itomasa7の日記

2014年10月05日 00時05分

【映画 「愁雨」】感想※ネタバレ

ミニシアター系の映画。
よく観てる劇団の役者さんが出るというので観賞。

監督自ら編集したという映画は、ゲーム「街」や「428」のように
ちょっとゲームチックな編集内容でした
(場面と場面の転換など良くも悪くも素人っぽい?)。

登場する役者の人達も舞台その他のプロなんだろうけど、
映画として観るとどうにも演技に「素人っぽさ」が出てしまう感じ。

※ 自分の目当て?の劇団の役者さん達はかなり演技上手に感じましたが、
  仮にも映画に関わる役者陣で、
  こうも演技に差が出てしまうとは思いませんでした。。。
  カメラ慣れとかそういうものなのかしら(??)


あと、ほとんどの場面、シーンと関係なく「雨」のような
ノイズが入っていたのですが(上映中ずっとそれを演出だと思ってました)、
あれはタイトル「愁雨」にかけた演出なのか、
あるいは本当に単なる編集ノイズだったのか、
最後まで観ても分かりませんでした。
(まあ、意味を見いだせないのならば演出だとしても失敗してるか・・・)


物語について、謎が1つ解けたと思ったらまた謎が残る、という展開、
悪くはなかったのですが(ほんとゲームっぽい)、
ただ最後の謎(というかオチ)部分だけ良く分かりませんでした
(役の心情的に「何故?」と納得出来ず腑に落ちず)。


トリック系映画にありがちな「凝り過ぎ」なのでしょうかね( ´ー`)




【ざっと内容】
1990年、千葉の田舎町で起きた幼女失踪事件、
2012年、事件について調べ始めた記者の天羽悠里は、
木内咲子という一人の女性に出会った・・・。
(パンフレットより)


・ 2035年の天羽悠里。
  もう50代ぐらい、小説の大家として名を馳せる彼女の元へ
  1人の女性が訪ねてくる。
  名を木内、木内咲子の娘だという。

・ 2012年、
  フリーライターの天羽悠里の元へ、今度議員に立候補する
  犯罪防止活動家の女性「木内」女史、
  その女性の過去を調べるよう雑誌社より取材依頼が来る。

  木内女史はかつて自分の幼い娘が失踪(誘拐の可能性あり)した過去を持つ、
  そしてその地は天羽悠里の故郷であった。

・ 天羽悠里は早くに父、母、祖母を亡くし天涯孤独の身だった。
  千葉の田舎に残った誰もいない実家へ戻り、
  近所の住人の話から、かつての幼女失踪事件、
  その事件に自分の家、そして自分も関わっていた事を知る。

  木内さくらちゃん失踪事件
  ───────────────────────
  未婚の母親木内女史とその娘さくらは2人暮らし。
  職場の旅行へ参加する為にさくらを知人に預けたが、
  その知人の元からさくらが行方不明になってしまい、
  誘拐その他の犯行声明も出されないまま、現代に至る。
  ───────────────────────
  当時、木内にさくらを預けられたのが天羽の家、
  そしてさくらは天羽の家から失踪してしまった。

・ 天羽悠里の子供の頃の記憶として、
  母親と祖母が押し問答している場面が浮かぶ。
  母親と祖母が仲良くなかった、という記憶があるせいで、
  母親亡き後祖母とうまく接する事が出来なかったという。

・ 天羽悠里は祖母、母、父の遺品の中から
  木内家とのつながりに関する品が出るのではないか、
  と調べる。

  そして、木内女史(犯罪防止活動家としてTVにも出ている有名人)と
  亡き自分の父が仲良くする(いわゆる不倫写真)を祖母の遺品から見つける。

  そう、未婚の母木内の娘さくらは、天羽悠里の父親の子だった
  (=天羽悠里の異母姉妹)。

  その関係を考えた時、「誰がさくらをさらう可能性があるか?」
  それは自分の亡き祖母、母、いずれかではないか、と悩む天羽悠里。

・ そして東京へ戻った天羽悠里は、行きつけのバーで
  木内咲子という女子大生(大学院生)に出会う。

  ※ 天羽悠里はこのバーのマスターに惚れている。

  木内咲子は、木内女史が娘さくらを失った後、
  施設から貰ってきた養女だった。

  そして、天羽の家との関係その他を母親より聞いており、
  どうしても天羽悠里に会いたかったのだと言う。

・ その頃、演説で出張していて東京へ戻った木内女史の元へ
  1人の男が訪ねてくる。
  「自分はガンで余命1ヶ月しかない。
  過去の事を謝罪しようとあなたの前へ現れた。
  自分は娘を誘拐した犯人である。
  しかし自分は実行犯で真犯人は他にいる。
  女性からの指示で自分は誘拐を行い、娘は山中に置いてきた。
  しかし、驚いた事に娘はあなたの元へ戻っていたのか?」と。

・ 木内咲子より「母親が帰ってこない!連絡もつかない!」と
  相談の連絡を受けた天羽悠里。

  天羽悠里と木内咲子は、元の関係こそあれ
  まるで姉妹のように仲良くなっていた。

・ そして木内咲子の元へ届いた連絡、
  母親が歩道橋から落ち瀕死の重体だという。

・ 瀕死の母親の病院へ駆けつけた木内咲子に
  木内女史は「さくらじゃなかった」とうわ言のようにつぶやき、
  そして何かを木内咲子に伝えて亡くなる。

・ そして木内咲子は天羽悠里の元で暮らす事になる。

・ フリーライターとして生計を立てながら、
  出版社へ小説を応募する天羽悠里。
  (かつて母親も小説を書いていた。)

  木内咲子の「それは母親の影響か?」との質問に、
  「影響というかきっかけ、そしてこれが”繋がり”なのだと思っている」
  との事。

・ 木内女史と一緒に歩道橋から落ちて亡くなった男の遺書から、
  この男はかつての木内さくらちゃん誘拐事件の犯人だったと分かる。

  マスコミは、かつての誘拐犯に対して自分の娘の居場所を問い詰めようとした
  木内女史と男がもみ合ううちに歩道橋から落ちた、という線で
  「母親の執念」という美談として報道している。

・ この辺りで、木内女史と元誘拐犯の男の会話場面、
  そして1990年代、木内女史が起こした行動が
  プレイバックされる。

  木内女史に「女性の指示で誘拐した」と告げた男、
  そして男は「誘拐した幼女の名前を”天羽悠里”と告げる」。

  そして1990年代、天羽の父から
  「悠里がいなければお前と結婚出来る」と言われた
  木内女史は電話でその筋の男に取り付け、
  天羽悠里を誘拐するよう依頼する。

  そう、この誘拐事件の発端は木内女史、
  しかしさらわれたのは”木内さくら”。

  しかし、2012年、
  元誘拐犯は間違いなく「天羽悠里を誘拐した」と。
  そして「今、あなたの元に戻っているのが天羽悠里だ」と言う。

  一体何がどうなっているのか?
  とにかくこの男は消さなければならない、
  と木内女史がとったのが歩道橋からの男の突き落とし。
  しかし、この時木内女史も巻き込まれ歩道橋から落下してしまった。

・ ある日、バーに呼ばれた天羽悠里は
  バーのマスターと木内咲子が結婚しマスターの田舎である北海道へ行く、
  という話をいきなり聞かされ
  「(特に咲子の事を)自分への裏切りだ!」と怒り、
  店を出て行ってしまう。

・ そしてそれ以来、木内咲子と再会する事はなく
  自分の失恋、そして友に裏切られたという気持ちから
  一念発起して書いた小説がヒットを飛ばし、
  2035年の天羽悠里がある。

・ 2035年、
  天羽悠里の元を訪ねた木内咲子の娘は、
  母が死んだ事、
  母はあなたの小説が大好きだった、
  という事を告げる。

  そして、その小説の間に挟まっていたDNA鑑定書を見せる。

  そのDNA鑑定書は天羽悠里と木内咲子は99.9%の確率で
  異母姉妹である、というものだった。

  木内さくらと自分は同じ父親の子という事で異母姉妹だが、
  木内咲子は木内女史のあくまでも幼女、
  なのに何故異母姉妹?
  と天羽悠里は疑問を持つ。

・ そしてそこから色々な謎の解明。
  ※ この辺どういう順か忘れちゃいました。

  1990年、木内女史の依頼で天羽悠里が誘拐され、
  山中に捨てられる。

  しかし、色々な事で悩み精神を病んでいた天羽の母親は
  この日さくらと悠里に逆の服を着せていた。
  そして、無事だったさくらを「悠里」と呼び可愛がる。

  そして、町の人々に事件を伝える祖母も、
  『何故か』
  ※ ここで誘拐された天羽悠里を木内さくらと呼ぶ事で
    何が救われるのかさっぱり分かりませんでしたが
  失踪したのは知人から預かった「木内さくら」だと言う。

  そして「木内さくら」失踪事件として世に知られる事になる。

  この間ずっと木内女史は天羽の母親が抱える「天羽悠里」こと
  「木内さくら(自分の娘)」には会っていない。
  天羽母に会おうとする木内女史を天羽の祖母が追い返していた。

  そして、この木内女史を天羽の祖母が追い返す押し問答を見ていた
  天羽悠里(実際は木内さくら)が、
  自分の母親(木内女史)と天羽の祖母のやりとりを見て、
  母と祖母の中が悪い、と取り違えた。

  そして山中に捨て置かれた本物の天羽悠里は施設で保護され
  「さーちゃん、さーちゃん」と言うのを
  自分の名前のことだと思った施設の人は「咲子」という名前をつけ、
  そして更に木内女史と出会い、養女として育てられたという。

  この事実を木内咲子は木内女史の死の間際にほとんど全て聴いていた。


  しかし、天羽悠里は自分を天羽の娘だと信じ、
  そして母親や祖母を誇りにすら思っている、という話から
  この話を隠そうと決めた事、
  そしてこれらの事実を知った自分が天羽悠里の前に居るべきではない、
  とバーのマスターとその田舎へ行く事にした事、

  それらを木内咲子の娘から(?)伝えられた天羽悠里。

・ そして、出版社へ
  「次回作では真実を書く、タイトルは「愁雨」」と告げて

~ Fin ~

※ ラストシーンとして流れる場面が天羽悠里(幼女)の
  誘拐場面というのがすごくシュールで嫌な感じでした・・・
  (ネタバレとして使おうとしたんだろうけど)


※ 「愁雨」って、
  場面場面で雨にうたれる天羽母、天羽祖母、そして天羽悠里、
  が映っていてそれの印象からつけたタイトルなのかしら?
  その辺もちょっと分からず。


謎解きとして面白い部分もありつつ、
ちょっとオチに「うーん」となってしまう部分もあるお話でした。

「ほうっ」と感心はしても、泣けるような場面は特に無し。


何より監督の編集が、場面の切り替えについて

「悲しい場面」→(すぐに)→「ミステリーな場面」

のように、場面の余韻を踏ませないサクサクした感じだったのが実に惜しい。

もう少し観客の感情を引っ張るだけの”間”を取ってくれたら
いい方向に感情を揺さぶられたと思うんですけどね。


PS.木内咲子ちゃんがすごく可哀そうだと思ったのを思い出しました。
  自分の母(養母)の実の娘と異母姉妹に当たる天羽悠里に会ってみたい、
  と憧れた所から、実は自分が彼女と異母姉妹なんだ!
  それどころか2人は入れ替わってた!
  とショックもあったが喜びもあったろうに、
  誰にも明かせずに憎しみまで買ってその元を去らなきゃならないなんて・・・(´・ω・`)