itomasa7の日記

2014年11月16日 17時45分

【第百四十六回「ごんべん」】感想

大声優銀河万丈さんの月1朗読会です。


●東海林さだお
『茹でクリぽくぽく』

・ 秋の食べ物、それも果物野菜と言ったら
  なし、みかん、柿、栗、と色々ある。

  だけど紅葉の秋、いかにも秋と言ったら
  「茶色」い栗ではないだろうか?

・ 今でこそ剥かれて中身だけになった栗が普通に売っているが、
  昔はいがぐりを割って、更に中の栗を茹でて
  そして渋皮(あの固い栗の皮)を向いて、
  そして初めて食べられるものだった。

・ いがは踏んで割ったとして、茹でた後のあの渋皮は
  とても手で割れるようなものではなく、
  包丁でまわりを綺麗に切って中身を取り出していた。

・ しかし、なかなか上手く皮だけを切り出せず、
  中身をまるのまま取り出すという事は出来なかった。

  そうやってまるのまま(栗の形そのまま)で取り出せた栗を
  横にのけておいて、渋皮を剥くのに失敗した栗から
  どんどん食べていって、
  そうして更にまるのままに剥けた栗を横にのけていってを繰り返し、
  そして最後に一番きれいに剥けた栗を食べていた。

というお話。


栗自体お弁当や料亭?辺りの栗ご飯、
ケーキのモンブランを除けば
もう10年来食ってない自分からすると、
「さて、昔はどうやっていがぐりを割って茹でて切って中をほじって食べていたかな?」と
結構思い出せないものですね。

昔はお芋の仲間として結構美味しく栗を食べてたはずなんだけどなあ、
「甘栗剥いちゃいました」でもひさびさ食ってみるかしら。

※ なにより梅雨の時期に栗臭い(いやーん)な感じの森があったので、
  栗って秋だっけ?とかなりど忘れしてますね。




『コロッケそばの流儀』

・ コロッケって不思議です。
  とき卵をつなぎにパン粉を塗りたくって揚げただけなのに
  いざ揚がってみるとまるで皮のように衣がしっかり
  じゃがいもを覆っている。
  そしてサクサクと美味しい。

・ コロッケといえばまずソース、
  醤油だ塩だいう風変わりな人はおいておいて
  ほんとソースで食べると美味しいです。

・ そんなコロッケをスープでジャブジャブ、
  せっかくの揚げたてをポロポロと溶いて食べちゃうなんて、、、
  そう「コロッケそば」。
  何故かサクサクに揚げたコロッケなのにこれが美味しいから不思議。

・ 立ち食いそばに縁のない人達にはわからないでしょうけど、
  コロッケそばを頼んで茹でたておそばの上にサクサクコロッケを載せて
  さらにその上から刻みネギ、七味唐辛子、とコロッケそば登場。

  まずはまだ全然汁に使ってないコロッケを一口、
  そして次に少し汁に浸ったコロッケを一口、
  これがかけそばの汁とコロッケがほどよくマッチして
  美味しいんだ。

  そして更に汁に浸かるとコロッケが溶けてポロポロになると思うでしょ?
  しかし、コロッケそばのコロッケはそんな軟弱じゃないから
  原型がなくなるほどには崩れないんです、実は。

  でもそんなコロッケそばをガシャンガシャンとかき混ぜて
  コロッケが汁に溶けだした状態で汁ごとすすると
  これが最高に美味しいんだなあ、と。


自分、かけそばはあまり好きじゃない割に
天玉そばは大好きなんですよね。

白身と黄身が少し混ざった卵を絡めてすするそば、
そして汁にひたして食べるかき揚げが。

ただ、コロッケそばはあまり、というか全然選択肢にないんです。

好き嫌いというより、まず卵ありきなので、
コロッケ卵そば、っていうのも変だし、と
今まで注文して来ませんでした。

でもサクサクコロッケ自体は大好きだし、
コロッケそばが美味しかったという記憶もある。

たまにはひさびさの冒険でコロッケそば行ってみようかしら。
(もちろん卵も載せて( ´ー`))




●浅田次郎
『プリズンホテル』【1】夏13・14

もう1年は経つけど、終わりが全然見えないこのお話。

今回はヤクザの親分達が助けようとしたが間に合わなかったという
このホテルの元オーナー家族の亡霊がバシバシ出てくる。
だんだん物語の世界観が見えなくなってきた・・・

・ 台風が向かっているという事でプリズンホテルから
  帰る事ができなくなった宿泊ヤクザ達。
  ご飯の材料もだんだん底をついてやばい事に。

  で、出稼ぎで来てる外国人従業員達が怖がって働かない。

  フランス料理コックが、
  「日本の台風なんてそんなに怖くないから大丈夫」とはげましに行くと
  「台風が怖いんじゃない、台風の日は亡霊が出てくる。
  そして今日実際に前のオーナー家族にそこで出会った!」
  と霊能チックな話に怯える外国人従業員達。

・ そしてこのフランス料理コック、なんと
  霊現象マニアで自宅には霊能関係のビデオや雑誌が山盛りで
  フランス料理コックになったのも
  霊関係よりほんの少しだけ料理人の方に向いていたから、
  というぐらいの霊現象大好きっ子だった。

・ ホテル支配人の家、妻いわく引っ越しそうそう
  大家らしき人が引っ越しの手伝いをしてくれた、との事。

  しかし、それらしき人に誰も心当たりがない。

・ ホテル支配人の息子(高校デビューで1人暴走族になってしまった)が、
  支配人の勧めもあって
  「今からホテルへ行って示しをつけてやるんだ!」との事。

  しかもバイクで走っていて子供が急に現れて
  危うく轢きかけた、という。

・ ホテルへ行った支配人は、引っ越しの手伝いをしてくれた大家、
  そして支配人息子が轢きかけた、という子供達の話を若頭の黒田に。

  大家なるものに心当たりのない黒田は「もしや!」と神棚後ろに
  そなえていた元オーナー家族の写真を見せると
  「多分この人だ!」と支配人。

・ 支配人息子、土砂降りの中プリズンホテルへ行き、
  サングラスで何も見えない状態で
  「頭(あたま)を出せ!」とヤクザ従業員(見えてない)に豪語する。

  そして(若頭)頭(かしら)が出てくると
  サングラスをはずされ
  従業員および客がすべてヤクザと気付くとビビって逃げ出そうとするも
  バイクのエンジンがかからない。

・ 若頭の黒田は「こっちへ来い」とバイクをガレージへ運び見てくれる。
  なんとオイル切れだった。

  ※ 2stバイクはガソリンと一緒にオイルを燃焼させて走る為、
    オイルを継ぎ足さないとオイル切れになってエンジンが焼け付いてしまう。
    そんな事も知らない支配人息子に呆れる。

・ そして、黒田は自分が元カミナリ族だった事、
  ガレージ奥のビッグバイク川崎W-1を見せてくれる。

・ そのカッコよさにすっかり惚れ込み、
  「乗せてくれ!」と言う支配人息子を張り倒す黒田。

  「バイクってのはな、走ってなきゃこける、雨の中でも風の中でも、
    走り続けなきゃならねえ、そういう乗り物なんだ。
    お前みたいに何もかも中途半端な奴にこのバイクは乗りこなせねえ」と。

・ そして「ここで自分を磨け、少しでもまともな漢になったら
    このバイク(W-1?)をくれてやる」と宣言する。

・ その頃、一家無理心中しようとしている家族の隣の部屋に止まっていた
  元役員重役夫婦、
  「関わらない方がいい」という妻に対して、
  「人の生き死にだ、1度関わってしまったらそこから逃げ出してはいけない」
  と男気を見せる亭主。

・ フランス料理コックと支配人は3階へ、
  霊現象を調べる為フランス料理人コックは誰もいないはずの空室へ、
  支配人は3階の客である
  ・ 元役員夫婦
  ・ 一家無理心中しようとしている(と見える)家族
  の元へ

・ 一家無理心中しようとしている(と見える)家族について、
  「うちのアルバイトがバイクでお子さんを轢きかけなかったでしょか?」と
  質問するも
  「今日は外へ出ていない」との事。
  しかし、子供達は「大ちゃん達だよ!さっきも遊んでたもの!」と
  プリズンホテルに1人もいないはずの子供達の名前を。

  そして「ほら、あそこに!」と指差すとそこには影をまとった子供達が、
  走り去っていく。

・ フランス料理コックは、「廊下を走っちゃダメだよ!ほら、通せんぼだ!」と
  子供達を捕まえようとするが、すり抜けられて
  「霊だ!」と感動してしまう。

・ そして支配人は、一家無理心中しようとしている(と見える)家族に向かって
  「子供には子供の人生がある!親の人生に巻き込んではいけない!」
  と大声で叫ぶ。
  隣の部屋がガタリと揺れる(多分、亡きオーナー夫婦の反応)。

・ 元役員夫婦は、妻が夫に「あなたにはもう何の力もないのだから
  無理な事に関わってはダメ!」と怒りをぶつけ
  外へ出てしまう。

  そして階段で、ヤクザ小説作家がその愛人をボコボコに殴り、
  「元の亭主の所へ行け!」と命令しているのを見て、
  「やめなさい!」と止める。

  ※ ヤクザ小説作家は自分の愛人の元亭主であるヤクザの部屋へ
    自分含め愛人を連れて行って「いったい何が起きるか!」を
    目撃しそれを小説にしたかった。

  そして愛人を連れてフロントへ行き、(台風の対策の為にみんな出払っている中)
  鼻血を出している愛人の為に「救急箱をお借りできませんか!」と
  フロントへ呼びかける。

  そこへ(多分)亡きオーナー夫婦妻が現れ救急箱を貸してくれる。

  そして手当している中、階段まで来ていたヤクザ小説作家が
  「なんなんだよ!なんでみんなして俺の邪魔をするんだよ!」と叫んで
  走り去ってしまう。


とここで今回は終了。


もう色んな人たちに色んなつながりが出来た上に、
幽霊まで出てきてほんとどう終わるの?
という状態かと。

しかし、プリズンホテル【1】って事は【2】とかがあるんだよな?
連作するぐらいだから、きっとなんとか収集ついて
続いているんだよな、と。

毎話聴いてる自分には楽しいけど、新しい参加者の方にはさっぱりだろうから
そろそろ長編読み物も一区切りつけて新作へ行ってほしいかも・・・


●宮部みゆき
『お墓の下まで』

・ 1年近く藤沢周平さんシリーズをやっていて、
  最初ちょっととっつきにくかった藤沢周平「橋ものがたり」も
  だんだん泣き所、余韻の楽しみどころが分かってきた、かな
  と思ったら今回はいきなりの宮部みゆきさんでした。

  ※ 宮部みゆきさんといえば時代ものよりも
    現代およびファンタジーで有名な人ですよね。


・ 江戸時代頃。

・ 迷子、捨て子として助けられ育てられてきた兄弟姉妹。
  姉のノブ(元迷子)は嫁に行き、
  捨て子だった兄(いのきち)と妹(ゆき)はいのきちは奉公に、
  ゆきは拾ってくれた父の世話を。

・ そんなある日、捨て子だった2人(いのきち、ゆき)の母親が
  「迎えに来た」とゆきの元へ現れる(実に15年ぶり)。

・ 実は捨て子の2人、本当は捨て子ではなく生活が苦しいからと
  「捨て子のふりをしていい人に育ててもらえ、必ず迎えに行くから」
  と送り込まれていた。

  そんな話を今のお父さん(拾ってくれた人)に
  おっかさん(捨てた母、お父さん、お母さんは拾ってくれた優しき夫妻、
  おっとさん、おっかさんは自分達を捨てた人、と呼んでいた)がしたら
  きっとお父さんは許してくれないだろう、と悩むゆきといのきち。

・ たまたま実家を訪れたノブにその話をすると、
  「実はあたしも迷子というのは嘘で、
  兄や姉は人買いに売られ、小さい自分は迷子として
  拾われてその家の金目のものの在処をさぐって親に伝える」
  というあくどい仕事をしていたという。

  しかし、自分が実の父母の元へ行こうとした際に
  拾ってくれたお父さん、お母さんが泣きながら自分を探してくれた事で
  「もうこんなあくどい父母とは別れ、今のお父さんお母さんの元で暮らそう」
  と決意したという。

  ※ 実の父母が探しに来なかったのか?という質問に
    拾われ先は伝えてなかったので、とノブはゆきに伝える。

・ 一生この事は黙っていようと思ったが、
  自分に縁談話が持ち上がり、
  「こんな薄汚れた女が結婚して子供を作るなんて許されない」と
  お父さん、お母さんに相談したら
  「過去がどうあれ、ノブは自分達の娘だ、結婚してぜひ孫を見せてくれ」
  と泣かれ、そして人生をやり直すつもりになって
  嫁いだとの事。

  そんなお父さんお母さんだからきっと2人の嘘(捨て子話)も
  許してくれる、とゆきを諭す。

・ いのきちはその晩、奉公先で一人過去を思い出していた。
  母に捨てられて5年、一度いのきちに会いに来た母は
  化粧も濃く着るものも派手で「いい男の人」に囲われているという。
  そして「子供の事は内緒にしているからもう
    お前たちも母の事は忘れて今のもらわれ先で立派に暮らすんだよ」と。
  いのきちは「本当に母に捨てられた」という事実をゆきに伝えられなかった。

  そして今、自分達を迎えに来たという母に怒りを覚える。

・ お父さん、お母さん(つい先日亡くなった)は、
  ノブ、いのきち、ゆきの3人とご飯を食べる時に
  必ず陰膳(亡くなった人などへのご飯)を用意していた。
  「これはお前たちのお父さんお母さんの分だよ」と伝えて。

・ ノブはお父さんにもゆきにも話せていない一番大事な事があった。
  「どうして実の父母が自分の事を追ってこなかったか・・・」。

  迷子としてもらわれて半年、実の父母の元へ金目のモノの在処(ありか)を
  伝えに帰ると父母は飲んだくれて寝ていた。
  そして母は行灯(あんどん)を倒し、部屋に火が付き母の衣類に火が回り、
  父の近くに油が回っていた。
  それを「いっそこんな父母いなくなってくれれば」と
  2人を起こさずそのまま逃げてきた、という暗い過去を・・・

・ ある日お父さんは家の軒先から、ゆきが見知らぬおばあさんと
  会っているのをみかける。
  そして、「また何かあるのかも知れないね」と亡き妻に話しかける。

  お父さん、お母さんの夫妻はずっと子供が出来ず、
  ある日半狂乱となった母は人様の赤子を攫って(さらって)きてしまった。

  誰にも伝える事も出来ず、赤子を世話したが
  赤子はみるみるうちに弱ってしまい亡くなってしまった。

  そしてそれを庭に埋めると父はそこに花を植え、
  それからの半生ずっと庭の世話とその子の為に陰膳を
  欠かさなかった・・・

  そして妻には「これからの人生、迷子や捨て子を見つけたら
    実の子のように育てて償おう」と2人だけの約束をし、
  そしてその事を隠したまま妻もあの世へ旅だった、と。

  で終わり。

  ※ 結局いのきち、ゆきの実の母にお父さんが会う所までは描かれず。


人にはそれぞれ抱えてきたものがあるんだなあ、と。

ただ考えると
・ お父さんお母さん:赤子を攫って(さらって)死なせてしまった悪人

・ ノブ:(いくら悪い奴とはいえ)実の父母を火事をいいことにそのまま
  死なせた悪人

・ いのきち、ゆき:捨て子の振りをしていた、悪人?

と単なる善人は1人もいないという。。。

途中途中泣きながら話を聴いていたけど、
単なるいい話に終わらなかったなあ・・・




今日は(銀河万丈)先生、かなりとちったな、
忙しかったのか、舌の回りが悪かったのか。

来月は「ごんべん」と毎年恒例の「ごんべん別会」、
舌の回りがいいいつもの銀河万丈先生を期待したいなあ( ´ー`)


ごんべん別会は、年に1度待ちに待った「天切り松」ですね( ´ー`)