2015年03月15日 18時16分
【第百五十回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
月1開催の朗読会「ごんべん」、
150回と言ったら
年12回だとしてもう13年近くになると・・・
150回記念も兼ねてなのか、
いつもの会場兼喫茶店「さくらんぼ」も
・ 店頭に「ごんべん」の看板が立っていた。
・ 店内があの学校などで良くある
横長のテーブルに変更されていた。
(喫茶店時もこれを使っている??)
・ 店内にお花が飾られていた。
(自分も花を贈るか迷ったんですよね)
など違いが。
しかし特に銀河万丈先生から
「150回目を記念してのお言葉」みたいなものは特にありませんでした。
春、桜についてのお話が少しあったくらいかしら?
『タコぶつ噛み噛み考える』東海林さだお
居酒屋なんかでタコぶつ、良く頼むんです。
最初は注文しないけど、どこかのタイミングでタコぶつを。
しかしタコぶつって味ないですよね?歯ごたえしか?
板さんも魚のお刺身なんかはスーっと包丁を通して斜めに重ねて
盛り付けたりと技工を凝らしますが、
タコぶつに至っては大きさも何も関係なく
ただブツッブツッと切って盛るだけの簡単さ。
あの他の食材と違い歯をグググッと押し付けても噛み切れず、
やっとザクッと噛み切った時の歯ごたえ。
そして「味はない」と言いましたが、
タコの足の先の方から胴体の方まで吸盤の数と大きさが箇所箇所で違って、
それぞれの部分で味が違うんですよね。
「味はない」はずなのに、その箇所箇所の歯ごたえと
味わいがこれまた美味しいんですよね。
という、東海林さだお先生の矛盾をはらんだようなお話。
確かにタコって特に味がある、という感じはないけど、
醤油とわさびで食べるとやっぱり「旨味」はある気がしますね、
あと食感の違いを楽しむというか。。。
『ワカメミソスープの危機』東海林さだお
ワカメ、海にただ生えてるというか漂ってる海藻、
日本と韓国以外ではあんな水草誰も食べないという。
でも、海外へ行った日本人が帰国してまず食べたいものの1つに
ワカメの味噌汁がありますし、
お味噌汁といえばワカメ、
定食屋なんかでワカメ以外の具材のお味噌汁が出たら
「あれっ、ワカメじゃないのか・・・」とちょっとガッカリしたり。
ワカメって日本料理に色々使われてそうですが、
実はお味噌汁ときゅうりとワカメの酢の物ぐらいで
ほとんど調理法ないんです。
でも、ワカメってカロリー0のヘルシーさと
カルシウムその他の栄養素が組み合わさった、
とても身体にいい食材なんですよ。
それこそマグロなんて
昔は「生魚を食べるなんて信じられナーイ!」と海外の人に言われてたのが、
その美味しさに気づかれてしまって、
今ではあと数年で日本でもマグロが食べられなくなるかも、
なんて事態になってしまっていると。
同じようにワカメにも目を付けられないように
海外のお寿司屋さんや日本料理屋さんでは、
ワカメの味噌汁なんて出さないで
油揚げとか豆腐とかそういうお味噌汁出すようにしましょうね、
とのお話。
納豆、豆腐など海外の人って日本独特の具材にどんどん目をつけてるんですよね。
確かにワカメもいつ目を付けられるか分かりません・・・
まあ、自分は「わかめラーメン」ぐらいしか愛着ないからまあいいかな( ´ー`)
『プリズンホテル』【2】秋3・4 浅田次郎
今回、秋編第ニ回にして笑いの止まらない回でした。
格安1万5000円で移動費込みの観光旅行先を探す警察署ご一行。
金にもケチだしいつもストレスいっぱいの仕事ぶりからか
ハメをはずすと最悪の客になるというこのご一行を誰しも避ける中、
我らがプリズンホテルの新宿観光案内所が
(「警察」という事を知らず)
格安羽目外し料金ツアーを引き受けてしまった所から。
バス内で既にベロンベロンに酔った一行がプリズンホテルに到着し、
タガログ語混じりのフィリピン出稼ぎ中居衆一同のご挨拶を受けた所で、
幹事役の「カンジ」さんが
あまりにも丁寧なお辞儀ぶりの番頭さんに挨拶を返したら、
なんと顔見知りの極道若頭!!
ベロンベロンの警察一同は気づかないが、
気づいてしまったカンジさんは
「おめえ、ヤクザから足を洗ったんだっけか?」と質問するも、
「実はこれもしのぎの1つなんでさあ、
切った張ったの時代からもう今はリゾートホテルなんかをしのぎにしてまして」と。
警察のカンジさんに
「せめて他の警察官、特にマル暴連中にバレないように!」と厳命され、
ベロンベロンのマル暴連中を奥の間に押し込んで、
ビザの切れてる不法滞在外国人とヤクの抜けないシャブ中を裏に隠したはいいが、
時を同じくしてかなりの武闘派ヤクザで知られる○○組の連中が
右翼(?)放送ガンガン鳴らしながら観光バスでのご到着。
※ 店内に本当に凱旋放送がかかっていたので、
最初喫茶店外をそういう車が走ってたのかと思いました・・・
今回は演出凝ってるなあ
そして、酔っ払って寝てたマル暴課長が
「どこのヤクザだ!騒音防止条例違反で逮捕するぞ、お前ら行くぞっ!」
と千鳥足で表に出て行く所までで今回は終了。
夏編に続き、秋編もこれまた濃いメンバー揃いで、
銀河万丈先生の極道台詞がこれまた吠える吠える!
マル暴とヤクザのやり取りを聴いてて笑いが止まりませんでした( ´ー`)
浅田次郎さんの物語はその登場人物の多彩さから、
銀河万丈先生がこのうん十年をかけて得た
「演じ分け」の技術が活きる活きる。
ほんと10人20人を演じ分けるんだからこれまたスゴイ!
『桃の木の下で』藤沢周平(新潮文庫『神隠し』所収)
タイトルからして、桜の木の下には死人がいる、とかああいうのを想像しちゃいました。
武家の旦那と結婚した女18歳、
最近仕事が忙しいらしく旦那の帰りが遅い。
女はたまたま私用で城へ行った帰りに、
子供の頃ずっと仲良くしていた「兄さん」と出会う。
昔は「きっとこの人と結婚するんだろうなあ」なんて思いながらも、
大人になり疎遠になって今の亭主と結婚した自分。
対して「兄さん」は細いなりのようでいて、剣は免許皆伝で城務めしている、
年の頃22にして今も独身らしい。
1年ぶりの再開に話が弾んで夜遅くの一人帰り途中、
人が斬り合うのを目撃してしまう。
慌てて民家の軒先に隠れてやり過ごしたが
・ 人が斬られた断末魔の叫び声
そして
・ 逃げていく2人の侍のうち1人の顔を見てしまい、
それが亭主の同僚である事に気づく
家にあわてて帰り亭主にその旨告げるが、
「誰にも言ってはならん、じっくりと調べるゆえ」と。
そして数日亭主から何の話もなく、自分から聞くにも聞きにくい、
そんなある日、幼少のおりに亡くなった弟の墓参りに行った帰り、
上に嫌な気配を感じて前へと飛び退る(すさる)と
そこに大木が倒れてきた・・・
なんとかかわしたはいいが、その後その木が
ほとんどのこぎりで切り倒されかけていた状態だったのを見て、
「誰かに狙われたんだ!」という事実にあわてて家へ帰る。
そして再び亭主に相談するも
「それはなにかの偶然だろう」と亭主はとりあってくれない。
そして不安にかられ、「兄さん」に相談に行くと
「辻斬を目撃した時、隠れていた庭先で誰かに見つかったのであろうか?
とにかくしばらく家から出てはいかん」と。
そして更には帰り道、背後に気配を感じてよけると刀を持った覆面の小男に襲われる。
「前に見た侍2人のもう1人の方だ!」と気づく女。
自分も武家の娘、いざという時の為にならった短刀で
なんとか避けるも刀の前に追い詰められ、手を斬られてしまう。
※ ここまで聴いていて、犯人は「亭主」なのか「兄さん」なのか
なんなのか推理ミステリ風のドキドキが止まりませんでした。
そこへ「兄さん」が助けに入る。
そして斬られた手の傷を「兄さん」にペロりと舐められ、
「傷は深くないな、大丈夫だ」と言われるが、
この行為に女は「オンナ」の部分がドキリとしてしまう・・・
そして家にひそんで数日、
見知らぬ来訪者に「兄さん」から話がある、
先日の桃の木の下で待っている、と伝えられ
桃の木の下へ行くとそこにいたのは亭主だった。
亭主「待っていたのが私で残念だったな、
不義密通によってお前を斬る」と。
女はなんとか誤解を解こうとするも、
亭主「おまえに生きる道はないのだ・・・」と。
そこへ「兄さん」が現れ、亭主に
「お前と○○の結託、先の辻斬から全て証拠はあがっている」
と伝え、気づけば同心その他十数人に囲まれていた。
ある農村での税に関する悪事に加担していたのが
先の犯人2人と亭主、そしてその上司だった。
そして自分の妻が犯行の目撃者となってしまった事から、
自分と同僚、そして上司の身を守る為に妻を殺そうとしたと・・・
「これからどうしよう」と言う女に対して
兄さん「まあ、うちにでも来い。そしてまたいい婿を見つけてもよし、
なんならおれと夫婦になってもよし」と。
そして、桃の香りの漂う中手を握られ帰っていく2人であった。
藤沢周平さんはお話の締め方がちょっと独特なんだよなあ、
といういつもの感想はともかく、
このお話は物語の途中途中誰もが怪しく思えてしまい、
「犯人は誰だ!?」という気持ちでドキドキしながら聴けて楽しかったです( ´ー`)