恋する寝台特急物語 フルムーンの旅4便

博也は山手線に乗り、東京駅へ向かった。会社に急な出張用に着替えを置いていたので、スーツケースを引っ張り向かっていた。到着して5分後、とわこが現れた。
「博也さん!」
「とわこ!急ぐぞ!」博也は窓口に向かった。

窓口に着いて、博也は係員に早口で言った。
「つぎののぞみ256号で新大阪グリーン車2名、その後接続するかもめで長崎まで!乗車券も長崎まで!」
すると、直ぐに発券された。
「行くぞ」とわこは後に付いた。
「とわこ、お義父さんの状態は?」
「まだどうなるかわからんって…危なかったり安定したりわからんと…」
「わかった。多分こいつで行くと夕方には着く」
「博也さん…」とわこは博也の腕にしがみついた。
新幹線は新大阪に到着し、順調に小倉着いた。しかし、トラブルが起きた。
「只今大雨で運転を見合わせる事になりました。在来線も運転を見合わせております。お客様にはご迷惑をおかけしておりますがしばらくおまちください」
「くそっ!」
「おお義母さんに連絡してくれれ」
「うん…」すると、飛んでもない答えが帰って来た。
「もう何時間も持たんて…」
博也たちは小倉で足止めを食らった。そして2時間後に、小倉を出た。長崎に到着して、タクシーに乗り込んだ。
「長崎市民病院まで!急ぎで!」そして病院に駆け込み、病室へ行った。扉を開けると、父が眠っており、義母は泣いていた。
「お母さん、どげんしたと?」
「あんたたちが着く1分前に亡くなった…」
「お父さん!」とわこは父の枕元で泣いた。あの2時間が憎らしかった。博也も涙を溢した。