東京駅で山手線を乗り継ぎ、御徒町で降りた。そこから歩いて１５分の所に博也の家がある。古びた家であるが、住みやすい環境だ。玄関に入ると熱気がやって来た。
「お邪魔します」とわこはおそるおそる家に入った。
「ここ、客間だからここで寝てね。荷物置いて良いよ」
客間に荷物を置き、リビングへ案内した。コンビニ弁当を温め、二人で食べた。
「ごめんね。食材が無くてさ。明日は買い出しにいくから。それより、どこ行きたい？」
「そうね。折角やけん、東京タワーにいきたか！」
「ん。わかった。夕方に行こうか。夕焼けが綺麗だから」
「楽しみ！」とわこは笑みを浮かべた。
東京タワー。とわこには十分喜んで貰えた。
「長崎には稲佐山くらいしかなかけん、夜はどがん(どう)やろ？」
「稲佐山とは比べようがないよ。むしろ稲佐山の方が綺麗だよ。君もね」
「今なんて言った？」
「何でもない。ほら、夕日」
「きれかね(綺麗だね)」
「そうだな。喜んでくれて良かった」
二人は東京タワーを後にした。