恋する寝台特急物語 フルムーンの旅 7便

二人は仏壇に手を合わせた後、客間に向かった。
襖を開けると、親戚一同が集まっていた。
「東京からよう来たねぇ」
「待ってたばい!博也兄さん!」そして皆、乾杯した。
女性陣は動き回り、男性陣は飲んでいた。
「東京はどげんね?」良彦が言う。
「何より物価が高いね。鯨が食べたくても手が出せない」
「博也兄さんは課長やろ?それぐらい稼いどるっちゃなかとね?」
雑談が続き、結局ビール3ケース、一升瓶の焼酎を3本空けた。
「楽しか所やけど、お開きにせんね!明日があるっちゃけん」とわこの母親が言った。男3人集は、
「これからたいねおばちゃん!」
「これから思案橋でも行くね?まだ飲みたかとよ」
「だめ!今日は大人しく寝んしゃい!」
博也、良彦、真司は眠りに付くことにした。
ーとわこの部屋ー
「よっちゃんとしんちゃんは帰ったの?」
「今日はうちに泊まって行くって。もう飲み過ぎばい」
「盛り上がったからな。明日はみっちゃんの店だろ?」
「そうよ。貸し切りにしとらすみたいね」
「そうか。とわこも寝るか?」
「うん。そげんする」
「じゃ、お休み」
ベッドは小さいが、二人で一緒に寝る。とわこが抱き着いてきた。
「ふう。博也さんが…落ち…着くば…い」とわこは寝息をたてた。
博也は回想した。寝台特急で出会い26年。福岡で就職し、東京に戻った。福岡で同棲の許しを乞う時、義父と一升瓶を空けた。そんなことを思いながら、博也は眼を閉じた。

おりぴ

よかろうもん!

2024年06月08日 01時08分