
というピリピリムードの中、
支配人は「カウンセリングサービス」と称して、
プリズンホテルへお忍びで泊まっていた「教授」こと
「集金詐欺師」の話を聴きにその部屋へ。
※ 集金詐欺って昔あった詐欺で良く覚えてないのですが、
「集金でーす」とドアを開けさせて
お金を脅し取る、だったかと。
そして「教授」が何故こうも悪人ぜんとしていない、
まるで本物の教授なのではないか?
と思わせる佇まいなのかを知る為、
支配人は「教授」のこれまでの人生について
酒を酌み交わしながら聴く。
・ 昭和の東京オリンピック特需の中、
高速道路建設の中で建設現場で落下して
働けなくなってしまった父。
・ 青森のいなかから集団就職の名の元、
「金を稼ぐ為」に送り出された中卒の若き面々。
・ 自分は頭だけは良かった、
それを知っていた父や学校教師は、
「なんとか夜学へ行って、そして大学へ行くんだ」と。
・ そして爪に火をともすほどの苦労の中、
なんとか大学2部で法律を学ぶも、
時は学生運動まっさかり。
授業を受けに行ったら学生運動で
「ブロック(だったかな?)」
学校にすら入れない始末。
自分達苦労してなんとか勉強したい、
と思っている連中に対して
家から仕送りしてもらって大学へ通い、
口だけのポリシーで学生運動をしている「ブルジョア」勢、
次第に「教授」の怒りは蓄積されていく。
・ そして父の訃報が届く。
・ ある日授業を受けている途中、
学生運動家達が教室を占拠して授業が受けられなくなった。
エネルギーだけにはあふれていたブルジョア勢に対して、
仕事での無理を押して学校へ通う
苦学生達はそれに逆らう勇気もなかった。
しかし「教授」は許せなかった。
「学生運動」だなんだ、
何を敵にまわして何をしようがそれは勝手だ、
だが、自分は親や教師の願いを背負って
今この場で「勉学」を、「法」を学んでいる、
その邪魔をする権利がお前らにあるのか?と。
そして鉄パイプを手に、次々と
学生運動家達を叩きのめす「教授」、
そして運動を支援していたリーダーを
何度も何度も殴打する。
リーダーが言っていたのは「暴力は良くない・・・」、
というなんとも自分達の行為と相反した言葉だった。
・ しかし問題はこれだけでは終わらなかった。
リーダーは半身不随、しかし元々の問題行為は全て
学生運動家達にあった為、
不問と処されるはずだったこの事件に対して、
リーダーの父は大企業の経営者だった。
なんとか「教授」を法の名の元に貶めようとする弁護士団と
金もなく、仲間もなく、誰にも守ってもらえなかった「教授」。
そして親や教師の願いを裏切ってしまった「教授」は、
「法」は万能ではない、という事を知る。
・ 1年6ヶ月の刑期の後、
「学生運動」ブームは終わり、今度は
「ヒッピーだなんだ」と別のブームが始まっている社会。
そして「教授」は思う。
「ブルジョア」どもがまた別の遊びに興じているこの社会、
こんな社会にこそ「正義」が必要なのだと。
※ この辺の説明ちょっと忘れちゃいました。
そして始めた「集金強盗」、金が目的ではない、
ただ「無秩序に遊び気分で生きる学生達」の
その生き方の危険性を説く為に。
そして、今自分は新聞社各社へ送る
「自分の犯行声明(自分の思う正義を通した、という内容)」
をバッグに詰め、
「これを新聞社に送るまでに捕まる訳にはいかなかった、
だからさっきは警察達の目を逃れようとした」と。
・ この声明文を投書した後、自分は自主する、という「教授」。
「きっとどこの新聞社も取り合わないかもしれない。
でも、もし自分と同じように集団就職で都市へ押し出され、
苦労してきた人達が新聞社にもいてくれたら、
きっと何かを感じてくれるのではないか」という願いに対して、
支配人「その声明文、私どもが責任を持って各新聞社へお届けします」と。
※ 「教授」の苦労には涙しつつ、そこで「半身不随」になった
ブルジョア学生のその後や「集金強盗」にあった面々を思うと
「教授」の言う「正義」を認める事も難しい、とは思いつつ、
支配人と同様涙は止まりませんでした。
「金と自由」のある若者達の無秩序な行動に、
苦労に苦労を重ね、それでも「夢」を諦めなかった
「教授」の道を奪う権利が誰にあったのだろう?と。
そしてそこへフロント(支配人息子)のTel
「やべーすよ!、始まっちまいましたよ!”宴会”、”宴会”が!」
にて今回終了。始まったのは単なる「宴会」なのか、
あるいは暴力団と警視庁マル暴対策課の狂宴なのか・・・
来月には銀河万丈先生、体調治ってるといいなあ( ´ー`)
※ 『プリズンホテル』以降、銀河万丈先生、
いつもの10倍近く、読み違え、トチリなどを
してしまっていましたね。
多分喉/舌が回らない(不調の)為だと思いますが。
しかしそんな事も気にならないいよいよクライマックスですヽ(´ー`)ノ
●『砂村新田』 宮部みゆき
(これも1時間、といいつつ物語があまり動かない短編だったんですよね。)
12歳になる娘、既に奉公に出ている兄、
妹、弟、大工の父、母。
名大工であった父が目を患ってしまい、
現場で働けなくなってしまった。
それでも棟梁は「指示ぐらいできらーな」と
先輩大工と一緒に現場に出させてくれていた。
しかし、この先輩大工との折り合いが悪かった。
どんどん自分の子飼いの職人を現場に入れて、
父の居場所を奪っていく。
そして、間の悪い事に棟梁が亡くなってしまった。
「お前のいる場所はもうないと思え」という先輩大工に
売り言葉に買い言葉で、
「こんな場所で働くのはごめんでさあ!」と返した父。
そして母の茶屋の女中仕事と内職を中心に生活する
苦しい暮らしになってしまった。
そして、本物語の主人公である娘も12歳になった日より、
叔母の勧めもあってある大商人の家に奉公に出る事に。
大商人宅、産後の肥立ちが悪く寝たきりになった妻に代わり、
洗濯や厠の掃除をする、という仕事だった。
食事も出ない大変な仕事もなんとかこなす娘。
(食事は家に帰ってする。)
ある日、頼まれたお使い(奥様のお薬をもらう)の帰り、
見知らぬ男(一太郎)に声をかけられる。
一太郎「○○(母の名前)の娘さん、愛ちゃん(だったかな?)かい?」
「お薬を持ってるって事はお母さんに何かあったのかい?」
「そうじゃないなら良かった、お母さんを大事にしてくれよ」
「それじゃ」
と見知らぬ男は話し、そして去っていく。
それを見ていた叔母は、
「ヤクザ結び(着物の帯の結び方)からいってロクな男じゃないよ」と。
※ 正直、おどろおどろしい宮部みゆきさんの物語なので、
この男がきっととんでもない事をしでかすのかと思ってました。
春、夏、秋と過ぎ、奥様の調子が良くなって、
娘の奉公は終わりを告げます。
その帰り道、叔母の話を聞いていると、
どうやら叔母は知り合いでもあった大商人から
娘を奉公に出した事で色々と金をせびっていたらしい。
まあ、そんな事はいいか、と家へ帰る娘。
そして、目の調子が少しだが良くなっている、と
医者に告げられた父など、
お家の暮らしも少しずつ上向きになっていきますが、
母からお線香の香りがする事に気が付きます。
母「分かっちゃったかい?
今日はね、幼なじみのお葬式だったんだよ。
一太郎さんって言うんだけどね。」
母は以前娘が会った”一太郎”の事を話し始める。
・ 本当にいい人だった。
・ だけど、進む道を間違えてヤクザものになってしまった。
・ アタシ達には本当にやさしい人だった。
・ アタシは一太郎さんに憧れてたんだ。
・ 一太郎さんは律儀な人で、
「○○ちゃん(母)も結婚するのなら、
これからは俺みたいなヤクザものとは関わりあいになっちゃ
ならねーな、これからは街で会っても無視するんだぞ、
こっちも無視するから・・・」
そして実際街で出会っても(特に父が一緒の時は)
目も合わせず立ち去っていたという。
しかし、娘は「じゃあなんであたしの名前を知ってたんだろう?」と。
娘は思いました。
多分一太郎さんも母が好きで見守っていてくれたんだ、
そして「声はかけない」というルールをもうけたけれども
「自分がもう長くない」と知った時、
そのルールをやぶって娘であるあたしに母の事をお願いしたんだ、と。
あたしが一太郎さんに会った事、
そしてこの事を母に告げたら母はきっと泣くだろう、
母を泣かせるのは一太郎さんもアタシも本望じゃない、
だからこの事は黙っていよう。
そして物語は終わり。
※ 宮部みゆき「堪忍箱」所収の為、
おどろおどろしいお話をずっと想像してましたが
全然違う物語でしたね。
泣けるんですが、
「謎のキャラ」の登場タイミングその他から
この物語はここからどんどん動く(どんでん返しなど)と思わせて、
逆に動かない、という「作者に騙された」系のお話でしたね( ´ー`)
※ この物語の「後を託す」というテーマを聞いた時、
何故か、今調子の悪い銀河万丈先生の事を思ってしまい、
先生のつちかった技術も
「ちゃんと後へ託してくださいよ」って気分になってしまいました。
ただ、「ごんべん」のスタッフメンバーもともかく、
今売れっ子の声優陣でもきっと先生の跡は継げないだろうなあ、
と思ってしまいます。
誰か朗読に対して本気で「覚醒」してくれるといいんだけど、
特に青ニプロ内で・・・
さて、12月の「ごんべん・別館」の時期も近づいてきたし、
そろそろ朗読会のご案内が来るといいんだけど。。。
直前まで来なくて、先月の別朗読会は行けなかったですし、
12月のは「必ず行く」と決めてますが
その為に別のイベントをすっぽかすのも気分的に、で。。。