2014年11月29日 19時08分
【WAKUプロデュース vol.19 ヒトハヒトダネ~Switch 2014~】感想※ネタバレ
ちびまる子ちゃんの声で有名なTARAKOさん、
演劇界でも脚本/演出および女優としての演劇活動でかなり有名な人です。
先日、大阪圏「はんなりラヂオ」の朗読会でも1話脚本を担当していて、
そのユーモアあり温かみあり泣きもあって救いもあり、
という展開に「これは面白い!」と
本プロデュース公演を観劇してきました。
※ 小劇場演劇だと演劇サイトCoRichに感想投稿欄があるから
感想書くだけなんですが、一部の演劇大手なんかは
CoRichをどうも避けてるようなんですよね、
本劇もCoRichに無かったなのでこちらに感想(+ネタバレ)を書きます。
劇場でパンフレットを見て、
「これはロボットVSアンドロイドの戦いをネタにしたシチュエーションコメディなのかな?」
と思ったけど全然違いました。
笑い7割だけど超人間ドラマでした。
3編あるけど登場人物は全員繋がっているので、それを説明しちゃいます。
【出演者構成】
「ロボット陣営」ピヨゾーハッピーカムカム
・ じゅんちゃん(女性ロボット)
往年のアイドル伊藤つかさ。
・ ミツコ(女性ロボット)
社長の助手を務めてくれる若い女性ロボット、基本タメ口。
・ イーオ(女性ロボット)
社長のかつての同級生に「人の心がまるで読めるような女がいた」という事から
人の心を読めるロボットを作ろう、と作られたロボ。
・ ロボット販売会社社長
じゅんちゃん(人間)、アンドロイド販売会社社長、ミドリ達と高校の同級生。
名前が「ピヨゾー」の為、将来結婚して娘に「ピヨコ」と名づけたいと夢みていた。
「相川家陣営」相川家五兄弟 ※ 父母とも既に他界
・ 長男
かつて妻にいきなり離婚届を残して逃げられたバツ1。
ミドリと交際中。
かなりマメな父代わりで、みんなのご飯からお弁当まで作ったりする。
・ 次男
アンドロイド販売会社社長。
高校当時、じゅんちゃん(人間)にめちゃくちゃ惚れてたが
その想いを告げる勇気が全くなかったヘタレ。
嬉しい事があるとキレる。
・ 三男
次男のアンドロイド販売会社の手伝いをしてる。かなりいい加減なヤツ。
・ 四男(よなん、って読むんですね)
亡き母の遺言である「兄弟5人仲良く一緒に暮らして」を頑な(かたくな)に守っている。
・ 五男
みちると婚約中。和子のレストランで働く。
「アンドロイド陣営」ショーゾーラッキーゴーゴー
※ 先の次男が社長、三男がその部下。
「ニーズ」を見込んでかネタ系アンドロイドばかり作っている。
・ 悲しい女 かなさん
嫁姑問題を好むおばあさん達の為に作られたアンドロイド嫁、
いびりにあってパワーが溜まると炊事家事洗濯なんでもこなす。
返品されてしまった。
・ 見下ろす(みおろす)くん
「イケメンに見下されたい」という利用者の要望で作られた
長身でとにかく下を見下ろしているアンドロイド。
上を見上げる事が出来ない。
あと人を見下し(みくだし)ている発言が多い。
返品されてしまった。
・ くれるくん
「○○して”くれる”」と他者からのフレーズに”くれる”がつくと
なんでもこなすアンドロイド。
返品されてしまった。
「その他」
・ ミドリ
長男と交際中。
・ 和子
五男の働くレストランの経営者。
両親その他既に亡く天涯孤独の身。
五男の優しさに惚れていた。
・ みちる
五男の婚約者。
両親大好きっ子で結婚しても絶対両親と暮らす宣言している。
【物語構成】
第1話 じゅんちゃん
第2話 家族会議
第3話 イーオと相川家の愉快な仲間たち
【第1話 じゅんちゃん】
過去1988年、高校。
ピヨゾー(未来のロボット販売会社社長)はロボット開発の夢を叶える為筑波大学へ、
ショーゾー(未来のアンドロイド販売会社社長)はアンドロイド開発の夢を叶える為マサチューセッツ工科大学への
進学が決まっている。
※ 2人にとってロボットとアンドロイドは「ドラえもん」と「ターミネーター2の悪役」ぐらいの違いらしい。
ちなみにサイボーグは人間をハイテクで補助したもの、という位置づけ?
じゅんちゃん(人間)にショーゾーは惚れているがうまく接する事すら出来ない。
そして現代、ピヨゾーの元へショーゾーが。
ショーゾーはピヨゾーへ「じゅんちゃん(ロボット)」の開発を依頼していた。
※ 何故ピヨゾー自身が作らないかと言うと、
作って色々命令したりするのすら恥ずかしい、というヘタレぶりでは
「自分で作る自信がない」という事らしい。
じゅんちゃん(ロボ)を起動し、
高校当時同様にパシリ(高校当時、ショーゾーはじゅんちゃん(人間)のパシリだった)させられたりに
喜ぶショーゾー。
そして、そもそも何故「じゅんちゃん(ロボット)」を作ったか、の話へ。
高校卒業後、十数年ぶりに会ったじゅんちゃん(人間)は結婚していた、
そして病院のベッドの上だった。
じゅんちゃん(人間)「自分が昔、元気だった頃の姿が見たい。あたしのロボットを作って!」
という願いをショーゾーは(ピヨゾー経由で)叶えたのだった。
そしてじゅんちゃん(ロボット)を連れて帰り、
ショーゾーのハッピーライフが始まったかと思う間もなく、
じゅんちゃん(ロボット)はいつもの会話にない台詞「・・・ありがとう」と一言。
そしてショーゾーは何かを悟り、暗幕。
そう、じゅんちゃん(人間)が亡くなったのだった。
落ち込むショーゾーに対してじゅんちゃん(ロボット)は、
「これからはあたしがショーゾーのじゅんちゃんになってやるよ!」
と励ますが。。。
※ ショーゾーはしばらくじゅんちゃん(人間)の事を引きずりつつも、
話が進む中でじゅんちゃん(ロボット)とハッピーライフを過ごすようになる。
【第2話 家族会議】
ショーゾーのアンドロイド販売会社「ショーゾーラッキーゴーゴー」に、
アンドロイドのレンタル希望のお客様、和子が。
相川家五男が「婚約者にぜひ会ってほしい」と和子の家を訪れるという。
和子は天涯孤独のみすぼらしさ、悲しさを悟られない為に、
・ 旦那
・ 娘
・ 息子
の代わりを務めるアンドロイドのレンタルをお願いした。
・ 旦那役の「くれるくん」は、「○○して”くれる”」とお願いすれば
なんでもこなすいい人だが、
いい人ぶりが空回りする上、この”くれる”でいくつもの騒動を起こしてしまう。
例.「お茶買ってきて”くれる”」の依頼にデパートにお茶を買いに行ったが
店員「そんなにいいお茶なら中国にでも行って買って”くれる”?」の一言に
中国訪中してしまうなど。
・ 娘役の「かなさん」は、娘というよりは「嫁」役。
それも姑の嫁いびりにいつも卑屈に対応しているが、
パワーを溜まるといっきに仕事をこなすという
ちょっと困った機能付き。
例.「今すぐお茶を入れてきますよ、雑巾の絞り汁でね!」
「お母様の大好きなコロッケを揚げて差し上げますよ、タワシのね!」
・ 息子役の見下ろす君、ずっと見下ろしているのはともかく
発言がとにかく「見下しすぎ」。
「バカじゃないの?」
「そんなだから他の女に取られるんだよ」
など辛辣な言葉の数々がひどい。
しかし、そんな3人(アンドロイド)をレンタルした和子。
和子とアンドロイド3人は家族会議を開き、
なんとか五男とその婚約者みちるを自宅でもてなす。
3人の個性の強さで色々問題は起きるものの、なんとか
2人をもてなし、惨めな想いをせずに済んだ和子。
※ ネタバレには書ききれませんが本劇は完全に7割喜劇なので
ほんとポンポンポンポンと笑いのネタがぶっこまれます。
そしてアンドロイド3人返却の日。
何故か無言のアンドロイド3人。
迎えに来た三男の「くれるくん、車のエンジン入れといて”くれる”?」などの
指示も全然反応せず、どうも落ち込んでいる模様。
そして現れた和子が三男に代金を支払うが、
和子「足りないんです」との事。
三男「更にレンタルされるという事ですか?」との問いに、
「ずっとレンタルしたいんです、これからの事を家族会議したいんです」
と和子。
パッと顔を明るくするアンドロイド3人、
元の個性設定を忘れたかのように和子と3人は
・ くれるくんを「お父さん」
※ そもそもくれるくんをレンタルしたのは
和子の亡き父に似ていたからだった。
・ かなさんはそのまま娘。
・ 見下ろすくんはそのまま息子。
として、このまま一家同居し続けよう、という事になる。
※ 五男の事があったとはいえ、本当に天涯孤独で生きてきた和子にとっては
このアンドロイド3人との生活が本当に楽しかった、嬉しかったんだな、と( ´ー`)
【第3話 イーオと相川家の愉快な仲間たち】
イーオ(ロボット)を連れたピヨゾーが四男と街で会う所から。
人の記憶を読む為の指示フレーズを四男の口から聴いたイーオは
四男の思っている事をなんでも発言してしまい、
四男は恐怖して逃げてしまう。
そして、相川家。
イーオ(ロボット)のレンタルについて、
三男「人の心が読めるロボットなんて面白いじゃん!」と興味津々、
対して四男は「そんな怖いロボットいらないよ」と恐怖、
しかし長男は「クーリングオフ期間というのがある、
せっかくレンタルするんだからいきなり返すというのも失礼だろう」
と相川家にイーオを借り受ける。
三男は期待したが、イーオの読心は四男が恐れた事から
ピヨゾーによって別の指示フレーズに変更されていた。
※ 結局その後、本物語中一度も誰かの指示で人の心は読んでいない。
五男と婚約者の結婚、そしてみちるの家の入婿になる(=家を出る)事に対して、
四男は猛反対。
母の願いであった「兄弟5人仲良く一緒に暮らして」を、
「亡くなってからたった15年で破るのか!」とまくし立てる。
それに対して、三男が「お前がコロしたんだろ・・・」と捨て台詞を残して立ち去る。
ミドリのお腹に長男の子供が出来た、ミドリは勇気を持ってその事を
電話で長男に伝える。
そして2人で会った際、
「認知もするし養育費も出す、だけど結婚だけは怖いんだ(バツ1時の事でかなりダメージを受けている)」
という長男に、「いいの、そんなあなたが好きなのも私、だからこの子は私が育てる」
と納得してみせるミドリ。
今後今の家を引き払い引っ越すという。
ある夜イーオ(ロボット)と仲良くなった五男の婚約者みちるが
イーオに街中を案内した上で居酒屋で呑んだくれ、
へべれけになって2人帰宅中。
※ イーオ始め本劇のロボット、アンドロイドはみんな飲食は出来ない。
そこに現れた四男、こちらも酔っ払っている。
※ この時、ショーゾーやピヨゾー、そして一緒にいた三男達が
イーオがいなくなった事に気づき探していた。
そしてピヨゾーは「イーオにはGPS、通信機能がある、
車から確認する事が出来る」とイーオと連絡を取る。
そして、イーオは「撮影モード開始します」と
みちると四男の会話現場を撮影し始める。
酔って寝てしまったみちるに対して
(イーオに)「服を脱がしてくれ、写真を撮るから。
この写真をバラまくぞ、って言えばさすがに結婚も諦めるだろ」
とかなりのあくどい発言をする四男。
そして、「アニキ(長男)の時だってあの女、浮気を見つけて問い詰めたら
すぐ脱ぎやがった、そして何も言わずに出て行ったからな」と
かつての長男のバツ一事件にも触れる発言を。
それに対してイーオは「雨が振ってる・・・」と、
指示にはとりあわずみちるを介抱する。
※ この「雨」とはイーオが読心した四男の気持ちだったんですね。
その後、兄弟の物語が解決した時に
「雨がやんだ」と語っています。
四男の発言は亡くなった母の事にまで及ぶ。
「おれが映画が観たいなんて言わなければ母さんは死ななかったんだ。
おれが約束通りあの場所へ行っていれば・・・
母さんは血まみれだった、そして車の方も。。。
居眠り運転だってさ、真っ赤だった。
だから俺は真っ赤な服なんて着るヤツが嫌いなんだ(みちるのパンツスーツは真っ赤)。
そして、真っ赤な服ばかり着る三男も嫌いなんだ。
だいたい、あいつの誕生日だからって、
あいつが「遊戯王カードが好きだからって」
ガチャガチャなんて何度もやらなければ良かったんだ・・・
そしたら・・・」
イーオ「その事は三男に言ったんですか?」
四男「言う訳ないだろ、そしたら今度はあいつが一生引きずる事になっちまう」
そこへ五男が現れ「みちるを介抱してくれてたのか?
こいつ酒癖悪いからな、悪いなあ」と
四男に一言言ってみちるを実家(みちる宅)へ連れ帰る。
そしてその場へ現れた長男、
(かつてのバツ一の件で)四男を殴るかと思いきや、
そっとその頭をなでた。
※ そしてちょっとタイミング忘れちゃったんですが
車へ戻ったという四男に対して、
イーオに三男が「・・・撮影してくれ、直接言うのは恥ずかしすぎる」と
今まで母の事でずっと四男に辛く当たった事を三男なりの豪快さで
(赤いコートを脱ぎ捨てて)
謝った。
時を同じくして、じゅんちゃん(ロボット)と楽しく過ごしていたショーゾーだったが、
「じゅんちゃん(ロボット)が壊れてしまった、
今は火葬場(?)にいる」とイーオに言う。
「おれは2度もじゅんちゃんを失ってしまったんだ・・・」と悲しむショーゾー(次男)に、
イーオは「きっとピヨゾーさんならじゅんちゃん(ロボット)を記憶ごと治してくれますよ」と。
そして、五男とみちるの結婚式、
舞台会場観客席を横切る形で入場してきた2人、
司会が進行しようとすると
五男「ちょっと待ってください」
とマイクを借りて話し始める。
「俺達は結婚します、でもおれもみちるもお互いの家族が大好きです。
だから、まずは別居する事にします。」と。
そして今度は式場内から長男、次男、三男、四男が揃ってやってきて、
四男「もういいんだ、もう母さんだって許してくれる、
お前はちゃんと婿に入れ」と。
そして所変わって引っ越し当日のミドリ、そこへ長男が現れる。
そしてなんとか「・・・やっぱり一緒に暮らそう。お前と、お前の子供と一緒にいたい。」
「ただし、離婚届1つ置いていなくなるなんてよしてくれよ」と言う長男に、
ミドリ「あたしをそんな女と一緒にするんじゃないよ!」と強く言ってハッピーエンド。
更に所変わって、ピヨゾーに治してもらったじゅんちゃん(ロボット)とショーゾー(次男)、
完全にロボットな会話に戻ってしまったじゅんちゃん(ロボット)に対して、
ショーゾー「いいんだ、俺が一生かけてもう一度じゅんちゃんとの記憶を作っていくから」。
そして(何か忘れてしまったけど、確かじゅんちゃん(ロボット)への起動指示に当たるメッセージか何かを)
ショーゾーがつぶやくと、じゅんちゃん(ロボット)が
かつての記憶にあった「お帰り、ショーゾー」と温かく手を広げて迎える。
※ どこまで記憶が戻ったかは不明だが、これまたハッピーエンド( ´ー`)
ここで終わりかと思わせておいて、更にいくつか笑いを取って、
例.五男の結婚式に参加した和子とアンドロイド3人、
帰り道「空が綺麗だな」というくれるくん、かなさん、和子に対して
見下ろすくん「これがあるから」と鏡で空を見る。
しかし、みんなが去った後、壊れる事を覚悟して(故障を示すような機械音がピーガー鳴りながらも)
空を見上げた見下ろすくん、そして戻ってきた和子達。
再び先へ向かうみんな、そこでそっとかなさんが見下ろすくんから鏡を取り上げる
(もう、見上げる事は怖くないでしょ、的な意味合いで)。
ピヨゾーとミツコ、夜の海。
ピヨゾー「色々あったけど、みんなうまく行ってよかったな」
ミツコ「あたしだけはずっと博士と一緒にいてあげるよ?」
ピヨゾー「どうせなら、”ミツコ”って名前、”ピヨコ”に変えてみないか?」
ミツコ「ミツコはミツコだよ!」
と突っ込んで ~ Fin ~
物語の本筋だけ書いてるのでアレですが、
ほんと1分に1ネタぐらいの割合で笑いのネタが飛びまくる舞台でした。
ロボットとアンドロイド、そして相川五兄弟の設定が立ってたからそれが面白い。
そして、笑わせていながら、「ヒト」はちょっと悲しく、
そしてロボットとアンドロイドが、そんな「ヒト」の気持ちに寄り添うような、
そんな物語でした。
TARAKOさんはやっぱり脚本/演出上手いですね。
また見に行こうっと。
その前に「はんなりラヂオ」の朗読会を聴きたいけど。
※ あと、TARAKOさん、伊藤つかささんは名前で分かる有名人だったけど、
その他にも「はじめてのチュウ」のコロ助の声の人や
昔有名だった気象予報士の人だったりと
とにかく有名人の多い舞台でした。
会場廊下中、TVその他関係の花がこれまた多かったです。
有名人=面白い、という訳じゃないけど
「あの人の、こんな演技が観てみたい」
という気持ちはありますね( ´ー`)
m(_ _)m すいません、自分で読み直しつつメンテするのにアクセスカウンタを
10回ぐらい回してしまいました・・・