2014年07月20日 18時41分
【第百四十ニ回「ごんべん」-銀河万丈読み語り-】感想
東海林さだお
『「さあ、焼肉だ」の「さあ」考』
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「焼肉を食べよう!」と思い立って焼肉屋に入り、席について
「さあ、焼肉だ!」と言う時の「さあ」は
他の食べ物を食べる時の「さあ」とは違う。
「さあ、カツ丼を食べよう!」と言う時と
「さあ、焼肉を食べよう!」と言う時は明らかに違う。
何が違うのか?
定食屋に入って席につき「さあ、カツ丼を食べよう!」と一言言った時、
そこには何もかつ丼を想起させるものは存在しない(平たいテーブルがあるだけだ)。
しかし、焼肉屋に入って席につき「さあ、焼き肉を食べよう!」と一言言う時、
そこには焼肉の鉄網(焼き網)がある。
これを見た瞬間から脳内では
・ 焼肉を焼いて食べるさま、その熱気
・ 「焼き網の近くにビールを追いちゃダメでしょ!」と仲間を注意するさま
色々なさまが思い浮かんでくる(ある種のイベントの始まりなのだ)。
そして、焼肉は更に「カツ丼」のように決まった1品ではなく、
「タン塩、カルビ、豚トロ、レバーと色々な肉のどれを選び、
味噌ダレ、塩ダレ、どんな味付けで食べようか?」とまで
色々な連想は止まらない。
「じゃあ、おでん屋台のおでんはどうなの?」と友人に言われた。
確かにおでん屋台はそれこそ席につく瞬間から目の前に
数十種類のおでんが立ち並び、
想像するまでもなく目の前でその美味しさ、味わいをガンガンアピールしてくる!
それでも、それでも、「さあ、おでんを食べよう!」と「さあ、焼肉食べよう!」の
「さあ」は違うのだ!・・・「さあ、逃げろ!」
というお話。
確かに焼肉は=バーベキュー的な連想もあるし、
普通に豪華な「お寿司」「天ぷら」その他を食べる時よりも
「イベント性」が高い食べ物だと思います。
自分も昔は毎週日曜、サッカー練習に集まってみんなで4時間練習した後、
「てっちゃん(江東区の焼肉屋さん)で”さあ、焼肉だ!”」と言っていた気がします。
あれから十数年経ちサッカーからフットサルに、
更に週1が月1、三ヶ月に1回、とうとう年1回の合宿のみ、まで
人が集まらなくなってしまい(もちろん体力も当初の十分の1ぐらいまで減ったかと)、
とうとう焼肉に一人で行くようにもなったけど、
それでも焼肉屋へ行った時の「さあ、焼肉だ!」の気持ちは東海林さんと一緒だと思う( ´ー`)
歳をとったり結婚したり子供が産まれたり、色々あっても
やっぱりみんなで集まってなんかしたいなあ、焼肉食いたいなあ。
今年のバーベキューも集まり全然悪そうだしどうしよう(´・ω・`)
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『思い知ったか零度ビール』
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街なかでいきなり、
「ビールはキンキンに冷えたのがいいんです!」と叫んだとして、
きっとハタチすぎの若者からお父さん連中までみんな
「そうだそうだ!」と絶賛する事でしょう。
しかし、「じゃあ、どのくらい冷えてたらいいの?」となった時に
「いや、自分は水道の水ぐらいでいいと思う(だいたい6、7度くらい)」
と折角結託した仲間たちから抜けていくものが大半で、
「いや、ビールはジョッキに霜が張るぐらいキンキンに冷えたのじゃないとダメなんです!」
(だいたい0度近く)
なんて言うのは少数派(東海林さんは少数派)、との事。
新幹線でお弁当とビールを持ったサラリーマンがいた。
「きっと席についてすぐにテーブルを下ろして
お弁当に食らいついてビールをグビグビ行くんだろうなあ」、
と想像していたら、
なんとそのサラリーマン、週刊誌を取り出して普通に読み始めたぞ!?、と。
「さては、”よし、この記事にしよう”と食事のネタを見つけ、
そこでお弁当と冷えたビールを取り出すつもりか?」と思って見ていたら、
延々ずっと週刊誌を読み続けている。。。
「それじゃあビールが温(ぬる)くなってしまうじゃないか!」と心の中で激昂した。
結局みんな、「冷えたビール」とは言っても、水道水程度の
ちょっと冷たいビールが好き派なのか、と諦めていたら
六本木にハイネケンが”零度ビール”という、
ビールサーバーを氷の塊で囲み、
ジョッキも霜でガンガンに凍った、
そんな飲み屋さんをオープンしたという記事に出会って(この時お昼前)、
すぐその足でお店に向かった東海林さん。
お店についてビールを頼み、
キンキンに冷えた(というか凍った)ビールをグイッと一息、
「泡まで冷えてる!」と最高の気持ちで飲んでいたのだけれど、
周りを見たらビールを1口飲んだきり、
あとは放置で会話に夢中な人々を見て、
「そうか結局、キンキンに冷えたビール派は少ないのか」と
(´・ω・`)ショボーンな気持ちになった、というお話。
自分もビールは凍るぐらいにキンキンが好き派ですが、
自宅では普通に温くない程度のビールをグビグビと喜んで飲んでます。
(というか、飲んでました。痛風になってビール厳禁になったから(´・ω・`))
あの美味しさはもう味わえないのかしら・・・
それにしても東海林さん、気持ち若いなあ、と思ったり。
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浅田次郎
『プリズンホテル』【1】夏7・8
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今回も大体3章分をまとめて読まれた感じ。
ほんとーに長い、でも
・ 銀河万丈先生の演じ分けの上手さ
老若男女、ヤクザものから老夫婦から
ホテルマンからフィリピンからの出稼ぎから
一家無理心中を図ろうとする家族、子供まで、
色々な人の設定をちゃんと前もって考え、
声色から演技からでうまく演じ分けている。
・ 浅田次郎さんの物語構成の上手さ
新しい登場人物がどんどんどんどん現れても、
それが浮いてしまわずすぐに既存の人物達とうまく絡んでいき、
そこからこれまた新たな面白さ
(楽しい、だけなじゃく悲しい、やミステリアス要素まで)
を見事に生み出している。
という事で、4ヶ月で”夏1~8”まで来たけど、本当に期待の止まらない物語。
今回の3章を要約すると(読みなおすと全然要約になってない・・・)
1.無理心中しようとする家族
元々ものづくりその他が好きで、
工業高校でボイラー技師の資格を取った事から
ビルその他のメンテ技師に。
そして高度経済成長期、どんどん立ち並ぶビル群に対して、
会社から独立し起業した自分は本当にひっぱりだこで仕事をもらい、
ずっと仕事づくめだった毎日。
しかし景気の悪化でいきなり仕事のほぼ8割を埋めていた
大得意先からの仕事が打ち切られ、
同時期に同業仲間の保証人になっていた事から借金もかぶってしまい、
更には娘が腎炎になって透析を受けなければならない身体になり、
と金に困りまくった所で悪徳金融業者に頼ってしまった。
そしてあれよあれよという間に追い立てられ、
「お前さえ**てくれたら保険金で借金がチャラになるのにな」
と悪徳金融業者のヤグザもの連中に脅された上で工場(こうば)にも居座られ、
そしてとうとう家族全員で死を覚悟して山奥までやってきた、という。。。
会社の車も使えるものは全部差し押さえられ、
差し押さえすら間逃れたおんぼろのタウンエースに
平日だというのに学校もそっちのけで子供達を連れて
家族全員でやってきた山奥、
妻の「子ども達の寝ている間に逝ってしまうのがせめてものやさしさ」
という言葉に、窓枠をガムテで塞ぎ、マフラーからチューブで
排気ガスを車内に取り込もうとした所、
本当に使い倒した車がためにマフラーもサビでボロボロで
ガスがどこもかしこもから漏れてしまい、
こういうもののメンテを得意とする自分にも珍しく直しきれず、
その内寝ていた子ども達のうち上の娘(腎炎を患っている)も
起きてきてしまい、
家に居座っていたヤクザもの達の様子から、
今の両親の立場/状況を全て悟っていた娘は
「せめて痛くなければいいなあ、どうせなら原っぱの上がいいなあ」
と死を覚悟した上での両親に気をかけまいとする優しい台詞。
睡眠薬をライターで砕きつつ水筒に詰めている妻に対して、
「俺が戻ってくるまでは死ぬなよ」と言い残し、
死に場所を探しにいった父親。
しかし山の頂のその向こうに街の明かりを見、
そして遠くない場所にホテル(プリズンホテル)があり
そこから酔客達の笑い声と露天風呂を見つけた父親は、
ふと思いついて「まだ死んでないだろうな!」と必死で家族の元へ駆け戻り、
「どうせ死ぬなら、原っぱなんかじゃなくホテルへ行って
露天風呂にも入ってそれから死のう。
もう金なんて関係ないんだし、今までの人生誰にも
迷惑をかけてこなかったその分、
一度ぐらい迷惑をかけても許してもらおう(=踏み倒す気満々)」と。
そしてやってきたプリズンホテル、
父親「部屋は空いてますか!あとご飯もいただけますか!」
フロントでこれを見た支配人はそれまでのホテルマンとしての勘から、
こんな夜遅くにみすぼらしい姿と疲れ果てた表情で現れた一家を見て、
「これは山奥での心中その他を覚悟したヤバい客だ」と見抜き、
プリズンホテルでのリーダーに当たる
ヤクザの兄貴分にも一言相談した上で追い返そうとするが、
兄貴分「確かに普通の客じゃねえですなあ」と同じく見抜きつつ、
スイートルームへ案内する。
心中されるかもしれない家族を、
しかもスイートルームへ案内する兄貴分を見て、
支配人は「心中された部屋は”汚れた部屋”として今後も使えないかも知れない、
そういう事も考えた上での事か!?」と問い詰めるが、
兄貴分「そのスイートルーム、既に汚れた部屋なんでさあ。
それにこっちも考えがありやす。
まずは疲れ果てた家族に少しの団欒をやってもいいでしょう」
と人情味あふれる言葉・・・
※ この段階までの流れで心中を決意した家族から
このヤクザものの兄貴分の対応まで、
目をつぶって朗読を聴いてた自分の目は涙でいっぱいでした。
ほんと、疲れ果てた夫婦から、その両親の事を考え
子供ながらに「死を覚悟」してる娘まで、
ほんと銀河万丈先生の演じ分けが上手いんだ、これが。
2.元重役の妻、露天風呂にて
元大手企業の重役の夫、会社を定年退職してもなお
その横柄な態度に呆れ果て、この旅行の最後に離婚を言い渡す、と決めている妻。
この元重役がどういう関係かプリズンホテルのオーナーである
ヤクザの親分とツーカーの関係である事を知り、
「いったいどういう関係なの?」と
何もかも知っているはずの夫に対して初めての疑問を持つ。
男湯、女湯がわずかなやぶ(向こうが透けて見える)で
分けられた露天風呂にてそんな事を考えていると、
隣の男湯からやくざ者達の話声。
「いったいあのお偉いさん、うちの親分とどういった関係なんでしょう?」
「うちの親分は元総会屋よ。そして総会屋といえば、企業からしたら
敵なんて言われてるが本当の所、経理と総会屋が組んで、
他の荒らしを追い出すなんてのは良くある話。きっとそういう関係だろう。
そして総会屋との密着がバレたら会社から切られて1人刑務所行き、
そんな生活をあのお偉いさんもしてきたんだろう」と。
その話にやぶのそばで聞き耳を立てていた妻に対して、
ヤクザ者「ほら、やっぱり娘だったでしょ!」
「いやばばあ(妻)だろ!」
と女湯の方に入ってきて、
「隠さず、こっち向いてくださいよ、奥さん!」と
酔いにまかせて迫るヤクザもの。
そこへ
1人の青年が「素人さんに手を出すのはやめた方がいい」と
助けの手を差し伸べる。
ヤクザ者「誰だてめえ、どこの組だ、素性を名乗れ!」と言うも、
青年「いや、自分旅の身でして名乗れるような素性もない」
ヤクザ者「さては回状者(ヤクザ業界でもあぶれ、「こいつを組に入れるな」
「こいつを捕まえろ」などの回状を回されたヤクザ内部の逃亡者)だな!」
と青年の肩をつかもうとするが、その背中を見て
「こ、こいつは!」
とホテルへ戻っていってしまうヤクザ2人。
そして、やぶからその光景を覗き見て、洗い場で身体を洗う青年の
その背中の虎の彫り物から目が逸らせなくなった妻に対して振り返る事もなく、
青年「また酔っぱらいが絡んでくるかも知れません。内湯に戻られた方がいいでしょう」
と。
3.調理場にて
ヤクザの兄貴分が、板長と雇われたばかりのフランス料理シェフ、
2人以外の下っ端は全員帰ってしまった調理場へ駆け込み、
「急な家族連れのお客さんだ、何か作ってやってくれ!」と一言。
シェフ「じゃあ、リゾットを作りましょう」
板長「いや、おじやの方がいい」
シェフ「子供がいるなら、リゾットの方がきっと喜ぶ」
板長「いや、ここは観光地だ、和風の料理がきっと喜ばれる」
と早くも言い争いを始める2人。
「もうどっちでもいいから早く作れや!」というヤクザの兄貴分の一声に、
それぞれがそれぞれの料理を作り始める。
ここでフランス料理シェフに困った事が。
調理器具は今日届いたが具材はまだ発注していない。
冷蔵庫の中を見て、「しまった、ローリエがない・・・」と。
そこに板長が「うちはローリエはないんだ、こいつを使えばいい」と
和風食材を叩き潰してフランス料理シェフへ。
シェフ「なんで俺がローリエを必要としてるってこの板長は分かったんだ?」と
いぶかしがるも手際よくそれぞれの料理を終えるシェフと板長。
そしてそれぞれヤクザの兄貴分、そして自分達で味見をしあうと
お互いがお互いの料理の美味さを認識する。
「とにかく急いでもっていくわ!」と
ホテルマンのフィリピン組を呼び出し、料理を持って行かせ
「・・・ま、まあ、2人とも仲良くやってくれや」と
調理場を後にする兄貴分。
「いや、本当に両方ともすげえ上手い。
両方の味が左右から攻めてくる感じだぜ・・」と。
そして今回ここまでで終了。
今までの登場人物は癖が強いが涙は無かった連中なのですが、
ここに「借金苦で一家無理心中を図ろうとする、それも子連れ家族」が現れ、
そしてそれに対するヤクザの兄貴分の対応(義理と人情)に、
急激に涙を誘われる展開になってきました。
ああ、来月が待ち遠しい( ´ー`)
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藤沢周平
『怠け者』
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※ 最初に
本編の読み語り途中に、多分原稿(実際読み語りする際は、
小説自体ではなくその内容をA4用紙に印刷して
それを読まれているようです)のページが飛んでいたのか、
語り途中に一度大きな間が空いてしまい
(目をつぶっていたので実際どうだったのかはわかりませんが)
それ以降読みのテンポを見失ったのか(あるいは体調的なものか)、
この1年半で珍しく銀河万丈先生の読み語りが
かなりテンポ悪くなってしまいました。
まあ、こんな日もあるさ。体調不良でない事だけを祈ります。
ほんと健康には、健康には気を使って
これからも長~く、この楽しい読み語りを続けて下さいm(_ _)m
※ 1度も説明してなかったのですが、
毎回読み語りの2時間は
前半:現代小説読み語り
銀河万丈先生もラフな私服で、
読み台に軽く腰掛けて読むスタイル。
後半:日本昔(江戸時代など)読み語り
銀河万丈先生は和服に着替え、
読み台の上に正座して専用の椅子(?)に座り、
居住まいを整えての読みスタイル。
になってます。
前半から後半に移るにあたっての、
その所作の切り替えがまた、場の空気をピリッとさせて
「いいんだな、これが」。
定職にもつかず、あっちへ奉公しては辞め、こっちへ奉公に、
そして博打を売ったりとフラフラし続けて50を超えた男。
そして、それを世話し続けた男の妹、
妹夫婦がそろって流行病(はやりやまい)で亡くなる前に、
「お前はあんな兄ちゃんの世話をする事ないんだからね」
と言い渡されていた息子(男の甥)。
甥とその奉公先の店主の紹介で、
ある店(たな)へ奉公する事になった男。
しかし、この男さぼり癖がひどく、仕事中もどうやって
さぼるか、そればかり考えている。
そして、早くも女中や店主にそのさぼり癖がバレ、
口もきいてもらえなくなってしまう。
男の中では人は皆「敵」か「味方」だった。
自分を世話してくれた妹、そして今もなお
自分を世話してくれる「甥」は味方、
今の奉公先の店主や女中その他は皆自分を悪く思う「敵」
(まあ、自業自得ですが)、と思っているのですが、
店主の妻だけは男に対して別け隔てなく接し続けます。
「旦那から俺の評判は聞いているだろうに、
なんであの奥さんは俺に普通に接してくれるんだ?」
といぶかしがる男。
ある日、店主の妻の出かけの付き添いをしている男の元、
過去の悪い知り合いが話しかけてきます。
この悪者、かなりあくどい事まで手を染めていて、
今の男の勤め先、そしていつも通り男がそろそろクビになるだろう、
と知り、
「押し込み(強盗)に入るから手引しろ、どうせクビになるんだろ」と
男に持ちかけます。
そして、「どうせクビになるんだし」と
「店主家族その他の命だけは取らないでくれ」と約束した上で
悪者と約束してしまいます。
そして約束の当日夕暮れ時、裏手の戸をそっと開けに行こうとする
男に対して、
妻「誰かおらんかえ?」と呼びかけます。
驚いた男がそこへ行くと庭で湯浴み(お湯浴び)中の妻が。
あられもない姿に怯みますが、
妻「誰かえ?」と聞かれつい自分である事を言ってしまい、
呼ばれたのでつい来てしまった、こんな姿を見てしまって申し訳ない、
とその場を去ろうとしますが、
妻「丁度いい、誰もおらんので、○○(やたろう、が男の名前だったかな?)、
背に湯をかけておくれ」と。
店の者全員から嫌われそろそろクビになろうとしている、
こんな自分にこんなあられもない姿でそんな事を頼んでくるなんて、
この奥さん、きっと善意で溢れ「悪意」というものを持っていないのだ、
と男は感心なり感動してしまいます。
そして、そんな人のいる家に押し込みなんて入らせる訳にはいかない、
と悪者との約束をやぶります。
数日後、店(たな)へ悪者がやってきて、男を呼び出し、近所の寺へ。
男を殴りつけた上で、
「なんで先日は約束通り手引しなかった!今度はうまくやれよ!」
と怒る男に対して、
「俺にはできねえ!俺にはできねえ!」と。
そして悪者の仲間たちにボコボコに殴る蹴るされる中、
意識遠のく男の心には天女のようにこうごうしい奥さんの姿が浮かぶ、、、
で~ Fin ~
今まで、まともに働こうともせず、自分の事は棚にあげて人を悪く思って
生きてきた男が、初めて「自分を普通に扱ってくれる」人に出会って
その感動から「善意」に目覚める(その後、この男がどうなったのかはわかりませんが)
というお話。
フラフラ生きている、という意味ではまったく同じ状況の自分には
「ちょっと痛い」お話でした。
藤沢周平さんのお話は、結構な割合で「感動その他」は与えてくれないんですよね。。。
別の何かを与えてくれたりはするのですが。
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ちなみにこの「ごんべん」銀河万丈読み語りは、
ピアノの伴奏が付きます。
今日も次回の読み物のお話をされていたので、
多分銀河万丈先生は先の先の月まで読み物探しや
その小説の中、
どの役はどういう素性、どういう口調のどういう人物なのか、
そして読み語り中どこでピアノ伴奏を入れるか、
など本当に深く考え、練習して臨まれているのかな、と。
本当なら喫茶店1つ25人程度を相手にやるレベルのイベントではなく、
イベントホールなどで4、5000円以上のチケットを販売して
数百人以上を相手に正式にやるのが
ふさわしいレベルの高度な読み語りなのですが、
(そうすると準備ばかり時間がかかって、毎月読み語り、
なんて事は気軽にできなくなる、ということを気にされてか)
誰でも構わず参加可能、
お耳汚し代1000円(ドリンク付き)の安さで
こんなイベントを開いてくれる銀河万丈先生、
自分の修練の場としているのかも知れませんが、
本当に敬服いたしますm(_ _)m
長文失礼m(_ _)m