服が好きだ。

着るのも脱ぐのも好きだ。
いやらしい意味ではない。いやらしい意味でも別に構わないが、とりあえず今はそういうことではない。

出掛ける時、その日の気分に合わせて組み合わせを考えるのが好きだ。
サウナに行ってそれを一旦脱ぐのが好きだ。
スッキリしてもう一度袖を通すのが好きだ。
ちょうどいい場所を探して、WEARに載せるための写真を撮るのが好きだ。最近は同じところばかり使ってしまうけど。

家に帰って、その服を脱いでランドリーバッグに放り込むのも好きだ。
それからどうせずっと家だと裸のまま過ごすのも好きだ。
少し外に出る用事がある時、ほどほどに力の抜けた部屋着を着るのもいい。

シャツが好きだ。
一番上までボタンを留めると背筋が伸びて気が引き締まる。
Tシャツが好きだ。
スキニーパンツを合わせて、ロックスターに憧れると心が躍る。
ポロシャツが好きだ。
60年代英国に想いを馳せてマーチンのブーツの紐を締める瞬間が好きだ。ただしポロシャツの襟を立てるのは嫌いだ。見るのも少し苦手だ。
ジャケットが好きだ。
どんなに暑い夏でも着たくなるほどに好きだ。
ライダースが好きだ。
着るだけで気持ちが熱くなる。
コートが好きだ。
暖かさもずしりと感じる重みも好きだ。
ズボンが好きだ。
スキニーもワイドもノーマルも等しく大好きだ。
革靴が好きだ。
コツコツと地面を叩く音なんかはもうたまらない。
スニーカーが好きだ。
心が軽くなる歩き易さも、新鮮な気持ちになる斬新なデザインも好きだ。

ヘルシングの少佐みたいになってしまった。
最初は本当にそんなつもりはなかった。
途中からは寄せたものの、元ネタは確認していないので比べると結構違うと思う。

閑話休題。

着ることはないものの、女性の服を見るのも好きだ。
ただし全て好きというわけではない。
裸同然みたいな服はなるべく見ないようにするが、視界に入るとどうしたってギョッとして見てしまうことがあるので、いつかあらぬ疑いをかけられそうで恐ろしい。
彼女らは「お前に見せたくて着てるわけではないから見るな」とよく言う。
分からないでもないが、単純に驚いて反射的に二度見してしまうデザインもあることくらい分かって欲しい。
最近はいやらしい気持ちなしでも見てしまうものがある。困る。

また、僕自身も誰かに見せたくて服を着ているわけではない。
自分の気分が高揚するように好きな服を着ているだけなので、人からどう評価されようが知ったことではない。
お洒落と言われようが言われまいがどちらでもいいし、こうした方がいいよなどのアドバイスも要らない。
世間一般からの声もいらない。
大体、人が服を着るようになってからというもの、世間一般が求めるものはずっと「清潔感がある無難な服」ばかりで、僕にとっては面白みに欠ける。
顔も知らないその他大勢にモテたくて服を着ているわけではなく、今自分が楽しいから服を着ている。

服が好きだ。
少し手前にお洒落と思われなくてもいいと書いたが、お洒落と褒めてもらえるのも本当は大好きだ。