恋する寝台特急物語 フルムーンの旅 9便

とわこの父親の3回忌が終わり、日曜日になった。
長崎最後の1泊である。
ー朝ー
しんちゃんもよっちゃんも瀬戸家を離れた。月曜日から彼らは仕事だ。
日曜日、とわこは高校時代の友達と会う約束をしており、博也は長崎新地をぶらぶらとと歩いていた。「江山楼」と言う店でチャンポンとチャーハンを食べ、路面電車に揺られ自由飛行と言う喫茶店に向かった。その後、風頭山で坂本龍馬の像を見て周り、宝町で一本鳥居を見物した。
夕方、とわこの家に戻り、今後の旅の話をした。
「なぁ、京都で観たいものはあるか?」
「そうねぇ。金閣寺と清水寺に行けばよかよ」
「わかった。その後、熱海でも寄らないか?」
「京都から直行ね?」
「京都で1泊するよ。折角有休取れたし、フルムーンパスの期限も残っているからね」
「わかった。熱海って近そうで行かんもんね」
「たまには温泉に浸かるのも良いだろ?」
「そうね。そげんしようか」
「決まりだな。明日は8時の新幹線で行けば何とかなるだろう。
「うん。お母さんに言って来る」
とわこは席を外した。