恋する寝台特急物語 フルムーンの旅 6便

ー間もなく、京都ですー
(おっと。朝からビールを飲んだから寝てしまった)
博也はふと目が覚めた。すると、とわこも起きた。
「ふわぁ。朝からビールば飲んだら眠くなったばい」
「次は新大阪だから、降りる支度をしようか。そうだ、帰りに京都でも寄らないか?」
「それは良かねぇ!あとね、熱海にも行きたかとよ!」
「長崎で2泊、京都で1泊、熱海で1泊するか?」
「うん、良かよ。最近旅行ばしとらんかったけん、楽しみたい」
「わかった。でも俺は長崎で3泊したいんだよなぁ」
「何で?」
「分かってるだろ…とわこんとこの親戚、皆呑むから」
「それでも良かよ」
「有り難う」
京都を出て暫く走ると、新大阪に着いた。そして2人はかもめに乗り換えた。
「こいに乗るのも久し振りばい。お父さんが亡くなった時以来よ」
「そうだな。1周忌は飛行機で帰ったんだよな」
「そうよ。博也さん、出張やったけん羽田まで一緒だったね」
「そうだったな。大事な商談と接待だったからな」
列車が動き出す。
「あーあ、またビールば飲みたか」
「車内販売が来たら買うか。俺も喉渇いたよ」
2人はビールを飲み、岡山辺りで寝てしまった。
ー長崎駅ー
「あ、みっちゃん!」いとこの美津子が迎えに来てくれていた。
「とわ姉ちゃん久し振り!博也兄さんも!」
「久し振り。お出迎え有り難う。これお土産」と博也が紙袋を渡した。美津子とその旦那の良彦はとわこの1つ下だ。瀬戸家ではいとこ同士では兄さん姉さんと呼ぶ。因みに、美津子は瀬戸家の父方に当たる。
車に乗り込み、美津子が運転する。
「あれ?よっちゃんは家かい?」
「そうよ。早く兄さんと会って飲みたかってうるさかとよ」
「そがんね!あ、ひーちゃんとしんちゃんも来とうと?」
「皆待っとるばい。早よ来んかねーって」ひーちゃんは尋子、しんちゃんは真司。真司はとわことのいとこだ。真司は母方に当たる。2人とも1つ下だ。
車を走らせること15分。とわこの家に着いた。
「お母さんただいま!」
「お帰り、とわこ、博也くん。皆待っとるけん、早よ準備ばせんね」
「仏壇にお参りばせんばいかんたいね」
2人は仏間に行き、手を合わせた。