インタビュー
わたしのことを抱っこしてください!
個室のベッドで、開けっ放しの窓から吹き込まれる風に髪を遊ばれていたときでありんす。
(そろそろかや。)
ベッドに置いてあるデジタル時計に目を向けて、
そうして、ドアのほうに目を向かわせる。
タイミングを見計らったかのように、
勢い良く扉が開かれ、小さい子が遊びにきんす。
長い間、入院している間に出来た友達...年齢差から言えば妹みたいなものかや?女の子じゃし。
いつも通り、病室で何があった、どんな夢を見た、看護師さんとどんなお話しをした等、
たわいも無い会話をしていた最中、ふと会話が途切れ女の子がモジモジしだしんす。
「どうしたかや?」
両腕の中で唯一自由に動かせる左手で頭を撫でながら尋ねてみんす。
女の子は決心したような顔をして、
「わたしのことを抱っこしてください!」
っと、言い放ってきた。
わっちは少し困って神経を痛め満足に動かない右腕に目を向け、
それでも、感覚が無いのと痛みがあるだけで、
視覚で調節をしながら動かせることを確認して、
「おいで。」
そう言って、両腕を女のこの方へ向ける。
女の子は喜んだような表情でこっちへ歩み寄り、
手の届く位置になったところで、両腕に力を入れて、
膝の上へと抱っこしてみせる。
落としてしまうかと冷や冷やしていたのじゃが、
何とか持ち上げることは出来たみたいでありんす。
「本当はお姫様抱っこをしてあげたいんじゃがな...」
満足に動かない右腕に目を落とし、呟くと、
「これでいいのー。」
と、女の子は満足そうな顔を向けてきんす。
そうかや、と頭を撫でるとうれしそうな笑顔になる。
そうして、女の子を膝の上に載せたまま、
色々とお話をしていたり、簡単なカードゲームをしていたのじゃが、
看護師さんに見つかり、二人合わせて叱られ、
それでも、また明日っと言う合図のウィンクを女の子に送り、
また一人きりの病室へとなりんした。
(さて、明日はどうやって楽しませてあげるかや。)
思いを馳せながら、若干疲れた体を横にして、
意識を手放すように眠りに付く。
久しぶりに書いてみたんじゃが、どうじゃろう?|、 。 フ