2024年03月22日 22時29分
恋する寝台特急物語 フルムーンの旅 6便
ー間もなく、京都ですー
(おっと。朝からビールを飲んだから寝てしまった)
博也はふと目が覚めた。すると、とわこも起きた。
「ふわぁ。朝からビールば飲んだら眠くなったばい」
「次は新大阪だから、降りる支度をしようか。そうだ、帰りに京都でも寄らないか?」
「それは良かねぇ!あとね、熱海にも行きたかとよ!」
「長崎で2泊、京都で1泊、熱海で1泊するか?」
「うん、良かよ。最近旅行ばしとらんかったけん、楽しみたい」
「わかった。でも俺は長崎で3泊したいんだよなぁ」
「何で?」
「分かってるだろ…とわこんとこの親戚、皆呑むから」
「それでも良かよ」
「有り難う」
京都を出て暫く走ると、新大阪に着いた。そして2人はかもめに乗り換えた。
「こいに乗るのも久し振りばい。お父さんが亡くなった時以来よ」
「そうだな。1周忌は飛行機で帰ったんだよな」
「そうよ。博也さん、出張やったけん羽田まで一緒だったね」
「そうだったな。大事な商談と接待だったからな」
列車が動き出す。
「あーあ、またビールば飲みたか」
「車内販売が来たら買うか。俺も喉渇いたよ」
2人はビールを飲み、岡山辺りで寝てしまった。
ー長崎駅ー
「あ、みっちゃん!」いとこの美津子が迎えに来てくれていた。
「とわ姉ちゃん久し振り!博也兄さんも!」
「久し振り。お出迎え有り難う。これお土産」と博也が紙袋を渡した。美津子とその旦那の良彦はとわこの1つ下だ。瀬戸家ではいとこ同士では兄さん姉さんと呼ぶ。因みに、美津子は瀬戸家の父方に当たる。
車に乗り込み、美津子が運転する。
「あれ?よっちゃんは家かい?」
「そうよ。早く兄さんと会って飲みたかってうるさかとよ」
「そがんね!あ、ひーちゃんとしんちゃんも来とうと?」
「皆待っとるばい。早よ来んかねーって」ひーちゃんは尋子、しんちゃんは真司。真司はとわことのいとこだ。真司は母方に当たる。2人とも1つ下だ。
車を走らせること15分。とわこの家に着いた。
「お母さんただいま!」
「お帰り、とわこ、博也くん。皆待っとるけん、早よ準備ばせんね」
「仏壇にお参りばせんばいかんたいね」
2人は仏間に行き、手を合わせた。