2014年08月17日 18時50分
【第百四十三回「ごんべん」ー銀河万丈読み語りー】感想
※ 銀河万丈先生の読み語り、通い始めて2年ぐらいになるでしょうか?
最近先生の読み語りに「噛み」「トチリ」が以前より目立つように感じます。
忙しさで十分練習出来ずにこの場にのぞんでいるのか、
それとも物語の読みが結構な早口なのに対して
滑舌的な意味で読みの滑らかさを調子その他の関係で失っているのか、
ちょっと気になります。
それでも読んでもらえる物語と、その読み語りの演技の面白さで
十分満足なんですが、少し不安です。
※ 先日ネット動画で観た「ギレン・ザビの演説」は、
見事な語りだったので、体調を崩している訳ではないと思いますが・・・
●東海林さだお 『とうもろこしのザークジャッキ』
お品書きを見た時、
「”ザークジャッキ”ってなんだろう?
とうもろこしを使った海外の料理名か何かかな?」
と思いました。
これは、
茹でたとうもろこしを前歯でザクザクッと噛んで口に貯め、
それをジャキッと噛みしめる、その擬音でした。
茹でたとうもろこしを前歯で噛みちぎって口に貯め、
これをジャキッと噛みしめると
ジュワーっとなんとも言えない甘さの汁が出て
とんでもなく美味しいんですよね。
この汁はなんて言うんでしょう?
昆虫が樹木に貼り付いて吸う蜜を「樹液」と呼ぶから
穀物であるとうもろこしの蜜はいわば「穀液(こくえき)」でしょうか?
そしてお家(うち)でとうもろこしを茹でた後、
まずお湯を捨ててとりあえず1本持ち上げてみる。
そこで「アチチチチチチッ!」となって左手、右手と
お手玉のように放り投げ合う、
「これこそまさにとうもろこしなんです!」との事。
そして不思議な事に、
両手でとうもろこしの頭とお尻(?)を持って食べ始めると
みんな必ず真ん中からザクザクっといく、
なんで端から行かないんでしょう?
別にルールがある訳でもなんでもないのに不思議です。
更に前歯でザクザクザクッと円周を一回りしたら、
続いてはその淵を食べてそのラインを広げていく、
本当なら「ここを食べたから次はあそこを食べよう」
みたいに自由に食べていいと思うんですが、これまた不思議です。
そして銀河万丈先生
「夏といえばスイカかとうもろこしですかね、
ただ東海林さんはこのザクザクッ、ジュワーって
食べ物はとうもろこししかない、って言ってますが
何か他にもあるような気がするんですよねー、
すぐに思い浮かばないんですが・・・」との事。
自分は、ハニーバンタムとかの甘い品種を
おうちで茹でて食べるのも好きだけど、
昔のお祭りでは必ず屋台出てた焼きとうもろこしの
あまり甘くない(?)日本の(?)とうもろこしを
醤油ダレで焼いたヤツも大好きだったんですよね。
最近焼きとうもろこしの屋台なんて滅多に見ないけど。
●東海林さだお 『箱物ジュースのチューチュー』
最近では小さい箱のジュース、後ろに2段式のストローがついたやつ、
あれ多いですよねー。
でも私(東海林さん)はアレが嫌い、
銭湯の牛乳とかは男らしく身体をのけぞらせてグイッと一気にいくのに、
あの箱物ジュースはストローを刺して、
更に「ちゃんと奥まで刺さってるかな?」って更に奥に刺そうとして
ストローが入りすぎて箱の中に埋まっちゃいそうになって
慌てて爪で取り出したりなんかして、
それを大の男が前かがみになって口をすぼめて「チューッ」とやる。
あれが男らしくない。
ストローで何回も何回も「チューチューチューチュー」吸い出すけど、
箱の下でも切って一気に飲み込んだら
多分三口ぐらいで飲めちゃう量なのに、って。
しかも「ズズッズズッ」と音がして、
「あれ?もう飲み終えちゃったの?」と
角度を変えて残ったジュースを角に集めては
また「チューッ」と飲み、
また「ズズッ」と鳴っては角度を変えて飲み、
ってのがみみっちい。
男なら「グイッ」といきましょうよ!
との事。
野菜ジュースとか健康系の飲料に箱物パックのヤツ多いけど、
確かに「チューチューチューチュー」とストローで飲みにくいな、
と思います。
あれって少ない量を飲みにくくする事で
時間稼ぎ(?)してるんではないか?
って勘ぐったりもします。
でも、ユンケルとかの高いヤツをグイッと一息で飲んじゃうのは
勿体ないなあ、あれはストローで「ズズッ」ってなるまで飲みたいなあ、
と自分は思ったり思わなかったり。
●浅田次郎 『プリズンホテル』【1】夏9
※ 本物語読み語り中、間奏として流れる曲(確か原曲はトランペット主体のジャズ系)、
───────────────────────
テテテテレレテレッテッテッテー
テレレッテー テレレッテー
(繰り返し)
───────────────────────
ここに貼りたかったんですが、「タイトル」分からないので
Youtubeでも見つかりませんでした。
映画「プリズンホテル」のBGMかと思ったのに( ´ー`)
プリズンホテルのオーナーであるヤクザの親分の甥に当たる、
極道小説で一発当てたしょうたろう、
そしてその愛人である元極道の妻キヨコ(ちょっと頭が足りない)。
2人は大叔父(オーナー)の誘いで、プリズンホテルへ宿泊中。
思えば何のとりえもなかったしょうたろうだが、
幼稚園の頃から1日たりとも欠かさず日記だけはつけていた。
それがまさかこんな形で活かされるんだから人間分からないものだ、と。
※ 日記を欠かさずつけるだけで売れっ子小説家になれるなら、
過去に戻って毎日日記つけたいわ( ´ー`)
小説を書こうと原稿用紙に向き合うがほんの1行書いた所で、
気持ちが萎えてしまいます。
で、不思議なのが、
男とは「さあ仕事へ行くぞ!」と通勤電車に乗ってていきなり
「SEXしたい!」とか性欲わかないが、
ぐったり疲れて帰る時にふと
「ああ、SEXしたいなあ・・・」って性欲がわくから不思議だ、
としょうたろうの持論。
で、しょうたろうはキヨコを抱きたくなり、キヨコの部屋へ。
しょうたろうはキヨコを抱く時に1度として、
「キヨコを抱いている」と思った事はないとか。
毎回毎回自分の書いている、またはこれから書こうとする
小説の役になりきって、同じく役になりきったキヨコを抱くという。
例えば極道が素人のお嬢さんをレイプ((*/∀\*)イヤン)しようとするシーンでは、
キヨコの顔を2、3発叩いて(はたいて)、
しょうたろう「コラァ!おとなしくしやがれ!」なんて演技すると、
キヨコもこういう所だけ勘が働いてすぐに設定を飲み込み、
キヨコ「いやー!堪忍してー!」と2人で盛り上がるらしい。
で、今日は「ヒットマンとその愛人」としょうたろうが思いつく。
ヒットマンがヤクザの大物をヤッたはいいが、
「あれだけの大物をヤッたんだ、きっと俺も無事ではいられまい」
ってな具合で、場末のラブホテルに愛人を呼び出し、
疲れ果てた身体で女を抱いた後、
愛人「あんたを救う為にはこれしかないんやあ・・・」と警察を呼ぶ
ヒットマン「てめえ、おれをさしやがった(密告)なあ!」
愛人「堪忍してやあ、このお腹の子を父なし子(ててなしご)にする訳には
いかないんやあ。゚(PД`q。)゚。」
と。
で、しょうたろうの想像した設定でキヨコを抱きますが
「疲れ果てたヒットマンだから・・・」とわずか3分で果ててしまいます
(設定だからこれでいいんだ、と1人納得するしょうたろう)。
そして2人で部屋のお風呂に、月明かりを頼りに入り
(月明かりにひたる為照明はキヨコがわざと消した)、
キヨコの昔話
キヨコ「昔、田舎に住んでいて田んぼの真ん中にこんな
(月明かり頼りの)お風呂があったんです。
当時、いつも真っ黒けに汚れていたアタシをおじいちゃんが、
これでキヨコも真っ白や、と身体を洗ってくれたんです」と懐かしがる。
しょうたろう「で、そのじいさん達はどうしたんだ?」
キヨコ「死にました。アタシに婿でも取って田んぼを継がせようとしてたんですが、
それも周りの人に取られちゃって・・・で、アタシは東京へ・・・」
しょうたろう「それで、ヤクザの女房になってるんじゃ、じいさん達もうかばれねえなあ・・・」
翌日、ヤクザの親分である大叔父が
「しょうちゃん、一緒に風呂でも入ろうや」と呼びに来ます。
そしてドアの覗き穴からキヨコの姿を見つけるや、
「しょうちゃんもやる事はやってるんやあなあ」
しょうたろう「あれは私の秘書です!」
ベッドから飛び出すキヨコのお尻
大叔父「裸でベッドで寝てる秘書はいないやろ」
しょうたろう「彼女は暑がりなんです!」
そして通路にて、
しょうたろう「そんな叔父さんこそ、あの女将(ホテルの美人女将)と
上手い事やってるんでしょ!」
痛い所を突かれたのか、お互い「言いっこなしって事で・・・」と黙り込みます。
そして2人露天風呂のロッカールームにて
服を脱ぎますが、2人そろってKから始まる長いブリーフ、
※ しょうたろうの亡き父は下着屋で、
そこで作ったブリーフを箱でしょうたろうや大叔父にたくしていました。
大叔父「おれはまだ1箱あるぜ、多分死ぬまで持つわ!」
しょうたろう「うちには5箱ありますよ」
大叔父「そいつは羨ましいなあ・・・」
2人露天風呂に浸かり、
脚を大きく伸ばせるこの大きな風呂について、
大叔父「塀の中の極道は”風呂で脚を思いっきり伸ばしたい”って夢みるんだ。
だからシャバへ出たら、まずこのホテルに来てこの露天風呂で思いっきり
脚を伸ばすのさ」
と語ります。
そこでふと、男湯女湯をわける垣根に指が差し込まれ、
女風呂から誰かが覗いてる事に気づいたしょうたろうが
「叔父さん!誰か覗いてます!」
と垣根へ走ると、女湯着替え部屋へ逃げる白い背中が・・・
で今回はおしまい。
しょうたろうとキヨコの「実は好き者どうし」ぶりな1章でした( ´ー`)
エロやのう。
こんな下ネタ話も楽しく読み語る銀河万丈先生
※ 観客は20代~60代ぐらいまでの男女なので
下手にエロスが走ってしまえば、微妙な空気が流れ
みんなシーンとしてしまいますが、
エロも笑いに変える語り口調にみんな笑いが絶えませんでした
あとは浅田次郎さんの本物語自体が上手いんでしょうね、
エロはエロでもちゃんとクリーン(?)な笑いになってました。
●藤沢周平 『遠ざかる声』
江戸時代頃。
キサブロウは5人の奉公人を抱える小店(こだな)の主人。
キサブロウは20代で結婚したが、
当時は裏店(さびれたお店)と行商とで暮らしていてとても苦労し、
大事な妻も流行病(はやりやまい)で失ってしまった。
それから10年。
ある日キサブロウはとても豪華な仏壇の前で
ひとしきり念仏を唱えた後、独り報告を始める。
キサブロウ「茶漬け屋の主人に紹介された今度の人はほんとにいい人なんだ、
それにもうすぐ40になろうって言う店の主人が1人身じゃ、
色々と問題があるんだよ、
奉公人達にも示しがつかない、
その為に女房は必要なんだ、
だからもう邪魔しないでくれ!」
そこへキサブロウだけに聞こえる声で
サヨ「あたしゃ邪魔なんてしちゃいないよ」
亡き妻サヨの声が。
キサブロウ「嘘つくんじゃねえ!何度も縁談が失敗するから
おかしいと思って俺は聞いたんだ。
そしたら仲介してくれた主人から
”あんたと見合いしてから、あの娘の枕元に綺麗な若い女性が
立つようになったんだ、それって・・・”
って言うじゃねーか、それはサヨ、お前の事だろう!」
激昂するキサブロウ。
サヨ「あんたがいつもロクな女を選ばないからじゃないか!
いつも色気に騙されてロクでもない女を選んでくる。
マサヨさん
※ キサブロウの店に住み込みで働く(子供を抱えた)未亡人。
働き者だが醜婦(しゅうふ)とキサブロウが思うぐらいにはきれいではない。
辺りと身を固めてくれりゃあいいものを・・・」
キサブロウ「あのなあ、サヨ。店(たな)の女将っていうのは
そりゃあ色んな器量が要求されるんだよ、
マサヨにそれは無理だろうが!」
サヨ「ふーんそうかい。でも今度の女には気をつけな、あれは悪い女だよ。」
そしてサヨの声は消える。
そして背後に人の気配
マサヨ「・・・だ、旦那様?(誰と話していたのかとビックリした表情)」
キサブロウ「おい!部屋に入る時は声をかけろと言ったろう!」
しかし、キサブロウはサヨの「あれは悪い女だよ」の一言を気にしていた。
そして、知り合いの下っぴき(したっぴき、岡っ引きの子分)に頼んで、
紹介された女の身辺を調べてもらう事に。
それから2週間以上経って、下っぴきが店(たな)にやってくる。
下っぴき「旦那も大変な女にひっかかったもんだ。
あいつには若い男がついてまさあ。
で、旦那?あの女とはもう寝たんで?」
キサブロウは、女と酔った勢いで手を握り、
更には膝頭に触った事を思い出したが、これは黙っておこうと思い
キサブロウ「手を握っただけです!」
下っぴき「本当に寝てないんですね。
相手の男ってのがタチの悪い極道でして、
”自分の女に手を出したな!”って恐喝しては金をせびるようなヤツでなんで」
怖くなったキサブロウは
「よ、酔った勢いで膝頭を触った、事はあるが、ま、まずいかな?」
下っぴき「(子供じゃないんだから)そんなの手を握ったのと変わらないでしょ。
ただ、この縁談を断った後、あの男は多分旦那のところへ脅しに来ますぜ」と。
そして、キサブロウはヤクザが来た時の為に
昔裏店で働いていた頃の知り合いだった浪人を雇い、
店にはりついてもらう事にする。
これが功を奏した。
実際店に極道がやってきて店先で
「俺の女に手を出しやがって!10両払え!」と恐喝されたが、
浪人がこれに対応、更には極道が懐から刃物を出そうとすると
浪人「出せば斬る!」とすごまれ、
極道は結局、2両だけもらって退散した。
そしてキサブロウは今回の一件で、
「もう女(色ごと)は懲り懲りだ」と縁談を断るようになり、
そしてサヨの勧めたマサヨと夫婦(めおと)になる事にする。
散々縁談したあげく、醜婦のマサヨと結婚するなんて、
きっと店(たな)の若い衆に笑われるだろう、と心配していたが、
店(たな)の者達は心からこの結婚を喜び、
「ここだけの話ですが、旦那は見た目ばかりの女じゃなくて、
マサヨさんを選んでくれればよかったのに、とみんな思ってたんでさあ」と
聞かされ驚く。
そして新婚初夜、その日も働き者のマサヨは店(たな)の
色々をこなして
それからキサブロウの布団へ。
初夜、という事で、キサブロウはマサヨの身体をまさぐり始める。
そして、胸、体臭、体つき、腰つきと確かめると、
キサブロウ「こりゃあとんでもない上玉のものだ!」
とキサブロウは今まで気付かなかったマサヨの魅力に気づく。
そこへキサブロウだけに聞こえるサヨの声、
「だからあたしは言ったんだよ。
あんたが色ボケして大事な事に気づかないから・・・」
? その後も何か言ったかな?忘れちゃった。
そして、マサヨを抱きしめ暗闇にサヨを見つめるキサブロウの耳から、
だんだんとサヨの声が遠ざかっていく・・・
~ Fin ~
「ちっとも怖くない怪談でしたねー」と銀河万丈先生。
藤沢周平さんにしては珍しく、
死んだ女房が残った夫の今後を心配してずっとそばにいて、
安心できる伴侶が出来た事を知って成仏する、
※ サヨの声はキサブロウにしか聴こえない為、
「幻聴その他」の可能性もあるが、
紹介された女が悪い女である事を教えた事などからも
やっぱり幽霊なのかしら?
いつもなんだか悲しくなるような、ちょっと不条理(?)的な終わり方を
させる藤沢周平さんだけど、こんな話も書けるのね。
今回は書く内容をまず箇条書きで整理してから、
短くサラッと書くつもりだったんですが、
結局いつもと変わらぬ長文になってしまいました。。。
「正しい読書感想文の書き方」でも読もうかしら( ´ー`)