2014年09月21日 17時58分
【第百四十四回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
お品書きの「語彙鍵盤(ピアノ担当)」の方のお名前が
上から別の方の名前で貼り直されていたので「アレ?」と思ったら、
「無事女の子をご出産された」との事。
先月観劇させてもらった時も妊娠されてるようには
見えなかったけどな、女性は分からんものだな。
しかし、出産一ヶ月前でもこんな活動的な
イベントに参加してて良いものなのかな?
妊娠した事ないから分からんけど( ´ー`)男だし
■お品書き
『牛丼変じてうな丼となる』 東海林さだお
「そろそろお昼だなー、よし今日は近所の吉野家で牛丼食べよう」
と思ったその時から、
舌はあの紅しょうがを思い浮かべてつばを出し、
胃や腸は牛丼消化の準備運動に入り、
そして先の先になるだろうけど肛門までもが準備に入り、
全身が「牛丼を食す」準備万端になった頃。
いざ吉野家へ行ってみると
「期間限定うな丼!あん、きん、たん、にこ(だったかな、この四句忘れちゃった)」
とのポスターに出会い、ポスターのうな丼があまりに美味しそうなので
ついつい脳が「うな丼1つ!」と発声してしまった。
そしてちょっと小さいが思いの外ホクホクで
美味しそうなうな丼を口から入れるのだけど、
身体の方は「牛丼突入準備万端!」だっただけに
それをいきなりうな丼に変えたら
変調を起こすんじゃなかろうか?
と思ったけど、
ホテルや旅館の豪華な夕飯で
「やれ刺し身だやれ天ぷらだやれ鍋だやれアイスだ」と、
なんでもありで放り込んでもなんともないからきっと大丈夫だろう、
とのお話。
自分は数年前にすき家でうな丼と牛丼が合わさったヤツを食った事あるけど、
あれはあまり美味しいとは思えなかったなー、
うな丼のタレからがベタベタしょっぱくて
「老舗の旨味」を感じなかった(チェーン店だから当然だろうけど)。
山椒にもあまり合ってなかったような気がする。
ああ、うなぎ食いたいな。
今年は土用の丑の日にも食べなかったし( ´ー`)
『サンドイッチの袋とじ』 東海林さだお
サンドイッチを食べる時、
噛み方に気をつけないと、否(いな)気をつけたとしても
噛んで圧力をかけるとその端から端から
中の具材がドバンと飛び出してしまい、
それをこぼさないように口やら手やらで
補いつつ食べないと大変な事になる。
何も気にしないでがぶりがぶりと食べていたら
野菜やら何やらがそこかしこから飛び出して
テーブルの下が食材だらけになってしまう。
それでは、、、サンドイッチの端を全部プレスして
くっつけてしまったらどうだろう?
そうしたらどこからかぶりつこうとも、
具材が飛び出す事もなく美味しく食べられるのでは?
と思ったらなんの事はない、既に「ランチパック」なる
サンドイッチが20年近く前から市販されているという。
さっそくコンビニで買ってきて、
この「ランチパック」にかぶりついたのだけれども・・・
確かに端々から具材が出る事はない、
食べやすい、
しかし、具材がまったく見えてこない
(飛び出してこないし、端は全て封じられているので)。
これはなんだか味気ないなあ、
ひと噛みふた噛みみ噛みしても何も見えない、
そのうち、食べてるくちから覗きこんでみる、
確かに具はある(食べてるんだからそれは分かる)、
でも何か味気ないんだなあ( ´ー`)
というお話。
確かにサンドイッチを食べていて、
具材が飛び出すのは非常に食べづらいし、
飛び出さないランチパックとはこれまたすごい商品だとは思う。
でも、彩り1つとってもサンドイッチに
何が挟まれているのか分からない状態
(真っ白食パンのみ見える)ってのはちょっと寂しいかもなあ、
とランチパックを良く食べる自分でも思う・・・
せめて市販のサンドイッチぐらい、
具材の彩りの豊かさで食欲を誘ってもらいたいものだなあ( ´ー`)
『プリズンホテル』【1】夏10 浅田次郎
知人の借金のかたに工場を取り上げられ、
その上「自殺でもしてくれたら保険もおりるのになあ」と借金取りに脅し立てられ、
更に娘が若くして腎臓を患い人工透析なしでは生きられない身体となり
(人工透析はすごくお金がかかるし、子供には耐えられない苦痛でもある)、
いろいろな苦労から一家全員で逃げ出し、
山奥で無理心中をしようとしていた所で見つけた「プリズンホテル」。
その露天風呂でにぎやかにさわぐ衆を見て、
「せめて一度だけ人に迷惑をかけるとしても(ホテル代の踏み倒しと無理心中)
ああいう豪華なホテルで家族/子供を喜ばせてあげたい」、
とホテルに深夜急遽飛び込みで泊まる事にした借金苦一家。
ホテルの支配人とその部下に当たる若頭は
長いホテル経験とヤクザ稼業それぞれの勘で
すぐに「訳ありの客」と見抜くも、
若頭の一存ですぐに一家を極上スイートルーム「富士見の間」へ案内する。
そして、夜遅くで何も食べていない一家に、
このホテルの古くからの板長と今日来たばかりのフランス料理コック、
それぞれが作った鮎のおじやと洋風リゾット、
それぞれを従業員の出稼ぎ外国人達が部屋に持ち込んだ所から。
女房は色々な薬局を回って手に入れた
大量の睡眠薬を飲みやすいように砕く作業を続けている。
旦那の方は「これだけの薬をどうやって手にいれた?」と質問し、
女房「近所の店や1店舗でこれだけの薬を買ったら怪しまれるので、
遠くの薬局1軒1軒を回りに回って手に入れたのよ」との答えに、
自分が酒に逃げている間に妻に苦労をかけたと更に申し訳ない気持ちに。
子ども達は初めてのスイートルーム、その広さにはしゃぎまくる。
そこへ出稼ぎ従業員達が遅い夕食を持ち込む。
お腹が空いたとせがむ子供の為にいそいそと食事を始める一家は、
おじやとリゾット、その絶品と言える美味しさに舌をまく。
そうすると、まったく慣れない手つきで布団を敷いていた
出稼ぎ従業員ゴンザレスが枕を置く度にそこへキスしているのを見て、
「何をしてる??」と気にする夫婦。
食事をよそおっていた同じく出稼ぎ従業員女性いわく、
ゴンザレスの国では栄養失調で死ぬ子供が多い、
そして死ぬのはいつも夜中、
だから「死なないで」との想いを込めて
布団をしく時はいつもああやって枕にキスをするのだと言う。
そして、出稼ぎ従業員女性の
「自分もあなた達と同じような年頃の息子や娘がいる、
今は日本で沢山働いて沢山稼いで仕送りし、
いつか子供たちが迎えに来てくれるように頑張っている」との言葉に
夫婦「それでは子ども達にはずっと会えていない?それは子供が可哀そうだ」と。
しかし、出稼ぎ従業員女性「自分の子供達は祖母の元で生活にも食事にも
困る事なく元気に育っている。それだけで十分幸せ。
会いたいと思ってしまうのは親の勝手、
私が子供達と一緒に暮らしているなら子供達は生活に苦しみ死んでしまう、
こうやって私が出稼ぎに出ているから会えないけれど子供達は幸せに生きていける」と。
※ この無理心中家族の話は確か前の前ぐらいで止まっていたと思うんですが、
この悲しい設定が出てきた上で更に追い打ちをかける
悲しみを背負って出稼ぎに来ている出稼ぎ従業員達の話に、
すぐに眼鏡を外して瞳をぬぐいました。
今回は悲しいパートなんだろうなあ・・・
借金を返せない、透析の支払いも出来ない、
という事で子供を巻き込んで死のうとしている親と
子供に会えない代わり子供達を元気に生活させているという
出稼ぎ従業員達の対比が、悲しみを増させるなあ、と。
そして、支配人室から監視カメラでホテル中を監視していた支配人と若頭、
深夜過ぎても続くカラオケとその対応という事で
ずっと張り付いている従業員に対して、
支配人「ここのタイムシフトはどうなってるんです?」
若頭「タイムシフトなんてものはございません。
やくざものってのは多少の無理が効くもんで、
1晩2晩寝なくても大丈夫なんでさあ。」
支配人「そんなのはホテルとはいえません!
私が行ってそろそろお開きにしてもらってきましょう。」
若頭「そういえば明日は従業員と宿泊客のソフトボール大会でしたわ。
塀(へい)の中にいる時はコレ(ソフトボール)だけが唯一の楽しみでしたからな。」
との話を受けて、支配人がカラオケ室に向かう。
カラオケ室に現れた支配人は客(ヤクザ)の一糸乱れぬカラオケの歌い姿と
その聞き姿(歌は全て任侠もの)の熱心さと無駄口のなさについ胸を打たれてしまうが、
支配人に気づいた従業員(ヤクザ)、客(ヤクザ)それぞれが慌てる。
客(ヤクザ)「支配人さんにご迷惑をおかけしちゃなんねえ、
そろそろお開きだ!」
支配人「いや、まだお続けになって結構ですよ。
しかし、明日はソフトボール大会があるとお聞きしていたもので。」
客(ヤクザ)「そうだ忘れてた、明日は6時からソフトボールじゃねえか。」
という事で客(ヤクザ)が片付けを始めるが、
従業員(ヤクザ)はただ立っているばかり。
その態度を支配人に咎められると
従業員(ヤクザ)「うちとあいつらでは極道としての分(ぶ)が違うんでさあ、
まあ支配人も見ていてくださいまし。」
支配人「分(ぶ)とかなんとか関係ありません!
あちらはお客でこちらはホテルマンなんですよ!」
従業員(ヤクザ)「支配人になんと言われようともこれは極道の話、
分(ぶ)が上のものが手を煩わせるわけにはいきませんや!」
とお互い熱くなった所へ、若頭が現れる。
若頭「おい!支配人に逆らうとはおめえ何事だ!」
そのまま従業員(ヤクザ)に馬乗りになって鉄拳を浴びせまくる若頭、
若頭「この落とし前は明日までにエンコつめてワビ入れろや!」
それを聞いた支配人は止めに入り、
支配人「この大事な手を、あ、こちらの手には既に小指ないんですね(と逆の手を持ち)、
いや、ホテルマンとして大事な部下の指なんて取らせるわけにはいきません!
指を落とすなら私のを落とします!」
と、包丁を自分の指にあてがうが。
そこへ現れた親分、
「そこまでだ!」
「いやあ、やっぱりあんたを支配人にしたのは正解だったぜ!」
と、クラウンホテル(有名豪華ホテル)から
この支配人をプリズンホテルにもらった訳を話す。
クラウンホテルはターミナルホテル(ターミナル駅のホテル)を
大々的に展開させようと企み某国鉄と裏で繋がっていた。
それを知った親分がクラウンホテルを脅し、
「ホテルを1つあげますんで何卒」と言われる所を
親分「ホテルなんていらねえ!それよりお前らの人事情報をよこせ!」
と人事情報を手に入れ、片っ端から人間を調べた中で
「たった1人、本当に客の身を想う事が出来る真のホテルマン」
としてこの支配人をよこすように言ったのだと。
(+フランス料理コック1人をもらっている。)
※ この支配人はクラウンホテル系列での長いホテルマン人生、
一度は支配人になるも
客室でボヤ騒ぎがあった際、一事が万事と全客を避難させ、
ホテル全体のスプリンクラーを作動させて更に消防署を呼び、
とホテル側が恐れる「大騒ぎ」を起こしてしまった為に、
その後出世の芽を断たれてホテルからホテルへと
流浪の度を続けるハメになっていた、と。
ここで今回は終わり。
なんだか任侠もの(なんだけど)の本当に
任侠な場面のお話だったなあ・・・
少し泣いた。
『人殺し』 藤沢周平
ある貧乏長屋にとてつもないならず者が住む事になった。
この男、「ここで一番喧嘩が強いのは誰だ?」と訪ね
その男を知るやその家に行って大げんかし、
その男を打ちのめし、自分が一番強い事を誇示する。
そして、、、
ある老人の所に見舞いに来たまだ16の娘を襲って犯し、
更に別の家の若い妻も自分の家に連れ込み、以降
この妻は自分の家とこのならず者の家とを行き来する始末。
そうして約2年。
ここで同じ長屋に住む1人の若い男が出てくる。
体格も弱々しく、まだ子供のように見えた為か
ならず者もこの若い男には特にかまわなかったという。
しかし、この若い男、街で先の娘に出会い、
その娘がまだ心に傷を抱えている事、
そしてそれとは裏腹に無理やり「女」にされて以降、
全身に色気を身につけている事などに悶々とする。
そしてまずは先に喧嘩でやられた男の元へ行き、
「自分が加勢するからあのならず者を倒そう」と言うも
やられた男はもうその元気もなかった。
若者は以降合口(あいくち、短刀)を懐に隠し持つようになり、
まずは娘の所へ。
娘から「傷物(きずもの)にされちまったこんな身体じゃ嫁にも行けない・・・」
という言葉を聞くと懐の合口を見せ、「俺がなんとかしてやるからな」との事。
そして井戸で水浴びしているならず者の所へ行って罵声を浴びせ怒らせると
合口で一気に懐を一刺し、そしてならず者が反撃してくると
更に何度も刺して息の根を止める。
後ろにはいつの間にか、ならず者の叫び声に長屋中の者が出てきていたが、
褒め称えられると思っていた若者に対して、
「人殺しだ・・・」
「何もやっちまう事は・・・」
などと口々に言う長屋連中、
そして、かつてならず者にやられた男が若者の所に来てその手から
合口を叩き落とすとその顔をひとはたき。
コロスまでは望んでいなかった長屋連中と、英雄に成ろうと
1人勝手に浮足立った若者との、気持ちのすれ違いというか、
のお話。
これも「不条理劇」というのかな?
※ この物語で若者を演じている時の銀河万丈先生がこれまた
今で言う「本当は気の弱いチンピラ」風のしゃべり口調が、
今まで2年通っても知らなかった新しい銀河万丈先生キャラ、
という感じで薄っぺらさが前面に出てて良かったかな( ´ー`)
だけど時代物、そろそろ「号泣」劇が聞きたいなあ・・・
藤沢周平さんはそういうストレートな展開の物語少ないからなあ
まあともかく、今回の「ごんべん」は銀河万丈先生もとてもお元気で
※ 近所の代々木公園はデング熱で大変だけれども
朗読自体もとてもなだらかで朗々としていて面白かった( ´ー`)
夏の暑さも終わってすっかり元気を取り戻した、という感じだろうか?