2014年12月08日 20時27分
【朗読 銀河万丈 『ごんべん』別会】感想
※ 記憶がささっと薄れてしまうのでささっと書いてしまいます。
12/06(土)18:00
浅草のギャラリーef、カフェに隣接する蔵(築140年少々、土蔵かな?)の中で
毎年1回開催される、銀河万丈先生の朗読会「ごんべん」のその別会。
朗読会「ごんべん」は毎月第二日曜日昼と夕、
代々木八幡の喫茶店にて開催されてます。
人生の楽しみの1つとして1度は参加されるのもいいと思います、
お聞き代1000円でドリンク込みと、
先生の名前だけでお金が取れる所を「声優・弁士としての修練の場」とでも
考えられているのか、とてつもなくお安く楽しませていただける朗読会なので。
朗読:銀河万丈
バイオリン:鈴木葉子
浅田次郎『天切り松の闇がたり』
第二巻「残侠」・第二夜「切れ緒の草履」
現代(バブルの頃らしい)、大晦日の雑居房(拘置所に当たる?)、
かつて押し込み強盗「天切り松」として知られた老人が、
足を洗ったその後も、繋がりのある警察署の署長さんその他に頼んで
わざわざ雑居房へ入り込み、そこに居合わせた悪人達に聴かせているのが
昔古しの任侠達の闇がたり。
※ 警察署の面々も「天切り松の闇がたり」を年の楽しみにしてる。
こんな年の瀬に房に入ってきた62の老人に、「じいさん正月太郎かい?」と
話しかける天切り松。
※ 正月太郎 ... こんな年の瀬に拘置所に入ってくるのは
コロシか押し込み(強盗)か食い詰めて
軽犯罪を犯し、飯と寝床にあずかろうとするものしかいない、
としてつけられたアダ名。
去年が第一夜、
明治の頃の押し込み強盗一家、そこで小間使いをしている松吉(現代の天切り松)が
時代の変わり目に出会った任侠について語るその闇がたり。
金にものを言わせてノシてきた(明治の)近代ヤクザ、
その賭場を荒らす1人の老人、
昼間に老人が唐竹(からたけ)を身の丈以上の刀で5本一息(ひといき)に
居合で斬って捨てるのを見た虎兄貴は、
賭場の主の「勝てば御の字(おんのじ)、負けてもある時払い」の
言葉を受けて博打で老人:小政の向こうを張る。
結果は小政の圧勝、酔いどれた小政を
自分の一家(押し込み強盗一家)に連れ帰る虎兄貴。
目を覚ました老人小政は自分を
「清水の次郎長一家の大政、小政」のその小政だと見事な仁義をきってみせる。
それを返す(仁義返し、返礼)は一家の親分。
時代的には老人の年齢から次郎長一家の小政とも言えなくもないが、
その伝説的な任侠と信じ切れない一家の面々。
ここから今回の物語は始まる。
松吉とその親友にして慶應義塾の中等部の学生(名前忘れちゃいました)は、
キネマ(当時の名前は忘れちゃいました)で、
次郎長一家の物語を観て、その興奮冷めやらぬ中。
松吉は「実はうちに今、次郎長一家の小政を名乗る人がいるんだ」と。
友人も年代的には合うものの、それを信じて良いものか迷ってしまう。
そして一家へ帰る松吉。
一宿一飯を許された小政は、1軒の家で一家の姉さんに夕飯を用意される。
そこを、渡世もの、かつ一宿一飯の恩義を受けるものならば、と
飯は二膳まで、と返す小政。
そして、部屋を覗きこんでいた松吉に気づき、
「そんな寒い所にいないで部屋に入ったらどうだ」と誘う小政。
そして、自分が次郎長一家にいた頃から、学も才もなく喧嘩ばかりの自分が
一家に迷惑をかけ、そして一家を離れて名前ばかりで
各地の任侠一家を転々とするさまを語る。
そして翌日、虎兄貴の借りた金を「今すぐ返せ!」と
近代ヤクザの一家が乗り込んでくる。
あいにく親分、虎兄貴は銭湯へ行っていて留守。
話が違う、これは「押し込み一家がここにいるぞ」という脅しを兼ねた
近代ヤクザの嫌がらせだ、バラされたくなかったらショバ代を払えという脅しだ!、
という一家の者達に対して
小政が「一宿一飯の恩義、ここで返させてもらいましょう」と。
両脇を近代ヤクザどもに押さえられる小柄な老人、小政。
小政は「この一家には守刀(まもりがたな、神棚などに置く)はないんでしょうかね、
この人数に老人1人は辛いので、ぜひ借り受けたい」と松吉に願い出る。
慌てて松吉は神棚より名のある銘刀を小政に渡す。
そして「ここじゃなんなんで、話せる場所へ行きましょうや」と
小政は近代ヤクザ6人近くを引き連れて一家を離れていく。
思わず呼び止める松吉に、
小政「自分に孫でもあったなら、、、
どんなに辛い事があったとしても、、、
どんなに大変な人生でも、、、
『俺は男だ!』と叫べば大抵乗りきれるもんでさあ」
と語る。
小政とその両脇をかかえる近代ヤクザの後ろ姿に向かって
松吉は「俺は男だ!」と叫び続ける。
※ 1昨年の闇がたりでは松吉自身、女郎(じょろう)に売られたその姉を
一家に助けられつつもその日に病気で亡くしたり、と
辛い人生を背負っていた。
そして一家に親分と虎兄貴が戻ってくる。
松吉から話を聞くとすぐに小政達が消えた方へ走り出す。
そして神社、
小政を取り囲んでいた近代ヤクザ達は
・ 1人は脳天から真っ二つ
・ 1人は胴体真っ二つ
・ 1人は水桶に突っ込んで
と全員、苦しむ間もなく一息(ひといき)に事切れていた。
そして、境内にはただ静かに座る小政、
浴びた返り血などなければこの老人が
これら全員を血祭りに上げたなどとは誰にも信じられない。
警察隊達は「神妙にしろ!」と叫ぶも、
小政「お上(おかみ)にたてつく気はありません、
ただ、この世の最後に一服つけさせてくだんなさい」
と煙管(きせる)を一息つかせる。
その姿に一家の面々はつばをごくりと飲んだという・・・
現代、雑居房、天切り松は正月太郎のじいさんに、
「おめえも叫んでみなせえ、そしてここを出たら
年なんか関係ねえ、もう1度全う(まっとう)に生きてみる事を考えなせえ」
と、「俺は男だ!」のフレーズを・・・
~ 完 ~
風邪が長引いちゃってたんで、咳で朗読と演奏の邪魔をしないように
苦労しました・・・( ´ー`)