恋する寝台特急物語 フルムーンの旅2便

やたらとプライベートのスマホが鳴る。
しかし、会議中なので出る訳にいかない。しかし、相手が気になる。だが、博也は気になって仕方無かった。1分置きに鳴る。それでも博也はプレゼンを続けた。
10分スマホが鳴った後、事務の女性が会議室に来た。それは部長を呼び出した。
「失礼します。部長、お話が…」
「何だね?」
耳打ちで女性社員と話していた。その部長が口火を切った。
「えー、皆様お疲れでしょうから休憩がてら新開発のお茶でもいかがでしょうか?今すぐ出させます。あ、岡本君は私のところまで」
何の事か解らなかった博也は部長の所に行った。
「部長、今日は重要な会議ですよ?中断して良いんですか?」
「落ち着いて聞いてくれ。今会社に連絡があって、奥さんのお義父さんが危篤らしい。今すぐ帰りなさい」
「しかし、部長、今日の商談は…」
「大丈夫だ。私が取りまとめる。手柄は君と言う事にしておく。奥さんも不安だろうから気にするな」
「部長…」
「大丈夫だ。この話は責任を持って私が纏める。奥さんに連絡しなさい」
「分かりました、有難うございます」
そして、とわこに連絡した。
「すまん!会議中だった!お義父さんの容体は?」
「今夜持つかわからんってお医者さんが言っとるって…飛行機も今日は全便満席って…」
「解った、想像したくないが、俺の黒服を準備してくれ。それで東京駅の八重洲口に待ち合わせよう」
「わかった…」
博也は新幹線の時刻表を思い出した。