itomasa7の日記

2014年09月26日 08時14分

【SOUND THEATRE 新感覚 - 音楽朗読劇 eclipse】感想※ネタバレ

いつものサウンドシアター(THEATREと書いてシアター)と違うんですよね。。。

・ Wキャスト(豊崎愛生さん、寿美菜子さん)
  Wキャストだと物語は一緒なのに「人」が一部違う為、
  観たい人は2度足を運ぶので、基本的に集客力があがります。

・ 公演日数が長い(いつもは2日程度なのに今回は1週間近く)
  日数が多いだけ集客数は増えます。その代わり席にあきも出ますが・・・

と、「質」より「集客」にこだわったかのような構成。


で、実際の音楽朗読劇の方にも、
無理にキャストを多く当て込んだ
「ひずみ」のようなものが出ていました・・・

前半後半の2部構成なのですが、前半は面白い場面引きつけられるもの全くなく、
「これはハズレだなあ」と思わせられる内容、
後半になって盛り上がりにかけてやっと良くなって行きましたが( ´ー`)
物語自体に脚本/演出の”藤沢文翁”(ふじさわぶんおう)氏のいつものキレがないかと。


【内容】
平安時代(?)、安倍晴明の頃、
都には人の悪心より生じた鬼が跋扈(ばっこ)し、
更には人より生じた鬼を人ごと食らうという妖狐(きつね)も現れる。

そして妖狐は人には討てず。
ただ陰陽師、安倍晴明だけがこれを討てたという。


・ (時は戻って)
  晴明子供の頃(豊崎さん)、
  母キツネ(紫吹淳さん、かと思ったら真琴つばささんだった)と
  人里離れた場所で仲良く暮らすが
  人の祭りの明かりを見て

  母キツネ「いつかお前も人の中で暮らすんだよ、
    そうだ、名を”晴明”(せいめい)と名乗りな」
  
  ※ 豊崎さんの子供役は安定の上手さがある。
    まあ、多分寿さんでも=(イコール)なんだろうけど。


※ ここで舞台上部の段にて、能面をかぶった男の舞い。
  扇で顔を隠すたびに面が変わる古典?芸能っぽい技が見られる。
  多分、5回ぐらい顔が変わったかと。
  (意味は途中まで安倍晴明の子供から大人まで、
  だと思ったけどその後は不明。)


・ (時は平安の終わり、既に晴明老人の頃)
  かつて晴明が都に張った結界が弱り、
  鬼、妖狐が跋扈し始めたという。

  そこで「かも家」(かつて晴明達も学んだ陰陽師の家系)の
  若者(道満と同じ人の2役)が晴明の家へ。
  そこには藤原道長(ふじわらのみちなが、山寺宏一さん)、木の精(豊崎さん2役)、
  更には鬼の討伐で有名な源頼光(みなもとのらいこう、真琴つばささん2役)、
  も居る。
  
  源頼光はかつての鬼討伐で片目と片腕を失っている。

  若者は「都の結界が解けかけている故(ゆえ)、
    安倍晴明に再び結界を張りなおしてもらいたい」

  というが、安倍晴明は寝ている、と。
  若者は屋敷自体を囲む妖気に驚き、安倍晴明の元へ向かうが。。。

  安倍晴明は既に病に倒れ、その生命(いのち)本日にも尽きるという。


・ (時は戻って、安倍晴明青年の頃)
  安倍晴明(キャスト誰だっけ?主役なんだけど)と
  その友人芦屋道満(あしやどうまん、同じくキャスト誰だっけ)が、
  都に巣食う鬼たちを討つ。

  その中で藤原道長と出会い、その屋敷へ向かうも
  屋敷の異様さに晴明は式神を使って罠の存在を知り、
  藤原道長の命を救う。

  藤原道長は安倍晴明の名を聞いて、
  「ではそちが”狐の子”か!」と呼ぶが、
  道満がまず怒り、それに藤原道長は謝罪する。

  ※ 安倍晴明は(秘密にはしていたが)、
    妖狐に育てられし”狐の子”として
    同じ陰陽師その他からうとまれていた。


・ (再び晴明老人の頃)
  晴明の部下たちは都に参り、結界を張りなおしているという。

  木の精「人間達は晴明を”狐の子”とバカにしながら、
    いつもその力を借りてばかり。晴明が命短くなってなおそれに頼るか!」
  と怒る。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  藤原道長家にて木の精が安倍晴明の元へ現れ、
  「あの古木を、日の当たる場所へ移し枝を切りそろえてくれぬか。
    そうすれば再びきれいな花を咲かせよう。」
  との願いに、
  藤原道長をかつて助けたお礼として、この木を我が家へ貰い受けたい、
  と願い出る。
  
  多分それから木の精が晴明の身辺を守るようになる?

  ※ 木の精の話のあたり、いまいち必要性が不明で、
    「晴明子供の頃」を演じたキャストに他にやらせる役がないから、
    とってつけたように「木の精」という役を用意して
    晴明について回らせる、
    という物語にそもそも不要だったものを
    無理にくっつけた感がありあり。

    いつも最低限必要なものだけを必要な演者だけで演じていた
    サウンドシアターにしては、
    今回の物語は不必要に人が多く、不必要なお話も多く感じました。

    ※ Wキャストの豊崎さん、寿さんの役のみでなく道満や雷光の役にしても。。。

    その辺のバランスの悪さが、なんかつまらないものとして感じさせましたね。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  晴明は鬼、そして妖狐退治の為に、
  妖狐を呼び寄せるという”鬼の肉”を源頼光に集めさせる。
  そしてそこに集まった妖狐を討ち倒す。

  ※ ”狐の子”と呼ばれる安倍晴明にだけ、妖狐が討てる。
    他の人間は鬼は倒せても、妖狐は倒せない。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  晴明の調べでは、悪しき鬼の気は宮中(きゅうちゅう)より来ている。
  そしてその気は鬼とそれを食らおうとする妖狐「九尾の狐」と思われる。

  宮中を調べたいが、自分のように身分の低い者は宮中に入れない。
  そこで権力を持った藤原道長に歌会(うたかい)を開かせ、
  帝(みかど)含め全員をそこへ誘いだして欲しいという。


  ※ この話、結構頻繁に3つの時代
    ・ 晴明子供の頃
    ・ 晴明青年の頃
    ・ 晴明老人の頃
    を行き来するんですが、
    お話に中身がない場面が多くて、
    物語の筋的に忘れてしまいました。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  歌会に帝を含めた宮中のものを集める事に成功する。
  
  ※ 道満は晴明の策により危険を避けさせる為にこの会には呼んでいない。

  ※ 帝達は、藤原道長が庭に作った池(湖ぐらい大きいらしい)の上の
    船の中からここを見ているという。

  しかし、源頼光は帝よりの勅命「土蜘蛛の一族なるものの退治」に出向いており、
  妖狐を集める鬼の肉は用意出来なかった。

  その為、「どうやって妖狐を見抜くか?」という藤原道長の質問に、
  晴明「この歌を読んでくだされ」と。

  その歌は藤原道長が「この世は我のもの!」と自分の権力を笠に着る歌で、
  これを歌えばきっと歌会に集まった全てのものが怒り、
  その怒りの気が鬼を産み、そして鬼を食う為に
  妖狐がその気配を晒しましょう、と。

  そこへ道満が現れ、晴明と昔語りをしたのちに
  自分はかつて晴明と共に学んだ里へ帰る、と言い残して
  歌会の場を出て行く。


・ (再び安倍晴明子供の頃)
  ある時日本中の陰陽(おんみょう)の素質がある子供達が「かも家」に集められた、
  その中で”狐の子”とうとまれ、友達のいない晴明。
  そこへ道満が「俺の方がお前より年上だ、これからは俺がお前を馬鹿にする奴から
    守ってやる!」と。
  晴明は平静を装いながら、初めての友に喜ぶ。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  藤原道長が歌を歌うと、帝含め全ての人が既に正気を失い、
  鬼の気に当てられている、という事に晴明は気づく。

  きっと妖狐九尾の狐は、帝の后「玉藻の前(たまものまえ)」、
  しかしここにはいないのか、その気が感じられない、と。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  道満は玉藻の前(真琴つばささん)と出会ってしまう。
  そして、その心の奥底の覗き込まれる。
  ・ 安倍晴明にかなわない自分

  ・ 自分は元々「かも家」の妾の子、
    本流たる自分がなぜこのような身分にいるのか
  
  そういった嫉妬心より鬼を生じさせ、玉藻の前に取り憑かれてしまう。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  土蜘蛛退治に来ていた源頼光と坂田公時(金太郎、山寺さん2役)、
  策を用いて土蜘蛛と呼ばれる者達を退治するが、
  そこへ他の土蜘蛛退治に出向いていた者達からの急な知らせが。

  「土蜘蛛とはただの人でござる!」と。

  慌てて、土蜘蛛達の潜んでいた穴へ入るとそこには
  多くの人の亡骸が・・・

  源頼光は生存者を探し、なんとか助けようとするが
  土蜘蛛(と呼ばれる人達)の呪詛(じゅそ)により
  片腕片目を鬼とされる呪いを受ける。


・ (再び安倍晴明老人の頃)
  話の中で、かつて都で暴れまくった妖狐を安倍晴明といえども
  討つ事は出来なかった、と知る。
  そして安倍晴明自身の中へ封印したのだと。
  更には、今安倍晴明の命尽きる時、妖狐達を逃さぬよう、
  屋敷ごと異界へ送ろうとしてる、という。

  藤原道長「我は安倍晴明の友よ。友ゆえに一緒に逝こうとここにいるのだ」と。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  歌会へ現れた道満(玉藻の前に取り憑かれている)、
  晴明に「さあ早く鬼や妖狐を払え、”狐の子”!」と言うと
  晴明「道満は決して予を”狐の子”とは呼ばなかった!お前は誰だ!」と。

  そしてそこに源頼光が現れ、
  「狐の好きな鬼の肉ならここにある!(と自分の呪われた手を差し出し)
    さあ、食うが良い!」と。


  そして場面変わって


  安倍晴明に「お前はもう良くやった、もう母の元へお戻り」と
  語りかけてくる母キツネ。
  そして母キツネは晴明の手を取り「母の手は温かいでしょう?」と。

  晴明「・・・温かい、それ故にお前は母ではない!」と。

  ※ かつて母キツネは安倍晴明の為に毎日山に入り、
    氷を掘り水を汲み、魚を取っては晴明に与えていた為、
    その身体はかなり冷たかったという。

  そして正体を表す玉藻の前、九尾の狐。
  そして道満も現れ
  「お前も来てしまったか!ここは九尾の狐の腹の中・・・」と。

  そして、九尾の狐の姿が自分の母親とそっくりな事に気づいた安倍晴明に対して、

  九尾の狐「おまえの母は元々我が九尾が1つ、
    かつて中国(?何の国って言ってたっけ?)にて、
    太公望に破れし時、弾け散った身体は世界のあちこちへ散り、
    その1つがこの国にて心を持った、それがお前の母、白尾(はくび)のキツネよ。」
  晴明「母を返せ!」


  そして対決


  ※ 今まで何故安倍晴明にだけ妖狐が討てたのか、
    安倍晴明が本当に妖狐の子だったからなのか?
    否、実は普通、人が妖狐を討とうとすれば怒りが生じ、
    その怒りが鬼を産む為に妖狐に食われてしまうという。

    ただ、晴明だけは妖狐を討つ時に母キツネを思うように
    悲しみの念で討っていたという。
    だから晴明にだけ妖狐が討てた、と。


  しかし、今の晴明は道満の事、母キツネの事で怒りに満ちている。
  その怒りの念で我を討とうとすれば、
  晴明とてその生命(いのち)を食らえる、という九尾の狐。

  そこへ道満が「我を取り込め、九尾の狐!そして、
    友を想うなら悲しみの念で九尾を討て!晴明!」
  と道満決死の思いで九尾に取り込まれ、

  それを晴明は悲しみの念で討つ。


・ (再び安倍晴明青年の頃)
  母キツネ「私がこの姿に戻る、って言う事は
    お前は九尾の狐を討てたんだね。
    もう人の姿にもなれやしない。
    お前は本当は知ってたんだろう?
    私がお前の本当の母ではない、ただの妖狐だって事を。
    昔ある祠に倒れていたお前の父と赤子を見つけた。
    父親は既に息はなく、その赤子だけでも食ってやろうかと思ったが、
    赤子の鳴き声にあたしも気持ちをほだされてしまった。
    そしてお前をキツネながらに育ててきたんだ」と。

  晴明「それでも、母は母だ・・・(泣く」
  母キツネ「もうお別れのようだね。そんなに泣くんじゃないよ。」
  そして母キツネも消えていく。


・ (再び安倍晴明老人の頃)
  若者「今、安倍晴明様の命が事切れてございます・・・」
  藤原道長「しかし屋敷はあいもかわらず?
    さては晴明、憎しみの心を持たずして
    妖狐達を封印したのか?」と。

  ※ この辺、なんで安倍晴明が死んだけど、
    家もそのまま、安倍晴明の中に封印された妖狐達も再び世へ現れなかったのか
    いまいち話が見えませんでした。。。


  このまま~ Fin ~


  ※ 物語中さんざん、木の精の木の花は年中散らない事、
    安倍晴明は「散らぬ花が好きなのだ」と言っていた事、
    など木の精の話が出ましたが、どうも本筋と
    あまり関わってなかったので、話が記憶に残ってません。




終わりに向けて母キツネと子供晴明の話や、
かつて子供晴明と友達になってくれた道満の話など、
泣ける場面が目立って来たのですが、
どうにもお話全体を通してが面白くないなあ、と。。。

それもこれも今回、
SOUND THEATREが別の会社
(ミューレ(ミュージックレイン(スフィアとかの会社))だったかな?)と
組んでこの興業をやっている事と関係してるのかな、って。


いつもなら、本編DVDやプレイボタン(朗読劇の入った再生機)なんかを
売るんですが、それすらなかったのは、
SOUND THEATREとして正式なナンバーに加えたくなかったからかな・・・